放送後記 オンエアレポート 放送後記 オンエアレポート
2020.2.27

乙武洋匡が断言「義足ランナーが“1番速い”時代がやってくる」

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。

2月22日(土)の放送は、前回に引き続き、作家の乙武洋匡さんが登場しました。


ハヤカワ五味、乙武洋匡さん


◆“体育”と“スポーツ”の違い
スポーツライターとしても活動してきた乙武さん。いよいよ今夏に開催される東京オリンピック・パラリンピックを控え、「去年は、1つ大きな変化があった」と言います。それは、10月の第2月曜日の祝日の名称が“体育の日”から“スポーツの日”に変更になったこと。

乙武さんによると、インターネット上では、「名称だけ変えることに何の意味があるの?」といった意見が散見されたそうですが、「僕は(変更が)けっこうデカイと思っていて。体育とスポーツは同じだと思っている人が多いけど、むしろ真逆なもの」と唱えます。

そもそも、“体育”ができた経緯について、「ドイツが、兵隊を訓練して強化するシステムとして編み出されたもの。つまり規律を大事にしながら、上の命令を下にやらせ、体を鍛えるのが体育」と説明します。それだけに、「学生のころ『体育が嫌いだった』という人が多いのは、上から言われてやりたくないことも嫌々させられる。周りと同じようにやらないと怒られる。これが“体育嫌い”を生んでいる大きな原因」と指摘します。

対してスポーツは、語源を遡ると“余暇”“非日常を楽しむ”といった意味合いが多いのだそう。「スポーツは自分から能動的に楽しむもので、本来、みんなが楽しめるもの。日本は、その辺り(の意味)をけっこうはき違えていて、『スポーツが嫌い』と言う人は、“スポーツ”が嫌いなのではなく、“体育”が嫌いなだけ」と話します。

そして、「“スポーツの日”という名称だけでなく、東京オリンピック・パラリンピックの開催を機に“体育文化”を脱して、“スポーツ文化”に移行していけたらいいなと思う」と期待を込めます。

◆パラリンピック選手のほうが強くなる時代!?
ハヤカワがパラスポーツの未来について問うと、乙武さんは「パラリンピックの競技記録が、オリンピックの競技記録を上回る時代が、妄想ではなく既に現実のものとなりつつある」と答えます。

現に、「走り幅跳びでは、マルクス・レーム(ドイツ)という義足の選手が、オリンピックで金メダルを獲得した選手の記録を上回っています。もし彼がオリンピックに出場できたら、義足の選手が金メダルを獲ってしまう可能性がかなり高い。でも、(出場は)許されていない」と乙武さん。

過去には、義足のランナー、オスカー・ピストリウス選手(南アフリカ)が、2012年ロンドンオリンピックへの参加を認められ、「義足のランナーが、オリンピックで走って準決勝まで進出することができた、という美談になった」

ところが、「マルクス・レーム選手が、義足で健常者の記録を超えてきたら、“オリンピックには出場できません”となった。『義足を付けていることが有利にならないと証明できていないから駄目です』と。本来、義足で走ったり、飛んだりすることが、“有利に働くと証明されたら出場してはいけません”と言うならわかるが……証明すべきは大会側なのでは」と異を唱えます。

さらには、「“健常者のほうが上でなきゃ駄目”という意識がどこかにある気がする。そういう意味では、今後、パラリンピックがどういう大会になっていくのかを考えると、おそらく“(健常者の選手よりも)義足のランナーのほうが速い”という時代がやってくる」とも。

◆乙武も舌を巻く“義足”の進化
義足の技術の進化も目まぐるしいようで、「今までは、片足だけでも生身の足が残っている選手のほうが速く走れていたけれど、“両足とも義足”の選手のほうが、いい記録を出せるようになってきた。自分の記録を追及したいがために、義足のほうが速く走れるなら、残った足を切ってでも義足をつけたいと思っているパラアスリートもいる」と言います。

