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2020.5.28

「ネットに近づかないようにしている」作家・浅生鴨の時代に逆行する独自の“インプット術”とは?

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。5月23日(土)の放送は、前回に引き続き、作家の浅生鴨(あそう・かも)さんが登場しました。

(左から)浅生鴨さん、ハヤカワ五味


◆浅生鴨のインプットソース
話題は、コロナ禍でのインプットの仕方について。「これまで、雑談がインプットの糧だった」というハヤカワは、現在の状況下にインプットする難しさを感じている様子。

一方、浅生さんは「もともと、僕は引きこもりがちな暮らしをしていて。あまり人とも会わないし、ずっと仕事場でモノを書いていることが多かったので、生活自体、たいして変わっていない」と言います。外出自粛期間中で「本を読む量は随分と増えた。あと、海外ドラママニアなので、作品を観る本数も増えているかな」と実感を語ります。

浅生さんの思う海外ドラマの魅力は、「芝居が上手いことと、美術にしても撮影にしても明らかにお金がかかっていること。モノのクオリティって、ある程度お金に比例する部分があるじゃないですか。そこに、ちゃんとお金をかけられているのは、観ていて気持ちがいいんですよね」と話します。

そして、もう1つのインプットである読書は、“ジャンルを問わず”読んでいるそうで、「書評家や書店が薦めている本はひと通り読みますし、あとはジャケ(表紙)買い。中身(内容)をまったく知らずに買うことも随分多い」と浅生さん。

ハヤカワは、本を1冊読む時間を“無駄にしたくない”という思いから「“絶対に失敗しない本”を選びたい、という気持ちが強かった」と言います。しかし、“おうち時間”が増えたいま、気軽に本を読めるようになったようで「そこのハードルが下がったからこそ、“たまたまの出会い”とかも意外と必要だったり、大切な出会いだったりするので、けっこう重要視するようになった」と変化があったそう。

◆「まずは自分の頭で考えること」
浅生さんは、読書や海外ドラマ鑑賞からのインプット以外に、「ネットにあまり近づかないようにしている。ネットの情報を遮断して、インプットの量を減らそうということをやっている」と言います。理由は、「自分で考えたいから」。

ネット上に溢れているたくさんの人の意見が目に触れることで、「それが、自分で考えたことなのか、人が考えたことなのか、わからなくなってしまう。“自分でちゃんと考えている”って意識するためにも、(ネットで)あまり情報を入れないように心がけている」と話します。

今年1月に、著書「面白い! を生み出す妄想術 だから僕は、ググらない。」(大和出版)を発刊している浅生さんは、「まずは、自分の頭で考える。そこから、すべてを始めたい」と声を大にします。「気をつけないと、誰かが言っていることが物事を確信する理由になってしまう。それが1番嫌。自分の腹のなかでちゃんと煮詰めたい。それには、やっぱり本を読むことはすごく大事」とも。

本からのインプットについて、「直接、感情に入ってこないというか、1回、何か別のフィルターを通ってから、体に入ってくる感じがする」。対してスマホは「益々パーソナルなので、感情にダイレクトに飛び込んでくるような感じがある」と実感を口にします。

ネットやSNSからさまざまな情報を得ている人もいる昨今、浅生さんは客観的な自分を保つための“心持ち”として、「(SNSは)言葉のやり取りをしているよりも、“感情のやり取り”をしているような感じがする。だから、そこにはあまり近づきたくないな、と最近は思っている」と語ります。

◆「偶然の場をどう設計できるか」
新刊「雨は五分後にやんで 異人と同人Ⅱ」を、6月5日(金)に自主出版する予定の浅生さん。本書は、さまざまな分野で活動する“書き手”が、同じテーマでそれぞれの作品を執筆したアンソロジー集。ちなみに書き手のなかには、同人イベントでたまたま隣のブースにいた人も参加しているそう。

