石丸:このサロンでは、人生で大切にしている“もの”、“こと”についてお伺いしていますが、今週はどんなお話を聞かせていただけますか?
東儀:今日は好奇心についてお話しします。
石丸:現在は何に興味を持たれていますか?
東儀:よく聞かれるのですが答えられないのです。人一倍趣味が多く、例えば車やバイク、スキーやスケート、編み物や刺繍など色々あります。
全部並行していて、裁縫をしていたと思ったら、いきなりバイクに夢中になって直していたり。支離滅裂なので、それらが同時に進行しているんです。
石丸:ブームが去るということはあるのですか?
東儀:ある程度の波はありますがないですね、増えていく一方なのです。
好奇心って持つものではなくて、掻き立てられるものなのです。頑張るものではなくて、図らずとも持ってしまっている、というものだと思うんですよね。
僕は子供の頃から何でもやってみないと気が済まない性格で、例えば、人がやっている楽しそうなことを、“自分だったらどのぐらい楽しめるだろう”と、自分に置き換えるのです。そうなると、居ても立っても居られないくてすぐにやってみる。
やってみるんだけれど、どこかで自分がものすごく器用なことを知っているから、“ある程度のことは何でもできるさ”っていう高飛車な気持ちがあって、人に説明されるのが煩わしいんですよ。
石丸:うんうん。
東儀:何かを始める時に、僕はその道のプロになろうと思っているわけではないので、一からコツコツやろうとは思っていないんです。いち早く楽しいところを楽しみたいんです。
例えば馬で走る場合、上手く走っている人を見た時にものすごく観察しているんですよ。
“膝の角度があのぐらいか”とか、“腰をこのぐらい浮かしている”とか、“あの上手い人は自分だ”と、イメージをして実際に跨った時に、“あれを今やればいいんだ”という気持ちになるんです。
石丸:しっかり観察をしている時間があって乗っているんですね。
東儀:そこで、走るってことがままならず落馬してしまうこともありますから。
「逆算チャレンジ法」というのを自分で持っていまして。
石丸:「逆算チャレンジ法」?
東儀:馬に乗って楽しむ場合、一番上に「走る」という行為があって、その下に早歩き、歩く、跨る、と、ありますよね。
「基礎から教えてください」と言うと、「まずは跨りましょう」から始まって、歩かせてももらえなくて。
だけど、僕は走りたいから走るところから入っていくんですよ。
石丸:なるほど。
東儀:走る事が上手くいかないなと思ったら、「じゃあ早歩きから始めよう」と、一つ下げます。
早歩きができたら、もう一回走ってみる、それで上手くいけばこの2段で楽しいところに突入していけるじゃないですか。
早歩きも駄目だったら、歩くところまで降りて、3段階で出来ます。それでもダメで基礎から始めた場合、走りで失敗した経験を持っている人が基礎から始めるのと、何も知らないで基礎から始めるのでは進み方が全然違うと思うんですよ。
石丸:そうですね。
東儀:だから、楽しいところから入っていくというのも、失敗しても、後々絶対にいいやり方だと信じています。
石丸:誰もが出来るわけではないかもしれませんけど、物の考え方ですよね。
東儀:人によって、“基礎からきっちりやっていくのが好きなんだ”という人は、その人のやり方だから良いと思います。
石丸:逆算は、東儀流ということですね(笑)。