2021年5月9日

小川未明
『野ばら』
(新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「日本のアンデルセン」と呼ばれる小川未明。今年は没後60年。命日を前に代表作のひとつ「野ばら」を味わってみました。100年のあいだ読み継がれ、現在でも学校の教科書に掲載される童話。物語の舞台は都から遠く離れた国境です。大きな国は老人を、小さな国は若者を兵士として国境に派遣しました。やがて親しくなる二人。その国境にはだれが植えたということもなく一株の「野ばら」がしげっています。そしてふたつの国が戦争をはじめると、若い兵士は戦いに行くため国境を離れます。たったひとりで、若者の帰りを待つ老兵士。ふたりはもう一度会うことができるのでしょうか?

...続きを読む