ハヤカワは、「ネットで情報を得られるようになると、自分にパーソナライズされた情報ばかりになってきてしまう。浅生さんのやられているアンソロジーの形だと“不意打ちの出会い”があって、それがすごく貴重な気がしている」と話します。

そんな声を受け、浅生さんからは「いまは、人がたくさん集まるイベントが減っていますけど、たくさんの人が、同人誌をつくって、それをどこか一堂に集めて、ガチャのように配布するのはどうか。物々交換じゃないですけど、あるところに同人誌を送ると、誰だか知らない同人誌が送り返されてくるような(笑)。なにが届くかわからないくらいのイベントがあってもいいのかなと思う」と妄想が飛び出します。

そして、「自分に最適化されていないところから、変化球が飛んでくるという状態は、(自分が)意識してつくらないと、そういう偶然(の出会い)が生まれにくくなっている。偶然の場をどう設計できるか」と、あらためて強調します。

浅生さんのインプット術に、ハヤカワは「(得る情報が)自分のわかりきったモノだけになっていくと刺激がない。わからない、知らないといった“突然の出会い”がないと、妄想がはかどりづらいのかなと思う。突然の出会いを、あえて(自分から)つくっていくことが“妄想の泉”になってくるのかなと感じました」と感想を口にしていました。


イラスト:五月病マリオ



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<番組概要>
番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mousou_tfm
2020.5.21

作家・浅生鴨「ずっとオマケの人生を生きている感じ」人生観が大きく変わった“交通事故”

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。5月16日(土)の放送は、作家の浅生鴨(あそう・かも)さんが登場しました。


(左から)浅生鴨、ハヤカワ五味


◆検索する前に必ずやること
浅生さんは、元NHK職員。2009年に開設されたNHK広報局のTwitter(@NHK_PR)で、NHK_PR1号としてツイートによる広報を担当し、企業アカウントの公式ツイートらしからぬ自然な会話や日常的なゆるいツイートが大きな話題に。2014年に退局し、以降は執筆活動を中心に活動しています。

今年1月に、著書「面白い! を生み出す妄想術 だから僕は、ググらない。」(大和出版)を発刊した浅生さんにとって、「妄想は“日常”なんですよね。ごはんを食べたり、呼吸したりするのとほぼ変わらない」と話します。

日常的に妄想するうえに、よくググる(Googleで検索すること)という浅生さん。ひとたび調べるとなると「徹底的に調べ尽くすところまで調べるタイプ」。ただし、「僕は検索する前に、まず1回“自分で考える”という作業を必ずやる。調べてそれで満足して、わかった気になるのが1番嫌だから」とこだわりを語ります。

自身の創作について、「どうせつくるなら、いままでに人が見たことのないモノをつくりたいという気持ちがどこかにあるんでしょうね。だから、1つや2つは“あれっ?”っていうちょっと変な要素が、ちゃんと紛れ込んでいることを心がけている」と言います。

小説をはじめ、自身が手がけるものは“妄想”からスタートしていることが多いそうですが、妄想をそのまま詰め込むのではなく「なにかとなにかを新しく組み合わせたり、使い方を別の視点で見たり、そういうやり方でモノをつくっている。完全にゼロから生み出すよりも、組み合わせを発見する感じ。仕事として世の中にモノを出したいときには、受け入れられないと意味がないので、そこの“さじ加減”は厳密に考えたほうがいい」と語りました。

◆事故に遭った日から“悟った”生き方に
自身の人生を大きく変えた出来事として挙げたのは、2002年に遭った交通事故。「心臓が止まるような状態で、救急車で病院に運ばれて。片足をほぼ切断し、破壊された内臓を取り……周りも“死んだ”と思ったほどだったのが、たまたま運良く生き返ったという感じなので、僕の人生観を大きく変えた」と振り返ります。

