2020年03月08日

いとうせいこう
『想像ラジオ』
(河出文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

東日本大震災を背景にして書かれた小説、いとうせいこうさんの「想像ラジオ」。題名になっている「想像ラジオ」とはどういうものなのか?それは昼夜を問わずあなたの想像力の中でだけオンエアされているラジオです。しゃべっているのはDJアーク。しかし彼はマイクの前にいる訳ではありません。高い杉の木の上に引っかかって、そこからラジオ放送をおこなっています。このラジオの電波をキャッチできるのは、DJアークと同じ「想像の世界」にいる人。だからこの世にいる彼の妻と息子は、いくら彼が呼びかけても気づいてくれません。そして自分も妻と息子の想いを感じることが出来ず苦しみながら「想像ラジオ」の放送を続けています。

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