2020年10月11日

『八木重吉詩画集』(童話屋の詩文庫)

発表から100年たった今も多くの人に愛されている八木重吉の詩。画家の井上ゆかりさんは、重吉の声を聞いて絵を描き続けたそうで、今回はその絵が添えられた本「八木重吉詩画集」で味わってみました。八木重吉は、生前から多くの理解者がそばにいました。親戚でもある作家の加藤武雄は詩集「秋の瞳」の出版を手伝い、重吉の死後、残された作品から詩集「悲しき信徒」も刊行しています。「蛙の詩人」と呼ばれた草野心平は「八木重吉のような詩は従来日本になかった。実は現在でもない」と記し、「智恵子抄」で知られる高村光太郎は「このきよい、心のしたたりのような詩は、いかなる世代の中にあっても死なない」と書いています。八木重吉が詩で表した「きよい心のしたたり」。今のような時代だからこそ必要なものなのかもしれません。

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