2021年11月21日

E.L.カニグズバーグ
『クローディアの秘密』
(岩波少年文庫)

夜のミュージアムには、どんな時間が流れているのだろう?そんな想像をめぐらしたことのある方もいるのでは?童話「クローディアの秘密」は、まさにその閉館時間中のミュージアムが描かれているお話。主人公のクローディアが家出して逃げ込むのが、ニューヨークのメトロポリタン美術館です。ミケランジェロ作と言われる「天使の像」の謎を解こうとするうちに、あのフランクワイラー夫人と結びついていくという物語の流れも楽しく、さらにクローディアをとおして描かれる少女の心情にも共感できます。そして読み終わったあと、邦題に「秘密」という言葉が入っているのも納得。あらためて翻訳を手掛けられた松永ふみ子さんの素晴らしさも感じます。

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