放送後記 オンエアレポート 放送後記 オンエアレポート
2020.12.31

「医療×AI」で広がる可能性…。Ubie共同代表・久保恒太が着目した「症状と病気を紐づけるデータづくり」

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。12月26日(土)の放送は、Ubie(ユビー)共同代表取締役でエンジニアの久保恒太さんが登場しました。


久保恒太さん、ハヤカワ五味



◆医療×AIでできること
Ubieでは、「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げ、医療とAI(人工知能)をかけ合わせた新サービス「AI問診ユビー(医療機関向け)」や「AI受診相談ユビー(生活者向け)」を提供しています。

AI問診ユビーは、従来の紙に記入するタイプの問診票ではなく、タブレット端末などWeb上で完結できるように効率化されています。ペーパーレスに加え、症状などに関する質問に回答を入力していくと、その裏側でAIが「(その患者の)病気はなんなのか」を予測しながら質問を変えていくというもの。

このサービスによってなにが変わるかと言えば、医師が聞きたいことを事前に聞けることです。従来の診察では、医師がパソコン上の電子カルテに患者が話す症状などをタイピングしながら入力していました。しかし、AI問診ユビーで自動化されることによって、その負担が激減。久保さんは、「そもそも医師は残業時間がすごく多い。仕事の割合のなかで多くを占めていたデスクワークを削減でき、患者さんへの聞き漏らしも防げる」とメリットを挙げます。

久保さんによると、医療にAIなどのテクノロジーを駆使するようになっていったのは2015年あたりからだそうで、「ディープラーニング(深層学習)が出てきたあと、画像認識のレベルがものすごく上がった。例えば、特定のがんを発見するなど、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)などの画像から認識することに使われるようになった」と説明します。

テクノロジーが進化を遂げるなか、Ubieが手がけているのは「症状と病気を紐づけるデータづくり」。久保さんいわく、もともとはニッチな領域だったそうですが、技術の発展とともにその分野への参入も見られるようになったとのこと。現在は「各国で症状チェッカーなどができ始めているところ」なのだそうです。

◆起業のきっかけは、亡き恩師の存在
エンジニアの久保さんとともに、Ubie共同代表取締役を務めているのは、医師の阿部吉倫さん。2人は高校時代の同級生で、出会って16年の付き合いになります。

久保さんは京都大学、阿部さんは東京大学に進学。当時はリーマンショック直後で「ベンチャーや起業など、挑戦するような雰囲気ではなかった」と振り返ります。そんななか、京都大学客員准教授として教鞭を執っていた、いまは亡き瀧本哲史さん(享年47)から「起業したほうがいい」と鼓舞されたことに刺激を受け、心境に変化が。当時集まったグループで新たなビジネスを立ち上げます。

そのビジネスは全然うまくいかなかったものの、「どうせやるなら、GoogleやFacebookのような“世界規模のサービスをつくりたい!”という思いが強かった。そして“大きな市場で戦うには?”と考えたなかで着目したのが医療だった」と言います。とはいえ、当時の自分には誇れるだけの強みがなかったとも。

そんな当時、技術がすごく伸びていたAI分野に関心を抱いた久保さんは、スキルアップのために東京大学大学院工学系研究科に進み、「エンジニアとしてAIの分野にベットして、医療でなにか問題解決ができないかと考え始めたのが、卒業する少し前だった」と回顧します。

◆コロナ禍で活用されているUbieのサービス
「医療×AI」という道筋に照準を絞り始めていった久保さん。症状と病気の紐づけについて調べていくうちに、「技術的な問題やデータソースの問題など、さまざまな問題で達成できていなかった部分が見えてきた。みんなが調べても、途中であきらめてしまうような分野だけに、逆にチャンスだと思った」と話します。

「AI問診ユビー」の前身となるシステムを構築しようとするも、「医学的な知識がなくて、おもちゃにもならないレベルのものしかできなかった」。そんな状況を打破するきっかけとなったのが、医師である阿部さんです。AI技術を駆使して医療の問題解決をしたい、という久保さんの確固たる信念に共感した阿部さんが「一緒にやろう!」と加わることとなり、2017年にUbie設立へと舵を切ることになります。

「AI問診ユビー」は、医療現場における業務効率化の一助となっていましたが、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、医療を取り巻く環境が一変。現在、日本では第3波が押し寄せ、医療現場は混乱を招いています。

久保さんによると、医療機関からは「患者さんと対面する前に、患者さんの(詳しい症状など)情報が知りたい」「コロナの可能性がある症状を持っている場合は、アラートを出す機能がほしい」といった要望があったそうで、そうしたニーズに応えるため、「先にスマートフォンから問診できる仕組みを構築し、どの医療機関の方からも非常に人気がある機能を提供できたことは、プラスだったかな」と胸を張ります。

