2020年05月17日

坪田譲治『風の中の子供』
(小峰書店『坪田譲治名作選』)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

1890年(明治23年)、岡山県岡山市に生まれ、昭和のはじめから小説や児童文学を発表している坪田譲治。その代表作のひとつが「風の中の子供」です。1936年(昭和11年)朝日新聞に連載され翌年刊行。当時、話題となり映画やテレビドラマにもなりました。物語の主人公は、三平という少年。わんぱくという言葉がぴったりの彼は、兄の善太と共に幸せな子供時代を過ごしています。しかしそこに影を落とす大人たちの問題。私文書偽造の容疑で父親は警察に連れていかれ、三平はひとり叔父の家に預けられることになります。それでも寂しいながらにやんちゃをする三平。元気いっぱいの子供の生きる力が、影のある大人の世界に光を与えてくれます。

...続きを読む