2019年06月02日

カフカ
『断食芸人』
(白水Uブックス)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

1883年チェコのプラハで生まれ、1924年6月3日結核のため40歳の若さでこの世を去ったフランツ・カフカ。亡くなって2ヶ月後に刊行されたのが短編集「断食芸人」。今回は命日を前に、遺作となる本の中から表題作を味わってみました。かつては誰もが1日に1度は見たいと思うほど人気の見世物だった断食芸人。席を予約して格子の檻の前にへばりつく観客までいたほどでした。黒いタイツをはいた男が何も食べず藁の上に座り、時には自分の痩せぐあいを客に触らせることもあったとか。彼がこっそりつまみ食いをしないように見張りが付き、40日間おこなわれる断食芸。しかしやがて人気も落ち、観客に見捨てられるようになっていきます。

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