医療現場に寄り添う一方で、Ubieは生活者向けの「AI受診相談ユビー」もローンチ。「多くの方が、自分がコロナかどうかすごく気にされていて、うつになる人が増えている。混乱していた時期だからこそ、急遽、一般の方に向けたサービスもリリースできた」と話していました。


イラスト:五月病マリオ



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<番組概要>
番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
2020.12.24

今の若者はLINEよりInstagram !? dot代表・冨田侑希「自分たちならではの使い方を発見し、開拓している」

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。12月19日(土)の放送は、前回に引き続き、dot(ドット)代表の冨田侑希(とみた・ゆき)さんが登場しました。


冨田侑希さん、ハヤカワ五味



◆「Z世代は“Why”から共感したい」(冨田)
dotでは、Z世代ならではの強みを活かしたさまざまなサービスを手がけています。高校生から大学生を中心としたZ世代のニーズやアイデアを必要としている企業。彼らと一緒に、新たなサービスの企画や企業の課題を解決していくための場の提供などを行っています。

つい先日も、クライアント9社を集め、学生向けに発信している会社案内などに関する情報を見て、Z世代はどう感じているのかを本音で語り合う会を実施したと、冨田さんは話します。

その際に、多くの企業の方が驚いていたのは「会社が発信している情報が、Z世代にとって“そこまで重視していないものが多かった”こと」。冨田さんは、「会社として“ここは別にアピールする部分ではないだろう”と思っていた部分が、実はZ世代にとってはすごく刺さることだった。例えば、会社のWebサイトに掲載している事業内容。これまでの実績などを発信されている企業が多かったが、Z世代は(そこに在籍している人の)人柄や、その会社がなにを目指しているのかなど、理念の部分をとても重視する子たちが多かった」とリアルな例を紹介します。

さらには「会社の事業内容を重視する子は少なく、その会社のストーリーや“Why”の部分から共感したい、というニーズが多いことが発見だった」と振り返ります。

また冨田さんによると、Z世代はビジュアルから感じ取る“直感”も大事にしているそうで、「(企業の)InstagramやSNSなど、最初にビジュアルから触れて、興味を持って情報を見に行く、ということが当たり前になっている」と言います。そのため、ビジュアルの第一印象で心がときめかない場合は、「その先に興味が向かない子が多かった」とも。

このように、重視するポイントの違いやニーズの認識のズレに気づかされた企業側からは「“(会社案内など情報の)伝え方を変えていかなければ”と感じた」といった感想が多く寄せられたそうです。

◆LINEは業務的なやりとりがメインに!?
冨田さん自身もギリギリZ世代ではあるものの、10代のころはSNSでの発信などに「積極的なほうではなかった」と言います。また、その当時といまを比較して驚いたのは、メインで使っているSNSツールの変化。

「私の大学生時代はLINEが主流で、LINEで連載先の交換をして仲よくなったらInstagramも交換する感じだった。一方で、いまの大学1~2年生に話を聞くと、LINEは全然使っていなくてInstagramがメインになっている。初めて会ったとき、自分のInstagramのアカウントが名刺のような感じで交換し合い、リアルでもよく会う仲になってからLINE交換する、という話でした。使うSNSのツールが、シフトしているんだなと感じました。(自分の頃とは)使い方や存在が変わってきていることに驚きがありましたね」と実感を語ります。

最近では、そこからさらに派生して「自分のInstagramのフォロワー向けに“もっと自分のことを知ってほしい”ということで、“プチYouTuber”のように、YouTubeを始める子がいます。自分の経験や得意なことを発信して、Instagramのフォロワーの子たちとコミュニケーションを取る子も増えていて、自己発信に対して気軽になってきている」と説明。

また、冨田さんがZ世代の人たちに、InstagramとLINEの使い分けについて話を聞いたところ、「『LINEは仕事』みたいな感じ。アルバイトの連絡など、コミュニケーションというよりも業務的なことはLINE(でのやり取り)がメイン。LINEはグループ機能があるので、『グループでなにか約束をするとき』に使用する。

対して、Instagramは鍵アカ(非公開アカウント)で非公開グループをつくれる。そのため、本当に仲のよい限定されたメンバーだけで、気軽に『いま、これをしている』『いま疲れている』などのやり取りをしたり、ストーリーズ(Stories)で写真を送り合ったりしている。だから(LINEよりも)Instagramのほうがコミュニケーションツールの機能としてはすごく楽しい。自分たちならではの使い方を発見し、開拓しているような感じがする」と分析します。

