石丸:真中満さん、今週もよろしくお願いいたします。このサロンでは、人生で大切にしている“もの”や“こと” “できごと”についてお伺いしておりますが、今日はどんなお話をお聞かせ頂けますか。
真中:今日は「人との出会い」についてお話ししたいと思います。
石丸:「人との出会い」ですね。先週は野村監督のお話を伺いました。
真中さんの人生において野村監督との出会いはもちろん大切だったかと思いますが、現役時代は野球だけではなく、色々なジャンルの方に会っていらっしゃいますよね?
真中:野村さんもよく、「色々な人に出会って、色々な人の話を聞け」と仰っていました。僕は、お酒を飲むのが好きなんですよ。
石丸:それは現役時代から?
真中:そうです。先輩に誘われればついて行ってお酒を飲んだりしていました。すごく好きなので、そういう中で色々な人と出会いました。
石丸:例えばどういう人たちですか?
真中:他業種のスポーツ選手に会った時には、野球以外の角度から色々な話を聞けたなと思いますね。
仲が良かったのは、ボートレーサーやゴルファーでしたね。野球は団体スポーツなので、自分がミスをしても誰かがカバーしてくれるんです。例えば、バッターはヒットを打てなくても試合は勝ったり、ピッチャーも先発が打たれて(点数を取られても)チームが逆転してくれたら勝ち投手になったりするんです。
でも、ボートレースやゴルフって個人の戦いになるので、人は助けてくれないんですよ。
石丸:そうですよね。
真中:メンタル的な部分では、(ボートレースやゴルフは)野球よりすごく大変なのかなと思うんです。
お金の話をして恐縮なんですけど、例えばゴルフで、“これを決めると(賞金が)1千万円違うパット”ってドキドキしません? そういう時のメンタルを考えると、“他のスポーツをやっている人たちは、色々なことを考えてやっているんだろうな”と。そういう面で尊敬しますね。
石丸:例えば、その方々はどういうことを考えていらしたのですか?
真中:開き直るというか、あまり気にしないで打つみたいです。「入らなければしょうがないだろ」と。そこまでの境地に辿り着くには、やっぱり努力や練習をしてきて色々なことを乗り越えてきたからだと思うんですよ。
そこまでいってない人が打っても、中々入らないと思いますけど。
石丸:そうですよね。
真中:“僕はここまで努力したんだから、もし外してもしょうがないな”と思えるようになるまで突き詰めて練習するというのは、野球界もそうなんですが、色々な所で繋がっていくのかなと思うんです。
石丸:そうですね。
真中:ボートレースなどは、フライングをするとペナルティがあるんですよ。フライングを1本すると、30日間試合に出れなかったりするんです。
石丸:それは初めて聞きました。
真中:3本フライングすると、90日間試合に出られない時があるんです。そのルールの中で、“1着を取らないと賞金が貰えない”という状況で、皆が0コンマ何秒のスタートを切るわけですよ。ドキドキしませんか?
石丸:聞いているだけでドキドキしますね。
真中:ちなみに「SGレース」というレースは、そのレースでフライングすると、1年間SGレースに出られなくなるんです。
石丸:すごく厳しいですね。
真中:ということは、1億円稼いでいた選手が翌年は1千万円位しか稼げなくなったりする可能性があるんです。そんな中で、賞金王などが懸かったレースで緊張感のあるスタートを切るんですよ。もう聞いているだけでドキドキしません?
石丸:本当、そうですよね。
真中:そういう話を聞いてると、僕らがやっている野球はミスが多いスポーツなんですよ。
打率は3割打てば良いバッターって言われるんですが、7割はアウトじゃないですか。
石丸:確かにそうですね。
真中:ピッチャーも投げミスをしても、バッターが空振りしたり、打ち取れれば大丈夫なんですよ。野球は“ミスをいかに少なくするか”というスポーツなんですけど、他の業種はもっとミスが許されないと聞いて、少し気楽に野球ができました(笑)。
石丸:そこですか(笑)。
真中:そこです(笑)。