2020年09月13日

山田詠美
『ぼくは勉強ができない』
(新潮文庫)

大人の恋愛小説のイメージがある山田詠美さんですが、実は高校生を主人公にした作品も発表されています。メロディアス・ライブラリーで2009年に取り上げた「放課後の音符(キイノート)」もそのひとつ。17歳の女子高生を主人公にした8つの短編小説が収められています。そして今回の「ぼくは勉強ができない」は男子高校生。なぜ山田詠美さんは、こんなにも10代の気持ちがわかるのでしょうか?この本のあとがきではこう綴られています。「私の心は、ある時、高校生に戻る」。「私はこの本で、決して進歩しない、そして、進歩しなくても良い領域を書きたかったのだと思う」・・。「ぼくは勉強ができない」は大人の方に手にとってもらいたい1冊。読むと進歩していない領域が自分の中にもあることを感じます。

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