2022年1月30日

宮部みゆき
『火車』第一週
(新潮文庫)

休職中の刑事、本間俊介は、親戚の青年、栗坂和也に頼まれて婚約者、関根彰子の行方を探すことになります。実は彼女はカード破産をしていることがわかり、そのことが発覚後、行方がわからなくなっているのです。その消息を追っていくと、次々と発覚する謎の過去。履歴書に記された勤め先に電話をかけると、すべて実在しない会社であり、また彼女が破産の申し立てを依頼した弁護士に写真を見せると、なんと和也の婚約者は、本物の関根彰子ではないことがわかるのです。バブル時代のあと、カード破産した人が増えた1990年代のはじめ。この小説は当時、時代を表す作品でもありましたが、それから30年、あらためて今読んでもミステリー小説の傑作です。来週はその後半。どうぞお楽しみに。

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