◆趣味嗜好が、ますますとがっていく
また、親子間での情報ギャップについてトークを交わすひと幕も。ハヤカワが特に興味を抱いていたのは、昨今、若者を中心に恋愛リアリティショーが人気を博している理由について。

「“親子で観なくていいようになったから流行ったのでは”という見方もある。自分が中高生だったころを振り返ると、恋愛もののドラマなどは、親と観なければいけない環境だとつまらなかった。それがいまは、スマホで個人の好きなものを好きなだけ観られる環境になったことで、テレビ1台でチャンネルを取り合っていた時代と比べると、趣味嗜好が、よりとがっていくように思う」と推察します。

そして、自身の姿勢について「だからこそ、次の世代が興味を持っていることを知ろうとするのであれば、そのツールに飛び込んでみるしかないし、自分から(知識を)得に行かなければ難しくなってきている。私は新しいカルチャーを追いかけていきたいので、いろいろなものを使うようにしていますね」と話していました。


イラスト:五月病マリオ



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パーソナリティ:ハヤカワ五味
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2020.12.17

「人と会う時間の“質”が高まっている」コロナ禍における“若者の意識の変化”をdot代表・冨田侑希が分析

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。12月12日(土)の放送は、dot(ドット)代表の冨田侑希(とみた・ゆき)さんが登場しました。


冨田侑希さん、ハヤカワ五味



◆起業の原点となった思い
冨田さんは、2017年に大学の自主ゼミを会社化。株式会社dotの代表として「Z世代」と呼ばれる若者たちを率いて、事業を展開しています。

Z世代とは、アメリカのマーケターの間で提唱されている区分のことで、中学生の頃からソーシャルメディア(以下、SNS)に触れ、高校生の頃からスマートフォン(以下、スマホ)を持つ1995年~2009年生まれの“ソーシャルネイティブ”な世代を指します。

ハヤカワも冨田さんもギリギリZ世代で、同学年で大学在学中に起業と共通点の多い2人。冨田さんが起業したのは、大学3年生のときに受けた客員教授として招かれた起業家による授業がきっかけだったそう。「そこでは、イノベーションや身のまわりで困っていることを解決するアイデアを形にする、という内容でした。その授業をきっかけにどんどんハマっていった」と言います。

当時、冨田さんは就活の真っ只なかで「インターンシップに参加し、将来どうしようかと悩んでいたのですが、就活にちょっと違和感があったんです。もっと学生視点で楽しいものにできないかと。そして、授業でプロジェクトを組んで活動していくなかで情熱を注ぐようになり“これを形にしたい”という思いが強くなった」

加えて、そのプロジェクトでは「“みんなで学び合える場”という雰囲気が自然発生的に生まれていたので、それがいまのチームdotの始まりです。このチームを続けて、学びを続けたいという思いが(起業の)原点にありました」と思いを語ります。

◆Z世代の特徴
現在は、高校生~大学生を中心としたZ世代のニーズやアイデアを必要としている企業と一緒に、新たなサービスの企画や企業が抱えている課題を解決していくための場の提供、学生時代から取り組んでいる“就活を変えたい”をテーマとしたプロジェクトの継続など、Z世代ならではの強みを活かしたさまざまなサービスを手がけています。

Z世代の特徴について、冨田さんは「普段、(チームdotで)一緒にいる子たちは私よりも若いんですけど、空気を吸うように当たり前の感覚でSNSのある時代に生まれてきた世代です。そのため、やっぱり上の世代の方たちとは育った環境や時代背景が違いますし、社会に対する価値観にもギャップがある」と説明。

例えば、Z世代では育児や家事は協力し合う、デートでの割り勘も当たり前、という感覚だそうで、「男女の差がそんなにない。あとは、SDGs(エスディージーズ/持続可能な開発目標)のような社会問題に対しても、“やらなきゃ”というよりは、自然体で共感しているという特徴もありますね」と補足します。

そして「“なぜ、そういう感情になるのか?”という根底の部分に、企業のみなさんはすごく興味を持ってくださっている」と実感を語ります。ここでハヤカワが「では、なぜZ世代がマーケティングの領域で注目されているのでしょうか?」と問うと、冨田さんは「例えば“新聞離れ”“家電離れ”など、若者の“〇〇離れ”がテーマとして挙げられることが多い。いままで中心で消費を動かしていたモノが、いまの若者には刺さらずに離れてしまっている。そうした危機感を早めに感じているのでは」と回答しました。

