石丸:このサロンでは3週にわたって、人生で大切にしている“もの”、“こと”についてお伺いしてきました。最終週は “時を重ねながら、長く大切にしている“こと”について聞かせて頂けますでしょうか?
小澤:それは「家族との時間」です。
石丸:小澤さんにとって、どんな時間ですか?
小澤:“家族との時間を大切にする”のは当たり前のことかもしれないんですけど、特に覚えているのはクリスマス。子供にとって、クリスマスは特にワクワクするものじゃないですか!
石丸:そうですよね。小澤家ではどんなクリスマスを過ごすのですか?
小澤:今でもそうなんですけど、小澤家では必ず毎年もみの木を買ってきて、オーナメントを付けて電飾を巻いて、クリスマスツリーを飾るんですよ。
なので、子供心ながら、クリスマスツリーの飾り付けを始めるところから“もうすぐクリスマスだ!”というワクワク感が始まります。
僕は、普段は朝弱い方なので寝坊して遅れて起きるような人なのに、クリスマスの朝だけはパチっと目が覚めてね(笑)。
石丸:プレゼントを見に?
小澤:プレゼントが木の下に置いてある、あのワクワク感や高揚感みたいなもの、それこそが僕の両親がくれた一番大切なプレゼントだと思うんですよね。
石丸:お父さんがああいう形でお仕事をなさっていると、毎年は会えないんじゃないですか?
小澤:うちの親父は、昔忙しく(世界を)飛び回っていた時でも、クリスマスはちゃんと帰ってこれるようにスケジュールを組んでいましたよ。いまは以前に比べたら仕事のペースもゆっくりになりましたけれども。
石丸:凄いですね!
小澤:もちろん、帰ってこれない時もあったと思います。でも、僕の記憶の中では、“クリスマスは両親と姉と家族全員で集まって一緒にいる”という思い出が強いんです。それは(家族から)貰った素敵な時間、思い出だから、こうやって仕事を始めてからも、一緒に過ごせるように心掛けています。どうしても行けない時は食事の最後だけでも駆け付けるとかしていますね。
石丸:これは多分、このままずっと続きますね。
小澤:僕はまだ結婚していないので、“結婚したらどうなるのかなぁ?”とか思いますけど、もし僕が結婚して子供が出来たら、その子供や自分の周りにいる大切な人にも自分が貰った素敵な時間を分けてあげたいなと思うし、そういうのが繋がっていくのかなって。
石丸:そうやって必ずクリスマスには家族で会えるということは…。
小澤:心の励みにもなりますよね。“この日は絶対に会おう”とか、人が人を想うことだけで贅沢な時間なのかなと思います。
石丸:小澤家の生活スタイルでは家族が揃うことは少ないのではと思うんですけど、クリスマス以外では、コミュニケーションはどう取っていたんですか?
小澤:うちの親父は当時、世界中を行ったり来たりで1年の半分は日本にいなかったんですね。だから離れている感じに聞こえるかもしれないですけど、うちの親父はね、海外にいる時は、毎日電話してくるんですよ。「どうだ調子は?」「今日はどうだった?」なんて、普通の会話をするんですけど。
石丸:毎晩会っているような会話をするんですね。
小澤:その時の僕は学生で、学校へ行って部活をやって帰ってくる毎日。だから“昨日”と“今日”の違いはあまりないんですけど、毎日「どうだ調子は?」「今日はどうだった?」って言われると、“何も変わってないんだけどな”と思いつつも「普通にやっているよ」みたいな。
そうやって毎日電話してくれたことによって、(親父と)離れていたという感覚が僕の中にはあまりないんですよね。今にして思えば、それは親父の優しさだなって思うんですよね。
石丸:そうですよね。
小澤:時差もある中で、電話する時間も考えなければいけないし、毎日電話するのも大変だろうし。それを続けてくれたというのは、それこそが“日本に居なくても家族の時間を作ってくれていたのかな”って思いますね。
石丸:素敵な時間だなぁ。
小澤:そうですね。