石丸:最終週は、“時を重ねながら、長く大切にしていきたいこと”をお伺いしたいと思います。
東儀さんにとって、それは何でしょうか?
東儀:まず第一に、家族との時間でしょうね。
石丸:いま、ご家族はお子様が中学生になられたと。
東儀:中学1年生の息子と家内との3人家族ですね。
石丸:お仕事が終わるとすぐにお家に帰るというお話をなさってましたけども、家族と会うということは確認する何かがあるんですか?
東儀:確認する必要が何もないぐらい、すごくコミュニケーションが豊かな家族なんですよ。うちの場合は家族それぞれの気持ちがみんな分かり合えているような気がして、すごく居心地が良いんです。
世帯主として気張るとかそういう必要が全くないし、すべてがイーブンでありながら親子という、教えなければいけないこと。先を行くもの、跡を追ってくるものっていう関係がしっかり守られてると思います。僕にとっては一番大切な場所でもありますね。
石丸:家族が密になるきっかけになったことってありましたか?
東儀:きっかけもないんですよ。ただ、僕が47歳ぐらいのときに生まれた子供なので、親として相当経験をしてきている上での子供だから余裕があったのかもしれないですね。
で、こんな性格だから。じたばたしない、迷わない、自分で考えることで正解を持つっていう変な自信があるとかね(笑)。
なので、子供に対していつでも胸を張っていられる。こんなことでいいのかなっていうことが僕には一切ないから、子供が不安を感じないんだと思うんですよ。
赤子から幼稚園に上がるまでの子供ってすごく敏感で、言葉にしなくても親の空気っていうのを誰よりも読むんだと思うんですよ。
だけど家には、“パパが何考えてるんだろう”とか、“パパに怒られるかな”とか、親からしてみれば“子供の気持ちが分からない”とか……。
そういう迷いが一つもないんですよ。だから、家族の中で口論したことがないんです。
家内とも夫婦喧嘩を1回もしたことがなくて、子供も人が喧嘩するっていうことを身近で味わってない。それに、本当によく喋る家族なんですよ。朝晩とご飯を食べるときは家族揃って食べることがほとんどなので。
子供が何か話しかけたときには、自分がやっていた仕事はスパッと止めて、顔を向けて目を見て全部聞くようにしています。
石丸:お子さんの目を見て。
東儀:そうですね。「あとでね」って言うと、旬が過ぎたときには話したくなくなっちゃうっていうこともあるから、それを逃すのはもったいないですよね。子供が成長していく時間の一分一秒すべて逃すものか、って思っているので話しかけられたときには全部聞いてやるっていう気持ちですね。
そこで、僕の意見と交換するということをしてきているから、“どうせ言ったって誰も聞いてくれない”ということがないので孤立しないんです。なので学校で嫌なことがあっても、“家に帰ってパパに話したら面白がってくれるかもしれない”と。それくらい、彼も相当プラス思考な人になっていると思いますね(笑)。