放送後記 オンエアレポート 放送後記 オンエアレポート
2021.2.4

2050年までに水問題を解決できる状態に。WOTA・前田瑶介の活動の原動力とは?

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。1月30日(土)の放送は、前回に引き続き、WOTA(ウォータ)・CEOの前田瑶介(まえだ・ようすけ)さんが登場しました。

前田瑶介さん、ハヤカワ五味



◆インフラビジネスの可能性
「人と水の、あらゆる制約をなくす」をビジョンとして掲げるWOTA。水道がない場所での水利用を実現するポータブル水再生処理プラント「WOTA BOX」や、水道のない場所に設置できる手洗いスタンド「WOSH」を開発するなど、人と水の関係における新たなサービスを提供しています。

同じインフラ分野である電気やガスに目を向けてみると、電力自由化や公営ガスの民営化が進んでいます。これについて前田さんは「電力は“FIT(固定価格買取制度)が終わったらどうなるのか”という点があるが、自由化によってソーラー(パネル)が一気に普及した。それは世の中的に意味のあること」と言います。そのメリットとして、もし発電所で故障などが生じても、すべての人が電気を使えなくなる状況が回避できること、また、再生可能エネルギーの比重が上がることによって環境負荷が減ることを挙げます。

一方で、水道法が改正されたものの、「インフラ分野である水への民間参入が難しいのは、ビジネスとして重すぎる。何百億円もかけて、投資回収期間が50~100年となると、“そんなリスクを誰が取るのか”という世界になってくる」と指摘します。とはいえ、「(電力やガスなど)いろいろなインフラビジネスがあるが、同じような構造になっていると思う。だから、(水道も規模を)小さくしていけば、“その場所の水問題は、うちが解決したい”と(誰もが)始められるビジネスになっていくのでは」と予見します。

◆WOTA で直面した苦労とは?
東京大学及び東京大学大学院では建築学を専攻し、学業の傍らさまざまな企業の開発プロジェクトに参加し、エンジニアとしてソフトウェア開発に携わってきた前田さん。しかし、ジョインしたWOTAでは、これまで経験してきた領域とは異なり「インターネットの世界のノウハウや組織管理、プロダクト管理1つをとっても、流通しているノウハウが“あまり適用できない”というのがずっと困りごとだった」と直面した苦労を吐露します。

製造業として、WOTAの社内につくらなければならない機能は多岐に渡るそうで「いままで自分が学んできたソフトウェア分野の開発プロセスや20世紀の製造業が培ってきた開発プロセスなどを、混ぜては失敗しての繰り返しだった。(開発の)早さと製造業としてやらなければならない基本の部分を両立することに試行錯誤してきた」と振り返ります。

そんな苦労を重ね、新しくローンチした手洗いスタンド「WOSH」では、土台となるボディ部分に「ドラム缶」を使用しています。ドラム缶を転用することによって環境負荷の軽減につながるのに加え、「重要視したのはスピードだった」と言います。

なぜスピードを重視したのかといえば、「水問題は、場所によって抱えている問題が違う。そのため、その場所の人がその場所にあった設計をして(問題を)解決していったほうが一番早い」とスピードを重視した理由を説明します。

◆人類として再資源化に取り組むべき
前田さんにとって、活動の原動力となっているのは「2050年ぐらいまでには、水問題が解決できる状態までやり切りたい」という思い。なかには、10年後に地下水源が枯渇する可能性のあるエリアもあるそうで、「いま、目の前で向き合っている問題を、生きているあいだにちゃんと解決して、スッキリした気持ちで死にたい」とまで明言します。

そのためにも、「締め切りを決めないと何事もズルズルといってしまう。ちゃんと締め切りを決めて、最速でやり切るためにも“やる”ことが大事」と力を込めます。それは、行動に移すことで気づけることが多々あるからで、「やってみて得た情報をすぐに戦略にフィードバックする」と言い、取り組みに対する自身の信条を明かします。

ちなみに、前田さんが最近気になっている社会課題は「資源全般に言えるが、なぜそんなに遠くから(資源を)買ってこないと生活できないのか」ということ。例えば、鉄は「再資源化するよりも、新しく買ってくるほうが安くて楽だからと、その場しのぎで100年、200年とやってきていると思う。だけど、22世紀以降も人類はそれをやっていくのか」と憤りをあらわにします。

現にWOTAでは、排水の98%以上を再利用可能にした「WOTA BOX」を開発しているだけに「人類として再資源化に取り組んで、(資源を)使ったその場所やエリアで、もう1回使える状態にまで持っていく仕組みをつくりさえすれば、いまある資源を半永久的に使えるようになる。いろいろな資源がちゃんと循環利用できないものか」と問題を提起していました。

イラスト:五月病マリオ



次回2月6日(土)の放送は、IT批評家の尾原和啓さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

----------------------------------------------------
▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限 2021年2月7日(日) AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。
----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
最新記事タイトル

メッセージ メッセージ

メッセージはこちら メッセージはこちら

ページトップへ戻る ページトップへ戻る