石丸:池井戸さん、今週も宜しくお願いします。
ここでは、人生で大切にしている“もの”、“こと”についてお伺いしてまいりますが、今週はどんなお話をお聞かせいただけますか?
池井戸:今日は「写真」についてです。
石丸:それは撮ること、ですか?
池井戸:撮ることですね。
石丸:いつ頃から興味を持たれたんですか?
池井戸:高校の頃から一眼レフを持ち歩いているカメラ小僧だったんです。
石丸:どういうものを撮ってらっしゃるのですか?
池井戸:たいしたものを撮ってはいなくて、看板とかですね(笑)。
本当は人物とか撮りたいんですが、なかなか難しくて。
石丸:え、どうしてですか?
池井戸:撮るときに、「すいません、写真撮らせてもらっていいですか?」と一言声をかけないといけないじゃないですか? 石丸さんもたまに、隠し撮りされることありますよね? そういうことは絶対にやりたくなくて。そもそも、その人に気づかれずに撮った写真は、写真として成立してないと思うんですよ。
石丸:なるほど。
池井戸:「撮っていいですか?」と訊き、「いいですよ」と言ってもらって、撮っていること、撮られていることがお互い分かっているのが、正しいポートレート写真の在り方だと思うんですよね。
石丸:そうですよね。
池井戸:撮られていることが分かっていない報道写真とは違い、僕が撮りたいのは、人間味のある表情だったりするので、それはやっぱり近くまで寄らないとできないんですよね。
石丸:うんうん。
池井戸:けれど、「ちょっといいですか?」ってのが、なかなか、どうしても言えなくて。
石丸:本当は撮りたいんですよね。
池井戸:仕方がないんで、看板とか道路とか、許可がいらないのを撮って(笑)。
石丸:今でも、一眼レフですか?
池井戸:今はさすがに使っていないですね。昔のカメラはフィルムで、未だにフィルムを使う人いるけれど、意外に、iPhoneとかのカメラの性能はいいんですよ。
石丸:そうですね。
池井戸:白くて色が飛びそうなのも、iPhoneですごく綺麗に撮れるんですよね。それを、普通の一眼レフで、マニュアルで撮ろうとすると、けっこう難しい。iPhoneの画像に負けますね。
石丸:私たちは、iPhoneのすごいカメラを持ってるってことですね。
池井戸:例えば、100万円以上するようなライカも、手動なわけですから、iPhoneでパシャッと撮る方がはるかに良い画像だったりするんですよね。
石丸:上質なカメラが身近になったと。
池井戸:そうですね、今は、みんなが一番写真を撮ってる時代なんじゃないですかね。