2022年3月13日

平岩弓枝
『御宿かわせみ』
(文春文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

1973年(昭和48年)に第1作が発表された平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」。その後、32年続く人気時代小説のシリーズです。物語の舞台は江戸時代の終わり。場所は大川端(隅田川の下流。今の永代橋あたり)にある「かわせみ」という宿。その女主人「るい」と幼馴染みの「神林東吾」。ふたりの恋の行方を縦軸にしながら、毎回様々な事件が起こる連作短編集です。長崎からやってきた南蛮人と遊女の悲しい物語や、「かわせみ」に長逗留している若い男女の目的が実は敵討ちだった・・・など、どの回も読みごたえのある作品ばかり。また四季折々の江戸情緒が、「御宿かわせみ」の艶やかな世界を彩っていきます。

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