石丸:このサロンでは、人生で大切にしている“もの”、“こと”についてお伺いしていますが、今週はどんなお話を聞かせていただけますか?
秦:今日は「ギター」についてです。
石丸:最初に手にしたギターは、お兄さんのギターだと伺いましたが、これは何歳の時だったんですか?
秦:12歳ぐらいだったと思います。
石丸:マイギターはいつ頃手に入れられたんですか?
秦:アマチュアでライブをするようになって一本買ったんですけど、それをライブでしばらく使っていました。
デビューするタイミングでプロのレベルでも耐えうる、ある程度いいギターを持っておいた方がいいなと思って新たに買いました。
石丸:それはどんなギターですか?
秦:ギブソンというメーカーのJ-45という本当に有名なギターなんですけど、いろんな楽器屋を本当にたくさん回って、予算も全然なかったので事務所にお金を借りて買いに行きました。
それでも予算オーバーしてたんですけどね(笑)。
石丸:弾いてみた手応えは?
秦:弾いても良い音がしましたし、お店に入ってそのギター見た瞬間に“これだ!”と思ったんです。ちょっと光ってたくらいに感じました。
石丸:一目惚れだったんですね。
秦:そうですね。“このギターだったら”と思えるようなギターでした。それ以来、ライブでもレコーディングでも、その一本でやっているくらいです。
石丸:これと定めたものを長らく使っているという感じでしょうか。
秦:たくさんあるとなかなか弾ききれないというのもあるんですけど、それでもすごく増えていってしまって今は20本以上持っています。そんなに多くない方だと思うんですけどね。
出会いというのもあるんですけど、一本一本音が違うので、“レコーディングではこういう音が欲しい”とか“こういうギターがあったらいいのに”ということで買ったりしてちょっとずつ増えていきました。
石丸:その20本の中でも、どんなホールやスタジオに行っても必ず使うのは先ほどお話にも出たギブソンだと。
秦:そうですね。一番弾いてますし、ギターの癖みたいなのが染み込んでいて、一番自分らしいパフォーマンスが出来るギターだなと思いますね。
石丸:一生手放せない1本ですね。
どのギターを使うかという基準というものがあれば教えてください。
秦:弾く時の基準としては、“どういう音をそこで欲しているか”なんですけど、ライブはJ-45が自分のパフォーマンスとして自然に引き出されていくので、ライブではなるべくそれを使いたいなと思っています。
レコーディングは、楽曲がどんな曲かによって、どういう音色が欲しいかでギターを変えています。もちろん、J-45は自分が一番慣れ親しんでる音なので選ばれることは多いですね。
石丸:秦さんにとって、ギターとの関係は?
秦:自分が音楽を始めた形が“ギターを弾いて歌う”ということで、もう自分の音楽=ギターですね。
音楽を表現するということは、ギターを弾いて歌うということだし、曲を書くときも主にギターを持ちながら作るという意味だと、音楽の始まりなのかなと思います。