現在は、日本社会を動かす中心世代ではないものの、ゆくゆくはZ世代が社会を支える存在となります。それだけに、クライアントのなかには「“Z世代のニーズや価値観を知っておかないとマズい”という感じで、課題を持っていらっしゃる方もいる」と言います。

dotでの活動を通して、多くの企業が若者たちのリアルな声を聞く機会が少なく、「もっとZ世代の声を聞きたい」「彼らの声を会社に活かしたい」といったニーズの大きさに驚いたそう。「そうした声に応えることで、自分たちも“貢献できるんだ”という大きな喜びがあった」と胸を張ります。

◆コロナ禍で「所有欲」がなくなった
続いては、dotが見据える“未来”について。誰もがSNSで発言できる時代になったことで、冨田さんは「Z世代が求めているニーズを、会社や社会が受け入れやすくなってきている。クライアントと接していても、柔軟に形にしていく動きがありますね」と話し、「オーダーメイドのように、一人ひとりのニーズに合った、生きやすい暮らしや働き方がつくられていくといいな」と期待を込めます。

また、コロナ禍でさまざまなことがオンラインへとシフトしていくなかで、「Z世代からは『人と会う時間やモノを買うときの“質”が高まっている』という声をよく聞きます。人と会うときも、“いかにいい時間にするか”と自己投資に意識が変わってきているように感じる」と冨田さん。

これにハヤカワも「これからはモノを持たない人が増えてくるのではないか。いままでは所有することがステータスだったけど、(いまでは)シェアをしたり、借りたり。私自身も新品を購入して所有することへのこだわりがすごく減ってきている。モノの持ち方や使い方が変わっていくのかなと思う」と同意します。

新型コロナの影響で、自宅で過ごす時間が増えたこともあって、冨田さんも「“使っていないモノがたくさんあるな”と気づきがありました。だから“これ以上、モノを増やしたくない”という気持ちが高まっています。まわりからも『今年は消費するのをやめようかな』という声も聞こえてくる。自分のなかのこだわりと違うモノに対しては、そこまで所有欲はないように感じます」と頷きます。

続けて、「洋服などの自己表現、自分のオリジナルを出したいというニーズはある。そのため、自分のなかでこだわっているモノに対しては、シェアではなくて『自分で選んで身に着けたい』という声も聞きます。高級ブランドを持っていることをステータスに感じる、という声はあまり聞かないですね」と話していました。


イラスト:五月病マリオ


次回12月19日(土)の放送も、冨田さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

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2020.12.10

クリープハイプ・尾崎世界観「『枯れたな』『終わったな』って、まわりから言われるのがムカつく(笑)」

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。
12月5日(土)の放送は、前回に引き続き、11月24日(火)に開催したオンラインイベント「『妄想の泉』YouTube LIVE配信 第2弾」でのトークの模様をお届けしました。


(写真左から)尾崎世界観さん、ハヤカワ五味、カツセマサヒコさん



◆ラジオから「いろいろな世界を知った」(尾崎)
前回の放送では、ゲストの4人組バンド・クリープハイプの尾崎世界観さんとライターで小説家のカツセマサヒコさんが、どのようにして言葉を紡いでいるのか。その視点や思いに迫りましたが、今回の放送では「ラジオ」についてトークを交わしていきます。

尾崎さんがラジオにハマったのは中学生のときだそうで、「成績が悪くて、夏休みに親から『テレビを観るな』と言われて。そのときに、CDコンポに搭載されていたラジオのスイッチを押してみたら、流れてきた深夜のラジオ番組がものすごく面白かった。小学生のときは普段昼間に流れているAMのラジオしか聴いたことがなかったので、そのときの(ラジオの)イメージとは真逆の番組に“こんな世界があるんだ!”って。そこからいろいろな世界を知りましたね」と話します。

カツセさんも中学生時代にラジオにのめり込んだそうで、「当時、音楽の解禁はラジオが最速のことが多かった。“解禁日”の意味もわからなかったんですけど、“聴いたことのない音楽が流れた!”って、すごく衝撃を受けた。当時の僕は“世の中の最先端はラジオだ!”って思って、ずっと聴いていた」と振り返ります。

そんな当時のカツセさんが好んで聴いていたのは、月~木曜の22:00から放送されていたTOKYO FMの番組「やまだひさしのラジアンリミテッド」。現在も「やまだひさしのラジアンリミテッドF」(毎週金曜日 25:00~29:00 ※ネット局によって異なる)として続いており、尾崎さんもこの番組にまつわるエピソードが。

