TOKYO FM
GRAND SEIKO

Articles― 最新のTHE NATURE OF TIME ―

04 Jul.2020
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Vol.66 小澤征悦さん(俳優)

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石丸:これから4週にわたり、宜しくお願い致します。この番組では人生で大切にしている“もの”、“こと”、“場所”についてお伺いしていますが、今日はどんなお話をお聞かせいただけますか?
 
小澤:今日は「ボストン」についてです。

 
石丸:お生まれはアメリカですか?
 
小澤:僕には姉がいるのですが、2人ともサンフランシスコ生まれです。僕が生まれて間もなく、ボストンに移住しました。
 
石丸:ボストンには何年くらい住んでいたんですか?
 
小澤:3歳半くらいまで…日本で言うところの保育園くらいまでですね。幼稚園からは都内の学校でした。
 
石丸:その後、留学で渡米されたと伺いました。
 
小澤:大学在学時に1年間休学をして、交換留学という形で留学したんです。
ちょうど2年生が終わった辺りで(留学のために)行ったのが、ボストン。
 
石丸:どうしてボストンへ?
 
小澤:当時、親父(小澤征爾氏)がボストン交響楽団の常任指揮者をやっていたので、ボストンにしました。うちの親父は29年か30年、常任指揮者をやっていて(1973年〜2002年まで音楽監督として在任)、アメリカの指揮者の中でも最長らしいんです。
 
石丸:そうなんですね。
 
小澤:そうなんです。だから物凄く“ボストン愛”が強いというか。自分も幼少期はボストンで育ったし、学生時代も毎夏、ボストンに行っていたので…。
 
石丸:じゃあ、馴染みもあるし、必然的に“ボストンに行ってみよう!”となったわけですね。
 
小澤:1年行って、キチンと英語を勉強し直そうと思いましたね。
うちの親父にも背中を押されました。
 
石丸:どういう言葉で背中を押されたんですか?
 
小澤:うちの親父は、世界中を飛び回って自分の道を切り開いてきた、“パイオニア”みたいな存在で、今までそうやって頑張ってきたし、今でも頑張っている。だから、“海外へ行って色々な人たちと会って自分の世界を広げる大切さ”を骨身に染みて分かっている人なので、「その為には、英語はコミュニケーションを取る上で不可欠だ」と。
高校生の頃から、親父に「留学した方が良いんじゃないか」とずっと尻を叩かれていたんですよ。でも、僕は部活をやっていたし、仲間もいて楽しかったので、「(留学に)行く行く!」と言いながら全然行かなかったんです。でも、大学2年生になった頃に、“うちの親父が言っていることって何か意味があるんだろうなぁ”って大学生ながらに思うようになって、ある晩、勇気を持って…。
 
石丸:やっぱり、勇気が要るものですか?
 
小澤:勇気が要りましたね。親父に「ちょっと話したい事があるんだけど」って言って、「前から言ってくれている留学の話、俺もやっぱりした方が良いと思うんだよね。どう思う?」って聞いたら、「絶対に行った方が良いよ」と言ってくれて。それで協力して貰って、ボストンに行く事が出来たんです。
 
石丸:ボストンへ行ってみて、自分の中で何か新しく変わりましたか?
 
小澤:贅沢な事なんですけど、ボストンに1人で行って英語の勉強だけをやっていると、時間が余るんですよ。それで “英語の勉強以外に何かやりたいことはなかったかな?”と考えた時に、昔から映画を観るのが好きだったので、“そうだ、映画だ!”って思ったんです。その時は“監督とか出来たら良いな”とちょっとだけ思っていたんですけど、チャンスがなくて。それで、ボストン大学の芸術科に演技の専攻があったので、(演技を)学ぼうと。

 石丸:“俳優になりたい!”というスイッチは、どのあたりで入ったんですか?
 
小澤:演技のクラスで、 “自分で映画や舞台のワンシーンを選んできて、自分なりに勉強して、それを(演技して)発表する”という期末テストがあったんですよ。これ、自分で選んだものなので、何の言い訳も出来ない。
先生に「これをやれ」と言われてダメだったら、「だって“やれ”って言われたから」って言い訳が出来るかもしれないけど、全部自分で選んでいるので。
英語もそんなに上手くないから、発音もちゃんとしようと思って、何十回も台詞を言って勉強もしました。
 
石丸:徹底的にやったんですね。
 
小澤:徹底的にやったんですよ。それで無事に終わったと思ったら、演技の先生が近づいてきて一言、「Wonderful!」って言ってくれたんです。
この「ワンダフル」の一言は、さっきも言いましたけど、“全部自分がやっていること”(に対しての言葉)じゃないですか。自分で選んで、自分なりの勉強で発表したことに対して「ワンダフル」って言ってくれた。この、可能性!
監督もやりたかったけど、芝居、演技って、“お客さんが観る最初の情報”じゃないですか。
 
石丸:そうですね。
 
小澤:役者が目線一つ動かす、手一つ上げる下げるで、そこに何か情報があったりする。すごく直接的な表現である。
それを「ワンダフル」と言われた瞬間に、“俺、役者やろう!”って思ったんですよね。単純過ぎる(笑)。
 
石丸:でも、先生はそうそう安易に「ワンダフル」とは言わないだろうし、一番響く一言ですよね。
 
小澤:そうですよね。あれ、他の生徒にも言ってたのかなぁ?
 
小澤・石丸:(笑)。
 
小澤:覚えてないですけどね。
 
石丸:“人の前で演じた”という意味では、それが第1回目。
 
小澤:1回目です。
 
石丸:ワンダフル! 素晴らしい!
 
小澤:ありがとうございます。
 
石丸:小澤さんにとって、色々と学んだ街・ボストンは、どういう街でしょうか?
 
小澤:“僕にとってのボストン”は、もちろん、うちの親父と過ごした時間も大事ですし、自分で単身乗り込んでいって、最初はとっても不安だったんですよ。でもそういう事を乗り越えて、(最初に)芝居に触れて、あのボストンがなかったら、俺は今、役者をやっていないんじゃないかな?
そのぐらい、ボストンでの1年は濃厚でした。自分にとっては、“第二の故郷”ですね。

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