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2020.2.20

乙武洋匡 ロンドンでの車いす生活で実感した“人が支えあう”バリアフリー

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。2月15日(土)の放送は、作家の乙武洋匡さんが登場しました。


ハヤカワ五味、乙武洋匡さん


◆「五体不満足」をきっかけに環境が激変
乙武さんは早稲田大学在学中の1998年、著書「五体不満足」がベストセラーとなり一躍有名に。「それまで普通の大学生活を送っていたけれど、本を出したことで一気に環境が激変した。メディアにも出させていただくようになって戸惑いはあった」と振り返ります。

当時の世間から見た、障がい者のイメージの多くは、“可哀想な人”“不幸な人”“それでも健気に生きている人たち”といったものだったそう。そんななか、発刊した著書の表紙には、「その真逆というか、あっけらかんとした明るく能天気な青年が、満面の笑みで表紙に写っている。“両手、両足がないのに笑顔!?”みたいな。そのインパクトが、みなさんのなかではいい意味での裏切り、意外性が1番だったんじゃないか」と分析します。

「五体不満足」を発刊した当時、障がい者はかなり不便だったそうですが、「物理的なバリアフリーはこの20年で大きく進んだ」と実感を語ります。そして、「だからこそ次のステップは、LGBTQや発達障がいといった、目で見てわかりにくい“違い”、そういう人たちに対する認識や配慮をどうやって進めていけばいいのかが、今の時代の課題になってきている」と言います。

◆車いすで放浪の旅へ
2016年、乙武さんは、自身が招いた不祥事によって謹慎生活を余儀なくされます。およそ1年間、引きこもりのような生活を送っていたそうですが、「もう1年同じような生活をするのは、人生を無駄にしているんじゃないか」との思いから一念発起。東京の住まいを引き払い、海外へ放浪の旅に出ました。

37ヵ国もの国々をめぐるなか、「1年間ずっと海外を回っていると、旅行などでは感じられなかったこと、見えてこなかったものが、(長期間生活することで)見られて、すごく良かった」と振り返ります。

なかでも印象に残っているのは、3ヵ月滞在したというイギリス・ロンドン。訪英前は、“東京よりもバリアフリーが進んでいる”とイメージしていたそうですが、実際に現地を訪れてみると、

「東京のほうがめちゃくちゃ便利で。ロンドンは、ヴィクトリア朝時代の建物がたくさん残っているし、世界で初めて地下鉄が通った街だから、(建造物が古くて)エレベーターが付いていない駅も多かった。2012年のロンドンオリンピックでかなり整備が進んだけど、僕が行った2017年当時でも、(バリアフリーの進行度は)4割強くらいだったと思う」と話します。

これにハヤカワが、「そうなると(車いすの人は、使う)駅を選ばなきゃいけないですね」と感想を口にすると、「そこがポイント。それは日本人の発想」と乙武さん。「(日本人は)エレベーターが付いていない駅は、車いすだと“無理”だと思うし、ベビーカーユーザーも“(エレベーターのある)隣の駅まで行こうかな”と思う」と返します。

さらに、「でもロンドンの人たちは、エレベーターが付いていないとわかっていても1番近い駅を使うんです。なぜかと言うと、駅の前にいると1分も経たないうちに何人もの人が手を差し伸べてくれるから」と日本との違いについて触れます。

ハヤカワは、「確かに、バリアフリーの施設的な観点で言うと、日本のほうが進んでいるかもしれないけれど、“バリアフリーの社会”という意味では、ロンドンのほうが先に進んでいると感じてしまう」と述べると、乙武さんも「車いすの人たちにとって、どっちが“暮らしやすい街”なのかという観点で言うと、わからなくなってくる……難しいよね」とコメント。

◆乙武洋匡が注目するテクノロジーは?
乙武さんが最近注目しているのは、オリィ研究所の代表“オリィさん”こと吉藤健太朗さんが開発した、対孤独用分身コミュニケーションロボット「OriHime」。この分身ロボットを遠隔で操作し、サービススタッフとして動かすカフェが登場するなど、話題となっています。

乙武さんは「なにが面白いかというと、ロボットを操作しているのは、障がいや病気などで“自宅から出られないような人たち”。オリィさんと話して感心させられたのは、『これは決してハイテクではない。僕らがずっと遊んできたラジコンの延長線上にあるものなので、むしろ“ローテク”なんです。でも、ローテクだって、こうしてアイデアを練れば、これまで仕事をするのが不可能だった人たちに、働く喜びを与えられるんです』と。その言葉にすごく衝撃を受けた」と話します。

さらに、吉藤さんが新たに開発した小型ロボット「NIN_NIN」についても、「(ロボットを使う)視覚障がい者の方と、操作をする障がいや病気などで家から出られない方との“Win-Win”の関係が成り立つ。お互い、一人ひとりだとできないことが、『NIN_NIN』を通じて、補い合える。これはすごいこと」と感心します。(「NIN_NIN」の開発エピソードはこちらから

このアイデアに、ハヤカワは「技術が革新的に進歩しなくても、変わっていける部分があるんですね」と感じ入っていました。

イラスト:Eika



次回2月22日(土)の放送も、乙武さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

▼「公開録音」のお知らせ▼
「マスメディアン 妄想の泉~公開妄想イベント第三弾~」(19:00開場/19:30開演)
3月5日(木)に番組3回目となる「公開録音」を実施いたします。会場は、東京・半蔵門にある「TOKYO FMホール」で、参加は無料です。
ゲストは、「ほぼ日刊イトイ新聞」を主宰する株式会社ほぼ日代表取締役社長の糸井重里さんです。参加方法など、詳しくは番組Webサイトをご確認ください!

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聴取期限 2020年2月23日(日・祝) AM 4:59 まで

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<番組概要>
番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mousou_tfm

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