石丸:藤井隆さん、これから4週に渡りどうぞよろしくお願いいたします。このサロンでは、人生で大切にしている“ひと”や“できごと”についてお伺いしておりますが、今日はどんなお話をお聞かせいただけますでしょうか。
藤井:今日は「YOUさん」について。
石丸:あのYOU(ゆう:タレント)さんですね。YOUさんとはどういうご関係ですか?
藤井:YOUさんの言葉をお借りするならば、「隆は甥だよ」って言ってくださいますね。血縁関係は全くないんですけど、僕にとってYOUさんは“叔母”なんですね。
石丸:一世代違うという意味で、設定を作られたんですね。
藤井:そうですね。姉弟でもないんですって。でも、それは本当に言い得て妙で、姉弟だったらもうちょっと図々しい関係になるかなと思うんですけど、叔母なんでちょっと礼儀もありつつ、でも甘える時はしっかり甘えさせていただいてます。
石丸:“身内”って感じでね。
藤井:はい。呼び方もそうなんですけど、大阪の番組で21年ご一緒してるんですけど、僕の楽屋にYOUさんがずっといらっしゃるんです。YOUさんの楽屋はちゃんとあるんですけど(笑)。
石丸:居心地が良いんですね。
藤井:「おはよう!」って言って。
石丸:楽屋に入ってくるんですか。じゃあ、そこにメイクさんも居たりとか?
藤井:そうです。
石丸:(笑)。
藤井:ずっと一緒にいるので、僕が芸能界の中で一番お会いしてる芸能人がYOUさんなんです。番組は21年続いているから収録自体は隔週だったりするんですけど、でも毎週会ってる…という存在の人で。
石丸:そうすると、家族の様な感じですよね。
藤井:そうですね。実際に、自分の実家は何回か引っ越してるんですけど、どの実家にも来てもらってますし。
石丸:もれなく(笑)。
藤井:そうなんです(笑)。父が「まい泉」のカツサンドが好きなんですけど、その美味しさを教えてくれたのは、YOUさんなんです(笑)。
石丸:本当ですか。
藤井:もう随分前なんですけど「これ食べて」って言って、持ってきてくださったりとか。
石丸:お父さんとは、一応兄妹関係ということですもんね(笑)。
藤井:そうですね! そうなんです(笑)。
石丸:そうなりますよね、叔母ですものね。
藤井:そうです(笑)。
石丸:多分、波長が合うんでしょうね。
藤井:そうですね。YOUさんから教えてもらったのは、「無理しない」ということです。今思えば、僕はしゃかりきに無理をしてたと思うんですよね。
それは“愛されたくて”だと思うんですけど、スタッフの方とか、テレビをご覧の皆さんとかに、やたら「どうもー、どうもー」ってしてたんです。もちろんそれは嘘ではないですし、本心だったんですけど、それで破綻しそうなのを(YOUさんが)察知してくださったんだと思うんです。
石丸:そうなんですか。
藤井:僕が一人暮らしをしていたアパートに来てくださった時に、家の中の様子を見て「これは良くない」と思ったんですって。
石丸:どうだったんですか?
藤井:僕が言うのはちょっと恥ずかしいんですけども、窓ガラスにダンボールとか新聞紙とかを貼って遮ってたんですって。
石丸:毎日台風だったわけじゃないですよね?
藤井:(笑)。違うんです。
石丸:何故ですかね。
藤井:分からない。
石丸:いわゆる日の光を遮断していた?
藤井:それとか、窓の存在がなんか嫌だったんだと思います。
石丸:なるほど。
藤井:多分「もう嫌だ!」ってなってたと思うんですよね。その頃は番組で踊ったりすることも多くて、「これを覚えなさい」っていう資料のVHSを貰うんですよね。
石丸:当時はVHSでしたもんね。
藤井:VHSを家へ持って帰って1時位に再生してね。
石丸:夜中の?
