石丸:藤井さん、今週もよろしくお願いいたします。このサロンではゲストの皆さんに人生で大切にしている“もの”“こと”をお伺いしています。今日はどんなお話をお聞かせくださいますか?
藤井:今日は「涙のリクエスト」についてです。
石丸:チェッカーズの大ヒット曲でしたね。
藤井:「涙のリクエスト」は随分歌ってなかったんですけど、今回コロナになってYouTubeで歌ったら、反応がすごかったです。
石丸:それはそうでしょう。
藤井:“コロナだし、歌うか!”ということで。これまで、“解散してソロになったのに、自分だけチェッカーズの曲を歌う訳にはいかないだろう”って思っていたので、プロの作詞家さん、作曲家さんに書いてもらった曲はあまり歌わなかったんです。自分が詞を書いた曲は歌ったりしていましたけど。
石丸:そうだったんですね。コロナ禍でみんなの前に出られなかったから、というのが大きな理由ですか。
藤井:そうですね。やっぱり“歌わないと”と思って。
石丸:歌ってみていかがでした?
藤井:練習をしなくても歌詞が飛ぶことも無く、すぐ歌えたんですよね。
石丸:流石!
藤井:“俺、この曲をそんなに歌っていたかな?”という位、身体に染みついてました。
石丸:久しぶりに歌ってみて、どんな想いがありました?
藤井:当時は日本の歌謡界はマイナー8ビートが流行っていたので、曲を聴くとちょっと懐メロ感があったんです。なので“懐メロ感が出るかな”と思って久しぶりに歌ったら、そういう感じもしなくて、ちょっと不思議な感じがしました。
石丸:これをきっかけに、チェッカーズの色々な名曲もどんどん歌っていこうかな、と?
藤井:そうですね。これから歌っていこうかなと思っています。
石丸:それは嬉しいニュースですね。
藤井:「涙のリクエスト」を選んだ理由は、この曲がきっかけで売れたから。シングルで2曲目なんですけど、デビュー曲の「ギザギザハートの子守唄」は今一つヒットしなかったんです。
石丸:そうですか? 僕らは口について出ますけど。
藤井:「涙のリクエスト」が売れたことによって「ギザギザハートの子守唄」がヒットチャートに入ったんです。「チェッカーズのデビュー曲は『涙のリクエスト』じゃないの?」「その前にもう1曲あるらしいよ?」みたいな感じで(笑)。
それで「ギザギザハートの子守唄」を聴いてみると、インパクトがすごくあるから売れたんでしょうね。だから、「涙のリクエスト」という曲がヒットした事によって、チェッカーズが世に出たという感じですね。
石丸:あの時代、皆さんのコスチュームやスタイルには特別感があって、すごく鮮烈でしたね。
藤井:名前が“チェッカーズ”で良かったですね。チェッカーズじゃなかったらチェックの服を着せられて無かったから(笑)。
石丸:自分たちが“チェックを着たいからチェッカーズにしよう”って言ったわけじゃなかったんですね?
藤井:元々、僕らドゥーワップバンドだったので、アメリカの50〜60年代のドゥーワップグループのコーラスグループみたいな格好をしていたんです。蝶ネクタイして、カマーバンドして、ダボダボのフィフティーズジャケットを着て。“チェッカーズ”なので、その蝶ネクタイとカマーバンドはチェックにしてたんです。
でも、デビューしたら全身上から下までチェックを着せられて(笑)。あのファッションが女の子にウケたというのもあったでしょうね。
石丸:全身チェックを着る機会がなかなか無いので、それを実現してくれているグループでした。お洒落でしたし、僕らもそうなりたいと思ったな。
藤井:全員福岡から出てきて良い感じで勢いがあって、ワイワイガヤガヤしている団体みたいな感じがあるじゃないですか。だから楽しそうに見えたんでしょうね。あとバンドだったのが新鮮だったのかもしれないですね。