2021年6月13日

今村夏子
『あひる』
(角川文庫)

あひるの「のりたま」がやってきたことから、「わたし」の家では変化が起こります。近所の子供たちが毎日「のりたま」に会いにやってきて賑やかになり、お父さんお母さんも喜びます。しかし3週間ほどたった頃「のりたま」の食欲が落ち始め入院。戻ってくるとその姿は、別人(別あひる)だったのです。どこかにある日常を描いていながら、その中に奇妙な世界が潜んでいることを感じさせる作品。しかし実はその奇妙な世界こそ、ありのままの日常なのかもしれない・・・。そんな不自然さが読者の心をざわつかせ、さらにやみつきにさせてしまうのが今村夏子さんの小説の魅力。今後も新作が出るたびにぜひ味わいたい作家のおひとりです。

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