藤井:そうです。洗濯機を回してから。深夜に洗濯機を回すのは悪いなと思うんですけど、その頃はその時しか無いから。
石丸:そうですよね。
藤井:洗濯が終わるまでの間、カーテンを開けて。窓ガラスは夜になったら鏡みたいになりません?
石丸:なりますね。
藤井:それを鏡代わりにして、資料の振り付けを覚えるんですよ。そして洗濯が終わったら、干してやっと寝れるんですね。そういうことをずっとしてたので、ベランダに行く大きな窓は開けてたんですけど、それ以外のちっちゃな窓とか、台所の窓が嫌で、(ダンボールなどを)貼って蓋してたんですよ。
石丸:それは、宇宙に行ったら良いかもしれませんね。
藤井:宇宙用だったんですかね(笑)。何かを遮断したかったと思うんですけど、それをYOUさんに見られちゃったんです。
後になって聞いたんですけど、初めてお家に来た時に、「この子はダメだ。連れ出さなきゃって思った」って言ってくださって。それから、本当に美味しいレストランや、お酒を飲む所もいっぱい連れて行っていただきました。
自分が結婚する時にも「ドレスは絶対こういうのが良いんじゃない?」とか「指輪はこうじゃない?」とか言ってくださって。
石丸:素晴らしいアドバイザーでもありますね。
藤井:本当に。女性の方は絶対分かってくださると思うんですけど、YOUさんにお見立てしてもらったらね、それはもう間違いないじゃないですか。だから妻もすごく喜んでくれましたし。
石丸:すごい存在力のある叔母様ですね。
藤井:本当にそうです。
石丸:会うべくして会った人なのかもしれませんね。
藤井:そうですね。事務所はもちろん違うんですけど、これが同じ吉本ならまた違うと思うんです。でも、僕の尊敬する吉本の先輩方ともお仕事の関係が深い方なので、僕の気持ちも分かってくださるというか。
タレント業もそうですけど、歌ったりすることがあった時も、“どうして良いか分からない”って迷っていたところを支えてくださったりとか、ちょっとヒントをくださったりとか。
たぶん自分のコンサートや舞台の仕事は、吉本の自分のマネージャーよりもYOUさんの方が観てくださってると思います。
石丸:すごいですね。
藤井:そう思い返せば、場所が遠かったという理由で来てくださらなかった1本以外は全部観てくださってますね。
石丸:藤井さんのファンでもあり、今や身内の感覚もあり。
藤井:そうですね。心配してくださってます。
石丸:素敵なお友達を見つけました、というか叔母様を見つけましたね。
藤井:本当に感謝しています。
石丸:話は変わりますが、藤井さんは来週9日から始まる舞台「大パルコ人④マジロックオペラ『愛が世界を救います(ただし屁が出ます)』」に出演されます。
藤井:ありがとうございます。
石丸:大人計画と PARCO の共同プロデュースですね。宮藤官九郎さんの脚本・演出のオリジナルロックオペラシリーズ“大パルコ人”。その第 4 弾ということですが、タイトルが面白いですね!
藤井:石丸さんに「ただし屁が出ます」と素敵な優しい声で読んでいただけて本当に光栄です。宮藤さんにちゃんとお伝えします。
石丸:なんか気合が入りました(笑)。お話は、超能力もの?
