石丸:このサロンでは、人生で大切にしている“もの”、“こと”についてお伺いしていますが、今週はどんなお話を聞かせていただけますか?
笠原:今日は「伊集院静先生の本」について話したいと思います。
石丸:伊集院先生はたくさん本を出していらっしゃいますけど、具体的にどういう本を大切にしてらっしゃるんですか?
笠原:伊集院先生の本はたくさん読んでいて小説も好きなんですけれども、僕が一番の好きなのは「大人の流儀」というシリーズです。
“大人の男だったらこういう風に振る舞え”というような感じで書かれているエッセイになります。
石丸:エッセイを読まれた後、本に書かれていることを実践されることもありますか?
笠原:伊集院先生が大好きなので、伊集院先生の言っていることは全部真似してますね。“お寿司屋さんに行ったらこう振る舞え”とか“お酒を飲む時はこうだ”とか。“初対面の人に会う時はこういう服装で行きなさい”などの礼儀作法的なことまで、あらゆることですね。
石丸:親父みたい感じですね。
笠原:本当にそう思っています。
石丸:一番ここが共感したという部分があれば教えてください。
笠原:伊集院先生も昔、弟さんを亡くされていて、奥様も早くに亡くされているんですが、私も早くに両親を亡くしているんです。
それと、妻も早くに病気で亡くしたので、そこが伊集院先生と似ているなと思って一番共感を得ました。
でも、伊集院先生は「自分だけが不運だと思うな」と本の中で言っているんです。
伊集院先生も、“どうして自分の身内が早くに亡くならなければならないのか”って思った時代もあったらしいんですが、あまり不運な人生だと思うと亡くなった方々に失礼だと。
石丸:その言葉を読んで、笠原さんはどのような気持ちになりましたか?
笠原:当然悲しかったんですけれども、その分楽しく生きてやろうと思いました。
石丸:ポジティブになったんですね。
そして、ご家族を亡くされたことが様々な転機にもなったと思います。お店を出される際のきっかけにお父様やお母様の存在は関わっていますか?
笠原:そうですね。元々、父親と母親が二人で焼き鳥屋をやっていたんですが、二人とも本当に若くして亡くなってしまって。
まだまだ仕事もしたかっただろうなと思ったので、僕もお店を始めたときは両親の分も働いてやろうっていう気合がありました。
両親二人の分も入れた三人分働いてやろうと思いましたね。