2022年6月19日

宇佐見りん
『推し、燃ゆ』
(河出書房新社)

「アイドルとのかかわり方は十人十色」。「あかり」の場合は、作品も人もまるごと解釈し続けること。解釈したものを記録してブログで公開するうち、閲覧が増え、お気に入りやコメントが増え、「あかりさんのブログのファンです」と更新を待つ人まで現れます。しかし「推し」をとおしてしか、自分を感じることができないため、推しは命にかかわるものでもあるのです。芥川賞の選考委員として「推し、燃ゆ」を読んだ小川洋子さんがこの作品に惹かれたのは、「推しとの関係が単なる空想の世界に留まるのではなく、肉体の痛みとともに描かれていること」。当時21歳だった宇佐見りんさんが描いた「推しの世界」。「驚異の才能」による現代の名作です。

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