そして乙武さんは、「絶対に、今から議論しておいたほうがいい」と前置きし、「僕らの世代が、年を取って足腰が立たなくなるころには、競技用だけでなく日常生活用の義足も進化している。足はあるけど(思うように)動かないという人が、『これをつければ、今まで通り歩けますよ』と言われ、義足をつけたがった場合、それが倫理的にオーケーなのかはものすごく難しいテーマ」と提起します。

自身は、最新鋭の義足を用いて二足歩行にチャレンジする「OTOTAKE PROJECT(オトタケ・プロジェクト)」に取り組んでいることもあり、「今すぐ実用化できる段階ではないが、こうした研究とプロジェクトの積み重ねで、ゆくゆくは実用的なものが出てくると思う。人が悩めるくらいの選択肢が出せるようにがんばっていきたい」と力を込めていました。

次回2月29日(土)の放送は、ゲノム解析ベンチャー・ジーンクエストの代表取締役社長・高橋祥子さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

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<番組概要>
番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mousou_tfm
2020.2.20

乙武洋匡 ロンドンでの車いす生活で実感した“人が支えあう”バリアフリー

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。2月15日(土)の放送は、作家の乙武洋匡さんが登場しました。


ハヤカワ五味、乙武洋匡さん


◆「五体不満足」をきっかけに環境が激変
乙武さんは早稲田大学在学中の1998年、著書「五体不満足」がベストセラーとなり一躍有名に。「それまで普通の大学生活を送っていたけれど、本を出したことで一気に環境が激変した。メディアにも出させていただくようになって戸惑いはあった」と振り返ります。

当時の世間から見た、障がい者のイメージの多くは、“可哀想な人”“不幸な人”“それでも健気に生きている人たち”といったものだったそう。そんななか、発刊した著書の表紙には、「その真逆というか、あっけらかんとした明るく能天気な青年が、満面の笑みで表紙に写っている。“両手、両足がないのに笑顔!?”みたいな。そのインパクトが、みなさんのなかではいい意味での裏切り、意外性が1番だったんじゃないか」と分析します。

「五体不満足」を発刊した当時、障がい者はかなり不便だったそうですが、「物理的なバリアフリーはこの20年で大きく進んだ」と実感を語ります。そして、「だからこそ次のステップは、LGBTQや発達障がいといった、目で見てわかりにくい“違い”、そういう人たちに対する認識や配慮をどうやって進めていけばいいのかが、今の時代の課題になってきている」と言います。

◆車いすで放浪の旅へ
2016年、乙武さんは、自身が招いた不祥事によって謹慎生活を余儀なくされます。およそ1年間、引きこもりのような生活を送っていたそうですが、「もう1年同じような生活をするのは、人生を無駄にしているんじゃないか」との思いから一念発起。東京の住まいを引き払い、海外へ放浪の旅に出ました。

37ヵ国もの国々をめぐるなか、「1年間ずっと海外を回っていると、旅行などでは感じられなかったこと、見えてこなかったものが、(長期間生活することで)見られて、すごく良かった」と振り返ります。

なかでも印象に残っているのは、3ヵ月滞在したというイギリス・ロンドン。訪英前は、“東京よりもバリアフリーが進んでいる”とイメージしていたそうですが、実際に現地を訪れてみると、

「東京のほうがめちゃくちゃ便利で。ロンドンは、ヴィクトリア朝時代の建物がたくさん残っているし、世界で初めて地下鉄が通った街だから、(建造物が古くて)エレベーターが付いていない駅も多かった。2012年のロンドンオリンピックでかなり整備が進んだけど、僕が行った2017年当時でも、(バリアフリーの進行度は)4割強くらいだったと思う」と話します。

これにハヤカワが、「そうなると(車いすの人は、使う)駅を選ばなきゃいけないですね」と感想を口にすると、「そこがポイント。それは日本人の発想」と乙武さん。「(日本人は)エレベーターが付いていない駅は、車いすだと“無理”だと思うし、ベビーカーユーザーも“(エレベーターのある)隣の駅まで行こうかな”と思う」と返します。

