放送後記 オンエアレポート 放送後記 オンエアレポート
2021.1.21

「考えさせる機会を早い段階から持たせる」。GMS・中島CEOが考える、社会が求めるリーダー像とは?

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。

1月16日(土)の放送は、前回に引き続き、Global Mobility Service(以下、GMS)代表取締役 社長執行役員 /CEOの中島徳至(なかしま・とくし)さんが登場しました。

中島徳至さん、ハヤカワ五味



◆GMS のサービスが貧困・低所得者層の一助に
GMSは、支払いが滞ると自動車が作動しなくなる遠隔起動制御デバイス「MCCS」を独自開発。このデバイスを搭載することで、これまでローンが組むことができなかった貧困層や低所得の人たちが自動車ローンを組むことが可能になります。現在MCCSは日本をはじめ、フィリピンやカンボジア、インドネシアなどASEAN各国でグローバルにサービス展開しています。

中島さんによると、ASEAN各国の平均年齢は25歳ぐらいと比較的若い国が多いそう。「彼らが最初の1歩を踏み出せるような仕組みをつくってあげないといけない。やる気や夢を持っている若者たちが、いざ“頑張ろう!”という意欲を持っていても、仕事で使うためのクルマをローンが組めずに持てなかったり、仕事に就けなかったり……。そのような状況になっていくと、だんだんと前向きになれなくなってしまう。それはすごくもったいないこと」と指摘します。

また、新興国では、クルマを所有できない人の多くは、オーナーにレンタル費用を支払って、クルマを利用しているとのこと。「10年間、(支払いを滞らせることなく)クルマを借り続けたとしても、ローン審査を通過するための与信は一切与えられないんです。その支払いデータが、(金融機関に)まったく蓄積されてこなかったので、金融機関側もサービスを提供する機会を逃していた」と言います。

そんな悪循環を解消すべく「僕たちは利用者の頑張りを可視化した。何時から何時まで仕事でクルマを使用して、営業距離は何kmなのか、毎月の支払いがいくらだったのかなど、全部可視化する。それを金融機関に提供することで、(これまでローンが組めなかった層が)ローンを組めるようになった」と説明します。

これにより、「いままで貧困や低所得だった方々が、中間層に上がっていくようになる。(徐々に)所得が上がり、生活水準が上がっていく姿を数多く見てきましたし、そうした変化を感じられるのは、すごくうれしい」と手応えを語ります。

◆多くの金融機関が抱える課題とは?
ASEAN各国でビジネスを展開してきた中島さんの目から見た金融機関が抱える課題は、「(借りる)必要のない人に対してお金を貸そうとしている金融機関が多く、本当に困っている人に届いていない。本来は、そういう人たちにお金を貸して喜んでもらいながら、彼らの生活をサポートしていくのが金融機関の在り方。だけど、現状ではそれができなくなってしまっている」と見解を示します。

その理由の1つは、「与信審査を自身の金融機関でおこなわず、外注するところが多いこと」。つまり、「与信審査の請負先はリスク軽減・利益重視のため、本当に困っている貧困・低所得者層は通過させない。安心・安全そうな層ばかりに貸付するという悪循環を生み、小さいパイの取り合いになってしまっている。これでは、金融機関はしっかりとした収益が上がらない」と指摘。さらには「金融機関も『このままではいけない』と言ってはいるが、自分たちからなにかを生み出す力がすでになくなっている」と続けます。

そうした金融機関の課題解決のために、「GMSがしっかりと提携をして、(金融機関の)1つの柱を築くサポートをさせていただいている」と胸を張ります。

◆低所得のループから抜け出すためにも
また、中島さんは学資ローンや高等教育の必要性についても言及します。ASEAN各国の貧困・低所得者層の家庭では「どんなに頭のいいお子さんがいても、(学費が捻出できず)『悪いが働いてくれないか』と言われ、中学校や高校の卒業後に働き出すことになる。そうなると当然、大卒よりも収入が低く、低所得のままお子さんをつくってしまって高等教育を受けさせられない、という“低所得のループ”から抜け出せない」と問題視しています。

低所得のループから抜け出すためにも、「高等教育を受けられるように学資ローンなどを提供する。そのなかで突き抜けた成績の子が1人いると、ファミリー全体の所得が変わってくる。そういう状態をつくっていくことがすごく重要」と話します。

続けて、「実際、フィリピンでは(GMSの)サービス利用者で、3年の支払いを終えたお子さんたちは、ほとんどの確率で大学に進学されています。でも、自動車ローンを組むことは1つの手段でしかない。その教育に先にある“豊かな生活がしたい”ということがゴール。僕たちはそのゴールを共有しながら利用者が求める世界へと誘っていくことができたらいいなと思う」と力を込めます。

◆チャンスを与えられるような大人に
中島さんは、後進の育成にも注力しています。インターンシップを盛んに受け入れているほか、15年前から学生たちを対象とした勉強会を開催しています。その意図について、「“社会人としての心構え”“若者が憧れるような大人とは”など、いろいろと考えさせる機会を早い段階から持たせること。それが社会の求めるリーダーになる第1歩だと思っている」と語ります。

中島さんは、27歳のときに株式会社ゼロスポーツを起業し、日本で17番目の自動車メーカーとなるまでに成長させました。しかし、事業継続が難しい状況に陥り、事業譲渡という挫折を経験。「1社目で電気自動車ビジネスをした際には大きな失敗をしました。だけど、“大きな失敗”って、いろいろな人から認めてもらっていないと、その機会すらいただけないと思うんです。失敗をしても、(周囲が)その失敗を認めてくれるような、その後の自分の立ち回りや責任の取り方。それらも含めた自分の経験を通じて、若者たちにはいろいろな話をしてきました」と振り返ります。

なぜ、こうした活動を続けているのかというと「そもそも僕が20代だったころ、僕がいまやっているような人とめぐり会いたかった。僕には人脈もコネもなかったから“そういう縁がほしい”とすごく求めていたんです。だから僕が30代、40代になったときに、学生や20代の人たちに機会やチャンスを与えられるような大人になりたいという気持ちがものすごく強かった」と熱弁。

そんな中島さんの言葉に、ハヤカワは「勉強やチャンスの重要性などが、中島さんが取り組まれていることの軸にあると感じました」と感想を述べていました。


イラスト:五月病マリオ


次回1月23日(土)の放送も、どうぞお楽しみに!

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聴取期限 2021年1月24日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
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