石丸:このサロンではゲストの皆さんに人生で大切にしている“もの”、“こと”についてお伺いしていますが、今日はどんなお話をお聞かせいただけますか?
関根:今日は「五木ひろしさんの曲『山河』」についてです。
石丸:五木さんが2000年に出されている曲ですよね。この曲がどうして好きなんですか?
関根:まず、詞に感動しましてね。
石丸:曲は堀内孝雄さん、詞は小椋佳さんですよね。詞の何処に惹かれたのですか?
関根:人生の道程、生きて来たことを「山」と「河」に例えているんですよね。家族や仲間、愛する人に、“自分が歩いて来た人生は正しいんだろうか? 美しく映っているんだろうか?”と問いかけているんです。それが(心に)すっごい染みてくるんですよ。
ですから、カラオケに行くと、まず前半で歌うんです。そして締めで歌って、“これからも綺麗な山河を生きていこう!”と自分を戒めて帰るんです。
石丸:カラオケで!?(笑)
関根:そうです。人間って、直ぐに甘えたりダレたり隙を見せたりするでしょ?
石丸:まあ、そうですね。
関根:そういう事がないように、これからもちゃんと生きて行こうと。
石丸:では、関根さんとカラオケに行く機会があったら、必ず聴ける曲ですね。
関根:『山河』は歌いますね。それを(明石家)さんまさんの番組で喋っていたら、五木さんが偶然(番組を)観ていてくれて。僕がやっている昭和歌謡の番組に五木さんがゲストでいらしてくれた時に、「さんちゃんの番組観たよ! 僕の『山河』そんなに歌ってくれてるの?」なんて言われてね(笑)。
石丸:そうだったんですか(笑)。
関根:そうなんです(笑)。だから僕、作曲の堀内孝雄さんにも「自分を引き締める為に歌っているんですよ!」って言ったら、(口調を真似て)「嬉しいね。ありがとう!」って言ってくれて!
石丸:それは嬉しいですよね。
関根:僕、作詞の小椋佳さんにも同じように熱く語ったんですよ。そしたらね、(口調を真似て)「ああそうですか。まあ皆さんそれぞれの解釈で聴いて頂ければ結構です」って。
石丸:結構ドライですね。
関根:(曲を作る過程の)裏側の話が面白くて。堀内さん、小椋さん、じつはお二人とも作詞作曲、両方出来るんですよ。
石丸:あっ、そうですね!
関根:だから、堀内さんの方から(小椋さんの詞について)「こういう風に歌いたいから、ここの詞を変えても良いですか?」とくる。そうすると小椋さんの方から「じゃあその詞にしましょう」と返す。小椋さんは小椋さんで曲がくると「ここの所、メロディはこれどうですか?」って言って、何度もやり取りをして、どっちが作詞して作曲したか分からなくなって本当の意味で合作になったって言ってました(笑)。
石丸:本当ですか! それは面白い(笑)。この歌を歌ってご自分を律すると仰ってましたけど、そんな律するような時が日常にあるんですか?
関根:例えば、講道館を作った嘉納治五郎さんの本を読んだんですよ。そしたら、嘉納治五郎さんは、このまま欧米化していく町並みを見て“こんなことで良いのか? 日本の心を忘れてはいけないのではないか?”という思いから、色んな柔術の所に稽古に行って免許皆伝を貰って柔道にたどり着いたんだそうです。それを読んで、どこかで“自分も治五郎にならなくてはいけない!”とか“日本の心を忘れてはいけない!”とか、こういう「人の意地」を見るたびに思いますね。
石丸:だからこそ、この歌を歌いながら何時も自分に向き合っている?
関根:『山河』を知る前は、『悲しき願い』とか『好きさ好きさ好きさ』を歌っていたんです。僕は中学、高校の頃って失恋ばかりしていたので、失恋を歌わせると抜群にソウルになるんですよ。だから失恋の“悲しい想い”とか“諦め切れない想い”をシャウトして歌っていたんです。そしたら(事務所の)後輩のイワイガワの2人から「さっきから関根さん(心の)ちっちゃい男の歌ばかり歌ってますね」って言われて(笑)。
石丸:別に良いじゃないですかね(笑)。
関根:そういえば俺って、“好きだよ! 好きだよ!”とか、“どうして俺だけがこんな目にあうんだ!”みたいな心の小さい男の歌ばかり歌っているなと思って(笑)。“これはいけないな”と思っていたところで『山河』に出会えて、スケールの大きい歌を歌えるようになったんです。だから今は並行して歌っています(笑)。
石丸:一方を捨てたんじゃなくて、どちらも歌っているんですね。良かった!
関根:『悲しき願い』も必ず歌います。