事故に遭った日を“自分の命日”と思うようになり、「いまは、死んだあとの暮らしをしているというか、ずっとオマケの人生を生きている感じなので、“欲”が本当になくなった。(人から)褒められたいという欲望もないし、物欲もあまりないし……全然欲のない、悟ったような生き方になっちゃった」と打ち明けます。さらには「なにかをやることより、“いかにモノを手放していくか”のほうが気持ち良くなった」とも。

そんな大事故のあと、NHKに入局したのも「そんなに深い理由はなくて、単に新聞で募集していたから入っただけなんです(苦笑)」と平然と言ってのけます。そんな自然体からか、NHK広報局Twitterでの浅生さんのつぶやきは、大きな反響を呼びました。

当時のツイートについて、「NHKって、どうしても堅くみられがちじゃないですか。真面目なことはいいことなので、それはそれで置いておきつつ、それこそEテレなどではいろいろな番組をつくっていますから、さまざまな側面を持っているということを、まずはちゃんと見せたいと思った」と意図を説明します。

◆自主出版した理由とは?
浅生さんは、新刊となる「雨は五分後にやんで 異人と同人Ⅱ」を6月5日(金)に自主出版する予定です。なぜ、あえて自主出版するのかと言えば「自分で全部やってみたかったから」。

1冊の本を手がけるうえで、読者の手元に届くまでの工程は、執筆や印刷、(表紙などの)デザイン、流通、販売など多岐にわたります。自主出版には、「そのプロダクトの0から100までを全部体験できる面白さがある。それをやることで、いまの出版流通の仕組みを“知りたい”という思いもあった。

また、モノそのものにもちゃんとメッセージがあるような気がしていて……どういう紙を選ぶかとか、(本の)手触りをどうするかとか、全部含めてのメッセージなので、そこを全部考えてみたかった」と明かします。

現在、数本の長編を同時に書き進めているそうですが、「僕はわりと世の中のニュースを遮断して生きているんですけど、なにか雰囲気を吸っちゃうんでしょうね。本当は明るく楽しく希望に溢れる小説を書きたいんですけど、(新型コロナの影響で)どうしても暗くなりがちで。そこを『えいっ!』って乗り越える“妄想パワー”を発揮できたら」と展望を語っていました。


イラスト:五月病マリオ



次回5月23日(土)の放送も、浅生さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

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2020.5.14

恋愛は平安時代へ回帰する? 漫画家・山科ティナと一緒に、自粛期間中の恋愛について妄想

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。5月9日(土)の放送は、前回に引き続き、漫画家でイラストレーターの山科ティナさんが登場しました。


(左から)山科ティナさん、ハヤカワ五味


◆山科ティナ流“モチベーション”管理術
コロナ禍で在宅時間が増えるなか、山科さんは「『Netflix』で、自分の(強みの)ジャンルである“恋愛もの”で話題のドラマや映画をひたすら観ています」と近況を語ります。なかでも、韓国ドラマ「愛の不時着」にどハマりしたそうで、「『ロミオとジュリエット』を現代版にしたようなドラマ」と絶賛。

ただ闇雲に鑑賞するのではなく、「例えば、自分の企画が記憶系の恋愛ものだったら、それに基づいて、同じような系統の恋愛ものを何本か連続で観て、まとめてインプットするやり方をとることが多い」と言います。

いまなお、外出自粛を強いられる生活が続いており、「漫画と『あつまれ どうぶつの森』(Nintendo Switchのゲーム)を行ったり来たりで、我が家は、娯楽がない(苦笑)」とハヤカワ。仕事もリモートワークとなり、モチベーション管理の難しさを痛感しているようで、その点を山科さんに尋ねると、「普段から家で1人で漫画を描いていたから、そこまで影響はない。(モチベーションが)下がったときは、小さかったころに好きだったアニメを観返して、あのとき好きだった“気持ち”を思い出すことで、落ちていた気持ちを上げるとか、たまにありますね」と答えます。

