• 2014
  • 06
  • 29

『第三の男』

製作:1949年(アメリカ)
監督:キャロル・リード
出演:ジョセフ・コットン/オーソン・ウェルズ/ほか

第二次世界大戦が終わった直後のウィーンを舞台に、謎の事故死を遂げた友人の死の真相を探る作家を描いたサスペンス映画の傑作。第23回アカデミー賞では最優秀撮影賞を受賞し、その年のカンヌ国際映画祭ではグランプリを受賞。


戸田奈津子
― 字幕翻訳家の戸田奈津子さんが語る『第三の男』 ―

この映画が公開されたのは私が中学生の時。戦争中、日本では外国の映画が見られなかったんですが、終戦の数年後、まだマッカーサーがいた頃に「アメリカの映画も見せてやろう」と解禁され、アメリカやイギリスの映画も見られるようになりました。そして当時、食べるものさえなかった時代に、スクリーンに別世界が映し出され、みんな夢中になったんです。

ただ、この『第三の男』は占領軍に支配されていて闇市があるような街のお話ですから、別世界というよりは日本によく似た状況のお話でした。モノクロなんですが、ウィーンの石畳の濡れた感じや焼けた建物の感じがすごく印象的です。映像、音楽、物語、すべてが素晴らしく「映画ってこんなにすごいんだ」と決定的に映画好きになったのがこの映画でした。

映画の舞台は戦後の混乱したウィーン。そこへアメリカの三文作家が失踪した友人を探しにやってきます。調べてみると、死んだとされたはずの友人がどうも死んでいないようでもある。廃墟の中、親友を捜し回るといろんな事件が起こっていき、果たして真相は……というお話です。光と影の映像も素晴らしいし、俳優たちも素晴らしい。そしてツィターというオーストリアの民俗楽器で奏でられる有名なテーマ曲も素晴らしい映画です。

一番胸が震えたのは死んだはずの友人が出てくるシーン。遊園地で観覧車の向こうから歩いて来る人がだんだん友人だと分かってくるような構図なんですが、すごくミステリアスな登場の仕方でした。「l shouldn't drink it. lt makes me acid.」を「今夜の酒は荒れそうだ」なんて訳した翻訳も素晴らしかったです。
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