さらに、「でもロンドンの人たちは、エレベーターが付いていないとわかっていても1番近い駅を使うんです。なぜかと言うと、駅の前にいると1分も経たないうちに何人もの人が手を差し伸べてくれるから」と日本との違いについて触れます。

ハヤカワは、「確かに、バリアフリーの施設的な観点で言うと、日本のほうが進んでいるかもしれないけれど、“バリアフリーの社会”という意味では、ロンドンのほうが先に進んでいると感じてしまう」と述べると、乙武さんも「車いすの人たちにとって、どっちが“暮らしやすい街”なのかという観点で言うと、わからなくなってくる……難しいよね」とコメント。

◆乙武洋匡が注目するテクノロジーは?
乙武さんが最近注目しているのは、オリィ研究所の代表“オリィさん”こと吉藤健太朗さんが開発した、対孤独用分身コミュニケーションロボット「OriHime」。この分身ロボットを遠隔で操作し、サービススタッフとして動かすカフェが登場するなど、話題となっています。

乙武さんは「なにが面白いかというと、ロボットを操作しているのは、障がいや病気などで“自宅から出られないような人たち”。オリィさんと話して感心させられたのは、『これは決してハイテクではない。僕らがずっと遊んできたラジコンの延長線上にあるものなので、むしろ“ローテク”なんです。でも、ローテクだって、こうしてアイデアを練れば、これまで仕事をするのが不可能だった人たちに、働く喜びを与えられるんです』と。その言葉にすごく衝撃を受けた」と話します。

さらに、吉藤さんが新たに開発した小型ロボット「NIN_NIN」についても、「(ロボットを使う)視覚障がい者の方と、操作をする障がいや病気などで家から出られない方との“Win-Win”の関係が成り立つ。お互い、一人ひとりだとできないことが、『NIN_NIN』を通じて、補い合える。これはすごいこと」と感心します。(「NIN_NIN」の開発エピソードはこちらから

このアイデアに、ハヤカワは「技術が革新的に進歩しなくても、変わっていける部分があるんですね」と感じ入っていました。

イラスト:Eika



次回2月22日(土)の放送も、乙武さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

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「マスメディアン 妄想の泉~公開妄想イベント第三弾~」(19:00開場/19:30開演)
3月5日(木)に番組3回目となる「公開録音」を実施いたします。会場は、東京・半蔵門にある「TOKYO FMホール」で、参加は無料です。
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2020.2.13

アーティスト・スプツニ子!“少子化”の日本に警鐘「古い家族観に縛られすぎている」

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。

2月8日(土)の放送は、前回に引き続き、アーティストで東京藝術大学美術学部デザイン科准教授のスプツニ子!(Sputniko!)さんが登場しました。

スプツニ子!さん、ハヤカワ五味


◆“少子化”なのに逆行!?
スプツニ子!さんは、日本が欧米などとは違い、選択的夫婦別姓が認められていないことに「(姓を)一緒にしたい人がすればいいだけで、(別姓だからといって)誰にも迷惑をかけていない。完全に父権社会の名残」と異を唱えます。

さらに前回、話に挙がった“卵子凍結”について触れ、「アメリカやイギリスでは、精子バンクとか友達の精子でもオーケーなんですけど、日本では不妊治療でクリニックに行って受精させるにあたって、違法ではないけれど、ガイドライン上(女性は)精子の持ち主と結婚していなければならない。自分の卵子なのに……」と話します。

これにハヤカワが、「そうなると同性のパートナーシップの場合、かなり難しいということですよね」と驚くと、スプツニ子!さんは「LGBTのカップルが自分の子どもを作りたくても、『結婚した相手じゃないと受精できません』と言うクリニックがほとんど。こんなに少子化で、子どもの数が減っているのに、子どもを作るまでのステップが社会的にがんじがらめになっちゃっているのが現状」と指摘。