「昔、ライブハウスがアマチュアバンドを(番組に)推薦して、何週か勝ち抜いたらスタジオに出してもらえる、というコーナーで下北沢のライブハウスに推薦されたことがあったんです。1週目は勝ったんですけど、2週目にリスナーからボロカスに言われて……そのときの恨みがずっとあります!」と告白し、笑いを誘います。そう言いつつも、「そのときの悔しさがあったからこそ、ここまでこられた(笑)」と、自身でフォローします。

2人とも、ラジオならではの番組とリスナーとの距離感に魅力を感じている様子ですが、尾崎さんは「生放送のラジオ番組でのトーク」と「ライブでのMC」は、同じ生モノですが違いがあると言います。

「ライブだとなんとなくの空気感で思いが伝わってきます。一方ラジオでは(生放送中に届く)メッセージでなんとなくの空気感はわかるけど、リアルタイムではなく“自分が少し先を進む”という感覚なので、その怖さはありましたね。でも、そういう緊張感や不安要素がラジオの良さだと思う」。

また、「やっぱり緊張している人じゃないと、いい表現はできないと思うんですよね。自分は、めちゃくちゃ自信のある人の言葉って、あまり聴きたくない。だから、それは必要だと思う」と語っていました。

◆「どんどん吸収しないと…」(カツセ)
またこの日は、イベントをリアルタイムで視聴していただいていたリスナーからのメッセージにも答えました。

<リスナーからのメッセージ>
「お三方とも、アパレルや歌、言葉など、それぞれの得意分野かつ異なる視点から、多くの人にメッセージを伝えていてすごいなと思います。普段の生活で、どんなことにアンテナを張って、アイデアを考えているのか。また、それを目に見える形で表すときに、意識していることがあれば教えてほしいです」

この質問にカツセさんは、「本を書くようになって、初めて“インプットしなきゃ”っていうほうに頭が向くようになった」と言います。それまで、映画を観るのは年に1本ペースだったそうですが、「(作品を)つくる側になったときに、どんどん吸収しないと圧倒的に早く(知識が)枯渇していく感じがした。だから、“映画、音楽、小説”を“観る・聴く・読む”ようになりましたね」と語ります。

尾崎さんも知識が枯渇する感覚は常にあると言います。「“曲がつくれなくなるかもしれない”って焦ることもある。でも、“できなかったら仕方ない”という感じで、そこは気にしない。むしろ、『枯れたな』『終わったな』って、まわりから言われるのがムカつく(笑)。とはいえ、その怒りでまた(次に)動けるので、そういうときの気持ちはすごく大事にしています」と答えました。

◆ネガティブな気持ちを切り替えるには?
<リスナーからのメッセージ>
「私は、自分にとってマイナスな妄想ばかりをしてしまいます。特に“あのときの発言が、誰かを傷つけたかも”と考えてしまいます。そういう想いになったとき、どうやって気持ちを切り替えていますか? また、自分に自信を持つにはどうしたらいいですか?」

そんなメッセージに、尾崎さんは「僕もよく気にしますよ、“あのときの一言は余計だったかな”って。でも、楽しければ楽しいほど、自分の調子がいいときほどそう思うので、(リスナーさんのように)マイナスな妄想をしてしまうということは“やりきっている”からなんだと思いますね。“恥ずかしい”というのは大事」と考えを口にします。

ここでハヤカワが、「SNSをやっていると、そこで誰かを“傷つけちゃった……”ということもけっこうあるから、こういう心配事って多いと思うけど、どのように向き合っていますか?」と尋ねると、カツセさんは「SNSとリアルは、かなり切り分けている」と回答。SNSでなにかを言われたとき、「受け止めることは受け止めるけど“自分の読者ではなかった”と思うことで、一旦フィルターをかけている」と話します。

そう言いつつも、「怒りや悔しさは当然あるので、(尾崎さんの言う)“次はこの人がいいと思うようなモノを書こう!”っていう思いもちゃんと蓄積している」とも。

また、カツセさんはこのリスナーからの質問が“リアルな友人関係における悩み”だと推測し、「それは後日、時間が経ってでも『ごめん。勘違いかもしれないけど、もしかしたらあのときは言い過ぎたかも』って、恥ずかしくてもちゃんと言ったほうがいい」とアドバイス。

面と向かって言うことで、「自分に負債がなくなる。“あそこでちゃんと謝れたからオーケーでしょ”という形で、1個自分のことを好きになれると思う。そういう“自分自身との約束を守る”ということは大事なこと」と言葉を届けました。


イラスト:五月病マリオ


次回12月12日(土)の放送もお楽しみに!

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