◆同世代で刺激を受けた人物
現在24歳で同い年の2人。ハヤカワから、最近刺激を受けた人を聞かれると、山科さんが挙げたのは、イラストレーターのloundraw(ラウンドロー)さん。「BUMP OF CHICKENから(楽曲使用の)許諾を得て、卒業制作で自作したアニメーションが、9万リツイートとかものすごくバズって(インターネット上で大きく話題になること)。アニメーションCMの監督をされたり、小説や漫画を出していたり……」と話し、1つ上の25歳ながら、マルチな活躍ぶりに大きな刺激を受けているそう。

「ちゃんと“自分らしさ”とか、自分のオリジナリティをつくろうと頑張っている人のことは尊敬できるし、刺激になりますね」と語る一方で、「バズっているものを真似したら、同じように“いいね!”が取れてしまうのは、SNS時代の良くないところ。自分の練習として、誰かの真似をしたり、勉強したりするのはいいことだと思うけど、誰かを真似したままバズってしまうと、いつかトレース問題で炎上につながってしまうのでは」と警鐘も。

これにはハヤカワも「そういったリテラシーの部分やあり方、権利って、とても重要。美大では、意外とそういう権利問題やマナーなどの基礎的な部分を教えていないので、もっと重要視されてもいいと思う」と同意します。

◆自粛生活で“恋愛”はどう変化する?
このご時世でハヤカワは、「どうやって人は出会い、恋愛していくのだろう?」と思いを巡らせたそう。恋愛ものの漫画をクリエイティブしている立場として、山科さんは「私的には、創作物を描くにあたって、“すれ違い”があったほうが逆に描きやすい。最近は、スマホもあって、すぐに連絡が取れてすぐに会えちゃうから、すれ違いのような物語はすごく描きにくい。『君の名は。』のように、時空のすれ違いくらいじゃないと盛り上がらない」と現状を捉えている様子。

また、山科さんは休校中の学生たちの恋愛事情について、どんな変化があったのかSNS上で質問してみたところ「自粛になりそうだから、その前に告白して“付き合おう”となった人がけっこういて、みんな頑張っていますね。(緊急事態宣言が発令されると)会えないという危機感があったんでしょうね。会えないカップルや仲のいい人同士は、頻繫に電話で話したり、(テレビ電話アプリの)『Zoom』上で、お互いに同じ時間からパンケーキをつくり始めて、疑似カフェのような感じで(オンライン上で)一緒に食べたり、デートが哲学的な形になっている」と紹介。

ハヤカワは「ヤバっ、デートが新しい!」と反応しつつ、「そうなってくると、昔の時代みたいに、歌を詠む能力じゃないけど“ポエム”を書ける能力がけっこう重要になってきそう。令和の恋愛は、平安時代(のような恋愛の仕方)に戻るかもしれない」と妄想すると、山科さんも「確かに! 平安時代の“会えないからこそ”みたいに。それはそれでけっこう楽しみですね」と共感していました。


イラスト:五月病マリオ



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2020.5.7

気鋭の漫画家・山科ティナ Webでの発信で「自分の武器を見つけられた」

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。5月2日(土)の放送は、漫画家でイラストレーターの山科ティナさんが登場しました。


(左から)山科ティナさん、ハヤカワ五味


◆ハヤカワの活躍ぶりに「追いつかなきゃ」
現在24歳の山科さんは、今年3月に東京藝術大学を卒業したばかり。16歳のときに「別冊マーガレット」(集英社)で漫画家としてデビューし、大学入学後にWeb漫画やイラストなどを描き始め、TwitterやInstagramで発表した「#アルファベット乳」が大きな話題に。現在は、企業とタイアップした漫画を多数手掛けるほか、女性誌で「ショジョ恋。」を連載するなど幅広く活動しています。