◆違和感”を大事に
ハヤカワが、海外に比べて日本で無痛分娩が普及していない点を挙げると、スプツニ子!さんは「日本の女性はなぜか、『(出産は)痛いのが当たり前よ』って。女性は特に、『これが当たり前なのよ』『これが女性の生きる道なのよ』という洗脳を、社会から、さらに自分自身でかけちゃっている。それはすごくもったいない。“違和感を大事にする”って必要なこと」と声を大にします。

また、この先、代理出産などが広がっていくのでは、と予見しつつ、「日本は不妊治療の技術が世界のなかでもかなり高いのに、“古い家族観”にがんじがらめになっちゃって、技術的に出来ても法律やガイドラインの問題で自分の国でできないことが多い」と言います。

スプツニ子!さんによると、中国やシンガポールでは卵子凍結は認められていないそうで、「そういう(国の)女性たちが、日本に来て“卵子凍結をしよう”とか“日本で不妊治療技術を受けてみよう”と思うようになれば、日本も変わるチャンスがあるんじゃないかと、特に生殖医療まわりは思いますね」と語りました。

◆自分を成長させてくれた“語学スキル”
現在、スプツニ子!さんは中国語を猛勉強中。というのも、「私は英語ができるおかげで、海外の大学で教えたり、講演をしたり、世界中で友達ができたり、自分にとってすごくプラスだった。言葉ができるだけで、自分ができることのスケールが変わるから、学ぶスキルとしては圧倒的に効率がいい」と振り返ります。

中国語は喋る人口が多いうえに、中国経済が成長過程とあって「それと一緒に、自分も成長できるのはエキサイティングだと思って。私も中国語を勉強して、そのなかで何かできることはないかと模索したい」と意欲を見せます。

また、海外での生活を通して、「女子こそ、外の世界をちゃんと見ることは、自分にとってプラスになると思う。今思うのは、私は日本で育ったから、日本の女性の困難さとか、生きづらさもわかるので、そうそう見捨てられない」と力を込めます。さらには「アメリカやイギリスにいたからこそ、見てきたもの、新しい生き方や考え方とかを、“起業”を通してアジアで実現していきたい」と思いを語ります。

そんなスプツニ子!さんの力強い言葉に、ハヤカワも「私も日本を見つめて、自分なりにできることをしてみたいし、今こういう状況だからこそ、変わったあとの妄想の先にある日本って、すごく明るいというか、めちゃくちゃジャンプがあると思うので、そこを追いかけてみたいという気持ちがある」と触発された様子でした。

イラスト:Eika



次回2月15日(土)の放送は、作家の乙武洋匡さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

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2020.2.7

アーティスト・スプツニ子!「アートの形にこだわらなくても」新たな問題提起とは?

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。

2月1日(土)の放送は、アーティストで東京藝術大学美術学部デザイン科准教授のSputniko!(スプツニ子!)さんが登場しました。

スプツニ子!さん、ハヤカワ五味


◆“これはおかしいな”を大事に
スプツニ子!さんは、2010年に英国王立芸術学院(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)の卒業制作で発表した映像作品「生理マシーン、タカシの場合。」が話題に。以降、問題を提起するデザイン「スペキュラティブ・デザイン」という手法を用いた創作活動をはじめ、音楽、デバイス、映像などの制作、さらに、東京藝術大学で美術学部デザイン科の准教授として教鞭を執るなど幅広い分野で活動しています。

自身の創作意欲について、「世の中を見ていて、“これはおかしいな”“なぜ、こうなっているんだろう”という気持ちを大事に、作品づくりを繰り返していて。問題意識を持って活動するのは、ハヤカワさんと共通する部分がある気がしますね」とスプツニ子!さん。

一方、ハヤカワも「問題意識とか、“なにか変わったら面白いのに”と思ったことを投げて、それをみんなが考えてくれたり、反応してくれたりするのはすごく“今”っぽいし、世の中と相互に関わっている感じがしてやりがいもあるし、自分のやりたいことに近いなと思う」と話し、互いの活動に共感し合っている様子。