藤井:そうです(笑)。超能力ものです。あと、未来のお話です。
石丸:未来ですね。それでチラシが私の手元にあるんですけども、多分ギターを弾いて、ピンクの服を着てる方がのんさんですね。口から出てますね、何かが(笑)。
藤井:口からオジサンが出ているんです(笑)。
石丸:凄いですね。
藤井:よく考えたらこのチラシが、本当にこの物語の全てを語っておりまして。
石丸:宮藤官九郎さんの世界は面白いですね。
藤井:台本をお家で読んでて、凄く面白かったんですね。でも分からないことがいっぱいあったんですよ。“これって稽古で何か分かったりするのかな”と思って楽しみだったんですが、稽古が始まって、ますます分からない所があったりとか。
舞台もそうですけど、宮藤官九郎さんが手がけられているドラマとか映画とかの物語って、何か優しい部分がすごくありますよね。
石丸:そうですね。根底にありますね。
藤井:今回(の舞台は)、お若いのんさんと村上虹郎さんの2人が出逢って恋して…っていう、すごくフレッシュな優しさに溢れてるんですね。
石丸:良いですね。
藤井:それを、周りが大人ばっかりなんですけど、若いお2人を盛り上げながら、でも大人達が暴走してたりとかして、本当にね、優しい果汁の部分がジュワッとジュースになって、いっぱい溢れる瞬間が何か所もあるんですね。
石丸:あ、面白そう。
藤井:これを是非、劇場にお越しいただいて(観てください)。
石丸:本当ですよね。(藤井さんの)役どころはどんな感じですか?
藤井:僕は悪者なんです。
石丸:悪者?
藤井:「大江三千里」っていうポップスターなんです。
石丸:大江千里さんみたいな感じの?
藤井:3倍ですね。大江三千里。
石丸:凄いなぁ。
藤井:すっごい悪い奴なんです。
石丸:それは誰に対して悪いことをするんですか。
藤井:人類に対してです。
石丸:人類に対して(笑)。
藤井:(笑)。すごく壮大なんです。「マジロックオペラ」はバンドで、出演者が演奏するんですね。のんちゃんもギターを弾いたり。
石丸:弾けますよね。
藤井:宮藤さんがギターを弾かれたりとか、皆で演奏するんですけど。
石丸:藤井さんは何をやられるんですか。
藤井:僕はシンセサイザーをちょろっとです。僕は本当にちょっとなんですけど、マラカスとかそういうので参加しています。
稽古場で実際に人が演奏して、歌ったりしているのを久しぶりに見たら、なんだか胸が動く瞬間がいっぱいあって。僕が言う言葉じゃないですけど、ひょっとしたら「何を観てるんだろう、これ」と思われる瞬間あるかもしれませんけど、凄く若い2人が本当に素敵なので、「ああ、楽しかった」って言っていただける舞台になっていると思います。
あと、宮藤さんってやっぱりすごい脚本家の方なんだなって思いました。天才なんだなと思いました。
石丸:今、藤井さんのお話を聞いてるだけで、もう頭の中に妄想が広がっています。どこで誰が屁をこくのかっていうのは、ちょっと気になります(笑)。
藤井:(笑)。
石丸:舞台上で「これが屁です」っていうのがあるんですか。
藤井:あるんです。(村上)虹郎君(の役)は未来が見れるんですけど、ただし屁が出ちゃうんですよ。
石丸:能力を発揮していると?
藤井:そうなんです。特殊な能力があるんですけども、それを発揮するためには、彼は屁が出ちゃうんです。でも若い男の子が屁が出るって恥ずかしいでしょ?
石丸:そうですよね。
藤井:しかも好きな女の子の前でなんて出来ないでしょ。
石丸:ですよね。
藤井:それがどうなっていくのかっていうのを是非。
石丸:そこは客席で見守って欲しいですね。
藤井:スタッフ一同、本当に万全の状態で劇場でお待ちしておりますので、皆さんにも色々消毒とかご協力願うこともありますけども、是非お越しいただけたら嬉しいです。
石丸:藤井さんがご出演される舞台「大パルコ人④マジロックオペラ『愛が世界を救います(ただし屁が出ます)』」は、今月9日よりパルコ劇場で上演しております。東京公演は完売したそうですね。
藤井:お陰様で。本当にありがとうございます。
石丸:でも、大阪公演は現在発売中ですので、皆さん是非足を運んでください。
藤井:大阪と仙台がありますので、どうぞ。
石丸:本当ですね、仙台もありますね。
藤井:ご都合よろしければ、お願いします。
石丸:私も駆け付けたいと思います!
藤井:やったー!