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2020.3.13

つらい“カロリー制限”の必要がなくなるかも!? 遺伝子解析ベンチャー・代表が語る「ゲノム研究」の可能性

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。

3月7日(土)の放送は、前回に引き続き、株式会社ジーンクエスト 代表取締役の高橋祥子さんが登場しました。


ハヤカワ五味、高橋祥子さん


◆「生物学的には多様性が必要」
遺伝子解析サービスを手がけている高橋さんは、「今の社会において、マイノリティ(少数派)と呼ばれている人がいますが、例えばLGBTの人が子どもを残しにくいと仮定すると、時代とともにどんどんと減っていくはずじゃないですか。でも、どの時代にも絶対に(LGBTの人は)同じ割合いるということがわかっています。

なぜなら、性的嗜好がマイノリティの人は、性的嗜好以外のところで“生存に有利”な性質を持っているという研究が最近出てきています。そういう人たちを否定するということは、人類という種全体の生存の可能性を否定しているので、自分を否定しているようなもの」と指摘。

だからこそ、「生物学的には、“マイノリティだから”ではなく、科学的に考えると種全体の最適のために、“多様性”が必要」と声を大にします。

そんな見解を受けて、ハヤカワは「それこそが多様性の本質だと思う。自分がマイノリティだったとしても、それが“種”に貢献しているかもしれないと思うと、自分なりのレアさとか、特別になっていく気がします」とコメント。

◆遺伝子研究で寿命が延びる!?
2025年には団塊の世代が後期高齢者になり、現在の“超高齢化社会”を超えた更なる高齢化社会を迎えようとしている日本。高橋さんによると、長寿に関する研究は、特にアメリカが進んでいるそうで、「長寿に関する研究をしているベンチャーだけを支援するファンドがいくつもある。基本的には、“老化”を1つの病気だと定義して、その治療薬を開発している」と現状を語ります。

高橋さんいわく、日本でも100歳以上の人たちの血液を調べて、どんな免疫細胞が共通しているのかなど、長寿に関する研究自体はされているものの、ゲノム(遺伝情報)の研究をさらに進めていくためには資金の供給源などの差があるそう。

また、「“カロリー制限をすると寿命が延びる”ということは昔からよく研究されており、これはほぼ間違いないと言われています」と高橋さん。とはいえ、多くの人にとってカロリー制限はつらいもの。

そこで、「カロリー制限をしたときに、体のなかでどういう遺伝子の変化が起きるのか、タンパク質にどういう変化が起きるかなどが研究され、それとまったく同じように変化を起こす食品成分もいくつか見つかっている」と言います。

今後さらに検証が進めば、「それを摂取すると、カロリー制限をしなくても、したときと同じ効果が得られ、さらに、健康で寿命も延びるということが、あり得るかもしれない」と可能性について語ります。

実用化されるまでには、人体への安全性など、さまざまな試験や問題をクリアしなければならず、「(この先)数年~10年くらいはかかる」と高橋さん。アメリカでは一足早く、「老化に対して効能のある薬の臨床試験が始まっていて、数年後には結果が出ると思う。(もし実用化されれば)予防医療という観点だけでなく、(さらに横展開されて)ダイエット目的や美容目的で買う人もいるだろうし、ビジネスとして広がる可能性がある」と予見します。

◆ゲノムの進化が難病やがんの治療に……
近年、ゲノム編集をしている会社やゲノム編集のツールを作っている会社が、大型の資金調達をしていて、「ゲノムの配列がわかると、どこの部分の配列を変えると機能がどう変わるかがわかる。(今はゲノムの)編集をして変えていくというフェーズに入っている」と高橋さん。難病の治療やがんの治療に応用するための研究が進められているそうです。

ゲノム研究が進化することによって、「今まで治らないとされていた病気も減っていくと思う。いろいろな疾患、特に遺伝性の疾患の治療に応用できるので、かなり幅が広がる」と期待を寄せます。

そんな高橋さんが、現在注目していることの一つは、「過去の話」。どういう風に人が進化してきたのか、「ゲノムがわかることによって、どんどん明らかになってきているので、とても面白い」と語ります。

ちなみに高橋さんによると、アルコールの代謝酵素関連遺伝子のパターンは、日本人の場合、大きく分けるとすごくお酒に強い人、まったく飲めない下戸(ゲコ)の人、その中間くらいの人の3タイプなのに対し、欧米系の場合、基本的には“お酒が飲める”という1タイプしかいないとか。

「一つの遺伝子が複数の様々な機能に関わっていることが多いので、(欧米系にはない)下戸の人たちの遺伝子を調べると、もしかするとすごい発見があるかもしれない。最近、“若者はお酒を飲まない”と言われているが、それももしかすると、アルコールの代謝に限らず、(種の繁栄に)すごく有利なことが起こっているのかもしれない」とゲノムの奥深さ、可能性について話していました。


イラスト:Eika


次回3月14日(土)の放送は、「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰の糸井重里さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

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聴取期限 2020年3月15日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>
番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mousou_tfm
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