◆スプツニ子!のルーツ
両親がともに数学の研究者で大学教授という環境で育ったスプツニ子!さんは、「(数学が)身近にあったし、私も得意で。数学とプログラミングが大好きだった」と言います。“数学とコンピューター・サイエンスをもっと学びたい!”という思いから、高校を1年飛び級して、インペリアル・カレッジ・ロンドンに進学。

順風満帆の学生生活かと思いきや、「当時“数学やエンジニアリングは男性がやるもの”というイメージが社会的にあって。コンピューター・サイエンス学部では、クラスメイト約100人のうち、女性は9人しかいなかった。私が好きなテクノロジーやサイエンスは、世界のいろいろなことを変えてきているのに、そこに女性が少ないのはとても危険なことなんじゃないか」という思いを抱いたそう。

そんな問題意識から、大学で数学とコンピューター・サイエンスを学びながら、“テクノロジーとジェンダーの関係性”をリサーチし始めたスプツニ子!さんは、

「人間って、月面を歩いたり、ゲノム編集をしたり、テクノロジーでいろいろなことを叶えているのに、“なぜ私は毎月生理になるんだろう?”って。生理や妊娠・出産は原始時代から変わっていないし、タイムリミットはあるし、“なんだこれは?”と思った」と振り返ります。

また、リサーチを通して、「“テクノロジーや政治がこれまで男性中心に回ってきてしまったために、女性のニーズや課題がうまく解決されてこなかったんじゃないか”ということに気づいた」とも。

そして、大学卒業後、「“アーティスト”として、こうした課題を広くみんなに知らせて、議論を生み出したい」という考えに行き着いたスプツニ子!さんは、自ら監督・主演をつとめて「生理マシーン、タカシの場合。」を発表。アーティストとしての産声を上げました。

◆「今年、起業家デビューします」
スプツニ子!さんは「生理マシーン、タカシの場合。」の発表から10年間、アーティストの活動や手掛けてきた作品を通して問題提起してきましたが、「だんだんと“美術館という枠の外でできることがあるんじゃないか”“アートの従来の形にこだわらなくてもいいのではないか”と思うようになった」と言います。

「こんなにテクノロジーが進化しているのに、女性が生理になり、妊娠・出産にタイムリミットがあるのが、原始時代から変わっていないのは“人類の怠惰だ”と思っていて。いろいろと調べていたときに出てきたキーワードが“卵子凍結”だった」とスプツニ子!さん。

「メディアであまり語られず、知らない人も多いと思いますが、卵子は、35歳あたりを過ぎるとクオリティが劣化していくので、どんどん妊娠しづらくなっていく。例えば、30歳のときに卵子を凍結保存しておけば、あとでそのときの卵子を使うことができる。

卵子凍結について私がやるべきことは、これまでのようなアート作品とは違うと思った。これは、もっと人が使えるようなサービスやアプリケーションとか、なにかプラットフォームがつくれるのではないかと思って……私が尊敬するドイツ人アーティストのヨセフ・ボイスが『社会彫刻』という言葉を提案しているのですが、新しいスタートアップを通して社会彫刻をしたいと思うようになって。実は今年、ハヤカワさんと同じように起業家デビューするんです。アーティストとして、ひとつの作品として事業をローンチします」と宣言。

その言葉を受け、ハヤカワは「そうやって課題を解決していく、問題を提起していくことをクリエイティブと捉えて、(起業家として)取り組んでいく人が増えるのはとても嬉しい」と話していました。

イラスト:Eika



次回2月8日(土)の放送も、スプツニ子!さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

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「マスメディアン 妄想の泉~公開妄想イベント第三弾~」(19:00開場/19:30開演)
3月5日(木)に番組3回目となる「公開録音」を実施いたします。会場は、東京・半蔵門にある「TOKYO FMホール」で、参加は無料です。
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