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ACN presents 丸山茂樹のMOVING SATURDAY
personality 丸山茂樹
ACN presents 丸山茂樹のMOVING SATURDAY
日本はもちろん世界で活躍をしているプロゴルファー丸山茂樹氏が、"スポーツ" "ビジネス" "エンターテインメント"など様々な世界の第一線で活躍する方をゲストに迎え、「チャレンジ」「教育」「マネジメント」「ゴルフ」など、幅広いテーマでトークを繰り広げる、ラジオ番組を舞台とした異業種マッチプレーをお届けします。
personality 丸山茂樹
2022.7.31
日本のオリンピアンは対価が少ない!? 元競泳日本代表・田中雅美「北島康介の存在が水泳界を変えてくれた」

プロゴルファーの丸山茂樹がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY」。7月23日(土)の放送は、元競泳日本代表でスポーツコメンテーターの田中雅美(たなか・まさみ)さんをゲストに迎え、お届けしました。


田中雅美さん(左)とパーソナリティの丸山茂樹



◆シドニー五輪後、メンタル強化のために単身渡米

丸山:まずは簡単にプロフィール紹介を。田中さんは、1979年生まれ、北海道出身。7歳のときに水泳を始め、地元で注目され中学卒業後に上京。高校時代、日本水泳選手権で100mと200mの平泳ぎで2冠を達成。高校2年生のときに、長崎宏子さんが保持していた女子100m平泳ぎの日本記録を11年ぶりに更新。2000年シドニーオリンピックの女子400mメドレーリレーで銅メダルを獲得し、現役を一時引退されたと。

田中:引退という形になっていますけど、アメリカに2年ほどいて、日本の大会には一切出ないという。2004年のアテネオリンピックを目指すうえで、メンタル的にもっと修業せねばと思いまして。

丸山:やっぱり水泳もアメリカですか?

田中:当時、アメリカに各国の選手が集まってきてトレーニングしていたので。あと、メンタル的に言葉の壁を感じたくなくて、そういう強さも得たくて渡米したんですけど。

丸山:そうですよね。(世界で戦うとなると)横にいる選手のほとんどは英語ですもんね。

田中:ただ、どの練習が合っているかは別に場所ではなくて、心の持ちようなんだなということも学ぶために。全米選手権でとある平泳ぎの選手がものすごくカッコイイ泳ぎをしているのを見て、“あの選手のような泳ぎがしたい!”と思って調べたら、バージニア州の出身で。

丸山:はい。

田中:そこのコーチにメールアドレスを聞いて、「練習させてください」とメールを送って。何のつてもないのに、飛び込んで行きました。

丸山:そういうときって、女性のほうがけっこう勇気があるんですよね。

田中:もうできないです(笑)。

丸山:(笑)。若いときだからこそですよね。その後、2004年のアテネオリンピックへ出場したいとの思いから、現役に復帰されて。それで見事アテネオリンピックの出場権を獲得するというのは、すごいですね。後輩からはいろいろと質問されますか?

田中:いや、あんまりないですね(苦笑)。やっぱり若い子は強いですよね。

丸山:時代的に、下の世代から上の選手に話しかけてくる選手って少なくなったと思いませんか?

田中:私たちよりもちょっと上の先輩たちはけっこう怖いというか。話してみたら本当はやさしいんだけど、当時は上下関係がしっかりあった時代でしたから。今はけっこうみんなやさしくて、例えば、入江陵介(いりえ・りょうすけ)選手もすごく後輩選手のケアをしているし、スポーツキャスターとして活躍している寺川綾(てらかわ・あや)ちゃんも後輩選手とすごく交流していますし、私も今は綾ちゃんともご飯を食べに行くし、今は10歳ぐらい下の仲間とよく集まっています。

丸山:そうなんですか?

田中:引退してからのほうが、けっこう仲良くなるのかもしれないですね。

丸山:なるほど。そして、現役引退して2005年8月にフリーダイビングのダイナミック・アプネア・フィンなしで96mの女子日本新記録を樹立と。

田中:練習のときに、けっこう意識を失いかけて……(水中から)上がってきて何秒以内に(片手でOKサインを出して)「アイム・オーケー」と言わないと、記録がダメなんですよ。

丸山:ふらふらして、それが言えないとダメなんですね。

田中:無意識に口がガクガクして動かなかったり、そのままスッと意識を失ったりしてしまう可能性があるので、そのギリギリのところをいくんですけど、けっこうしんどかったですね。

丸山:はい。

田中:今、女子の日本記録はもう120m以上だと思います(※2016年7月 濱崎友美選手・160m)。

丸山:えっ!?

田中:どんどん記録が伸びていて。

丸山:どうやって鍛えているんですかね?

田中:酸素を全身に取り入れるトレーニングを勉強しました。

丸山:全身に?

田中:空気を飲み込むんですよ。で、酸素を使わずに体を動かすんです。だからゆっくり泳ぐんですよ。

丸山:息を止めているのに、ゆっくり!? ズバッと一気にいったほうが良さそうな気がしますけど。

田中:体を動かすには酸素が必要なので、いかに酸素を使わないで体を動かすか。イルカのように上下動で前に進むぐらいのペースが長くできればいいんですけど。

丸山:逆なんだ……。

田中:ゆっくりゆっくり。

丸山:勉強になりました。

◆日本水泳界にとって大きかった、北島康介の存在

丸山:日本のオリンピック選手ってめちゃくちゃ注目されるわりに、対価が少ないじゃないですか。海外のオリンピック選手は、金メダルを獲っただけの対価があるというか。

田中:日本の水泳界も徐々に社会人スポーツになっているんですけど、私が現役だった当時は学生中心だったんですね。だから、オリンピックを目指して日本代表になることを目標としていたので、それほど職業として意識する人は多くない時代でした。

丸山:なるほど。

田中:ただ、今は社会人スポーツになって、対価を得ている選手もいるらしいです。うらやましい(笑)。

丸山:北島康介(きたじま・こうすけ)くんとは友達でよく一緒にゴルフをするんですけど、彼は成功してすごく華やかな生活ができているし、次の世代の水泳選手に大きな希望を与えたのかなって。

田中:そうですね。康介の存在が水泳界を変えてくれました。

丸山:彼のように、時代を変えるような選手が出てこないと変わっていかないですもんね。日本のアスリートってもっと華やかなところにいってほしいなと思うんですよ。スポーツを始める子どもたちに、夢を与えるような位置に、水泳もいってくれたらいいなって。でも康介くんに聞くと、水泳人口はそんなに増えているわけではないと。「どうやったら増えるかな?」という話をよくするんですけどね。

田中:難しいのが、システム的に、結果が出るとプロになれるんですね。私が現役だった当時、プロはいなかったんですけど、康介が初めてプロになってくれて。世界で結果を出すとプロになれるという条件があるんだけど、目指す人が必ずしもプロになれないんですよ。

丸山:はい。

田中:プロになれたとしても、その先ずっと結果を出せるかというと、水泳という競技はピークの時期がそれほど長くないんです。

丸山:ですよね。超肉体労働ですもんね。

田中:そのあたりは、改革できるところではあると思います。

「AuDee(オーディー)」では、時間の都合上カットしたトーク部分も盛り込んだ「ディレクターズカット版」がアップされています。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができますので、ぜひそちらもチェックしてください。

<番組概要>
番組名:NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/

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