石丸:このサロンでは、人生で大切にしている“もの”、“こと”についてお伺いしていますが、今週はどんなお話を聞かせていただけますか?
首藤:今日は「自分のスタジオ」についてお話ししたいと思います。
石丸:私も首藤さんのスタジオで一緒に稽古したことがありますが、どういう思いで、海に近い、あの場所にスタジオを構えたんですか?
首藤:東京バレエ団にずっと所属していて、2004年に離れ、2005年からフリーランスになりました。自分でレッスンする場所がなかったんです。
物件を探していた頃、これは本当に出会いなんですけど、芝浦に住んでいた友人から「家の下の2階が空いたよ」と言われて、初めてその土地へ赴いたところ、昔のニューヨークのダウンタウンのような、倉庫街のようなイメージを持ちました。
すごく静かでいい空気を感じたので、ここにしようと決めました。
石丸:東京なのに喧騒がないという感じですよね。窓からは海も見えますよね。
首藤:そうですね。とても古い建物なので、窓も鉄窓なんです。
石丸:日本ではないような雰囲気があります。
首藤:九州出身ということもあると思うんですけど、建物と自然が隣り合わせのように繋がっている場所が好きで。
窓から光が入って、澄んだ空気が通っていて、緑が見えたりと…通っていたバレエ教室と立地が少し似ているんです。なので、本能的にそこを選んだんだと思います。
石丸:東京でそんな素敵な場所は、ありそうで、ないですよね。
首藤:そうですね。これだけは出会いなので、感謝しています。
石丸:毎日のレッスンもスタジオでされていますよね。
首藤さんのレッスンはどういうもので、どの時間帯にやるのか教えていただけますか?
首藤:バレエには決められたレッスンがあって、バーという棒に捕まって膝を屈伸させるプリエというものと、アンデオールといって、つま先を外側に180度ぐらい開いて行うものがあります。
その筋肉って普段の生活では使わないじゃないですか。毎日少しずつ、日々動かすことが大事で、一日寝るとすぐに戻ってしまうので毎日やらないといけないんです。
石丸:そのための継続なんですね。
首藤:バーレッスンと、バーから離れて自分の力で立ってセンターで行うレッスンがだいたい1時間15分から1時間半ぐらいかかるんですけど、その前後にストレッチをしたり、筋力トレーニングをしたりと、毎朝3時間ぐらいは必ず稽古をしています。