同い年の2人の出会いは、高校3年生のときに開催された美術予備校の公開コンクール。互いに名を知る存在だったそうです。山科さんは一浪してしまいましたが、ハヤカワはひと足先に多摩美術大学に入学。胸のサイズが小さい人向けのランジェリーブランド「feast(フィースト)」を立ち上げるなど、バリバリと活躍する姿を目にし、「予備校時代は“ライバル”という認識だったけど、浪人して止まっている状態だったので、五味ちゃんのことが眩しく見えて。“追いつかなきゃ”という感じだった」と当時の印象を語ります。

10代のころから漫画を描いていた山科さんは、「“絵で食べていきたい”って思いがずっとあって。RADWIMPSのことがずっと好きで、(漫画で)成功して自分の漫画がメディア化されて主題歌をやってもらうとか、そういう妄想ばかりしていましたね」と笑います。

◆漫画家を志したきっかけ
山科さんが絵を描くようになったのは、幼少期。当時、親の仕事の影響で、中国で暮らしていたそうで、「『カードキャプターさくら』や『名探偵コナン』とか、日本のアニメがテレビで流れているのを観て。キャラクターがすごく魅力的だったので、アニメを観ながら自分の好きなキャラクターをずっと描いていたのが始まり」と話します。

そして、小学4年生のときに日本へ。「アニメの元となっている漫画を手にできるようになって、『花とゆめ』や『りぼん』などの漫画雑誌を買って。そこで、読者の投稿ページを見て、“もしかしたら、自分も描いて投稿してみたら、いつか(漫画家に)なれるんじゃないか”という思いから、漫画家を目指すようになった」と言います。

◆Webで発信することのメリット
ハヤカワがWeb漫画に至った経緯を尋ねると、「新人のころは雑誌でお世話になっていました。受験を挟んで、大学に入ってからは、Webに載せたことで、いろいろな人が見てくれて。いままで、自分のことを少女漫画系と思っていたけど、Web上だと意外と男性の方も好んでくれて、視野が広がって面白いなと思った」と山科さん。

代表作の1つ「#アルファベット乳」シリーズは、「Aカップから順に女の子の共感を描いていった。それがバズって(インターネット上で大きく話題になること)、フォロワーが増えて、そこから活動も増していった」と振り返ります。

Zカップまで描いていくなかで、「自分で(こうと)決めつけちゃうのはやめようと思っていたので、ちょっと男子向けだったり、ギャグ寄りに描いてみたり、いまみたいな、“恋愛もの”がメインの回があったりするなかで、どの回の反応が1番大きいかとか毎回試したりして」と試行錯誤の連続だったそう。その甲斐あって「そこから逆にもう一度、自分の武器を見つけられた。結局、恋愛ものの反応が1番大きかったから続けているんですけど、(Webは)確認したり、試したりしやすいのかなと思う」と実感を語ります。

◆今後やってみたいのは「MMV」
「#アルファベット乳」が話題となっていくなか、「気持ち的な部分で言うと、最初は承認欲求のような部分が強かったので、“いいね!”をもらうことに捉われてしまっていた時期もあった」と山科さん。“いいね!”に執着するあまり、「毎回、同じようなものしか描かなくなってしまったり、キツイ言い方をするとクリエイティブ的には死んでいっているんじゃないか、という危機感が出てきたりした」とスランプも経験したそう。

しかし、そんな時期を乗り越えてからは「必要以上に“いいね!”の数とか承認欲求だけに捉われ過ぎず、“いかに作品を良くするか”というところに集中できるようになった」とマインドの変化も。

今後やってみたいことについては、「最近、MMVって呼ばれる“漫画ミュージックビデオ”というジャンルが出てきていて。例えば、『ブルーピリオド』という漫画とクリープハイプの曲が組み合わさったMMVがあるんですけど、音楽だけで聴いたときと、漫画だけで読んだときとは違ったストーリー性が組み立てられているようなミュージックビデオになっていて。ほかのカルチャー同士が組み合わさった“エモさ”とかがすごく人気だと思うので、やってみたい」と意欲を見せていました。


イラスト:五月病マリオ



次回5月9日(土)の放送も、引き続き山科さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

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