石丸:寺脇康文さん、今週もどうぞよろしくお願いいたします。このサロンでは人生で大切にしている“もの”や“こと”についてお伺いしております。今日はどんなお話をお聞かせいただけますでしょうか。
寺脇:今日は「今野敏さんの本」についてです。
石丸:今野敏さんは、たくさん著作がありますが、「ハンチョウ」シリーズもそうですよね。
寺脇:そうです。『隠蔽捜査』とかの警察小説からSFから、ちょっとホラーな感じから武術の話から、あらゆるジャンルを書いていらして、多分今(著作数が)200冊を超えてるはずなので。
石丸:コレクションをしてらっしゃると伺いましたけども。
寺脇:“どのくらい読んでいるのかな”と思って本棚を調べてみたら、146冊ありました。
石丸:ものすごい数ですね。
寺脇:だからもう少し頑張って、いま全冊読破に向けて頑張っているんですけど。
石丸:警察ものとかアクションものはお好きだったんですか?
寺脇:元々、警察小説、ミステリーが好きで、読むのはそういうものばかりでしたね。
石丸:そういう小説のキャラクターに、自分をなぞらえたりとかはありましたか?
寺脇:もちろん、読んでいる時に“これ、自分だな”と思いながら、当てはまる役があると入り込んで読んだり。役者なので、どうしても誰かに当てはめちゃいますね。(そういうことは)幹二さんは無いですか? “俺、これかな”みたいな。
石丸:そうですね。どこかに自分の姿を探しますね。今野さんの、どの本が1番というのはあります?
寺脇:シリーズがいっぱいあるんですけども、僕の1位か2位か…同率1位で、「隠蔽捜査(シリーズ)」と、「安積剛志警部補シリーズ」、“警視庁臨海署シリーズ”ですね。この2つはトップ2かな。
石丸:この間、ドラマで安積さんになってらっしゃいましたよね。(安積役を)お演りになってみてどうですか?
寺脇:自分が(本を)読んで、自分が好きな安積を出来ていればいいなぁと思いながら演じました。あんまりプレッシャーを感じないで “僕が思う安積を僕で演ろう”っていう。今野敏さんも現場に来てくれて、「どうですかね?」って言ったら「良いですよ、寺脇さんのハンチョウ」って言ってくれて。
石丸:それは嬉しいですね! 全て読んでいらっしゃるから、なおのことね。
寺脇:そうです。この間、今野敏さんと対談したんですけど、「あそこの安積のあのセリフがこうじゃないすか。で、あの時こうやったじゃないですか」とか言うと、「え、そうなの。あ、忘れてる」とか言っていて。書いてるご本人が忘れてることを自分が覚えてるから、面白かったですね。
石丸:そんなことが。でも、作家さんとお話出来るっていうのは貴重ですよね。
寺脇:本当に。自分が146冊も本を持っているほど好きな作家さんの書斎で(対談を)やったんですよ、執筆ルームで。
石丸:どんな部屋でした?
寺脇:ゴチャゴチャとしてて、デッカい机があるんだけど、でも机では書かなくて(笑)。椅子に座って横向いてパソコンをカチャカチャって、こうやって書くんですって。
石丸:じゃあ、机の上にあるものは資料とかですか。
寺脇:フィギュアとか。ガンダム好きなんですよ、今野さん。
石丸:自分の城ですね。
寺脇:おもちゃ箱をひっくり返したような。もちろん本もいっぱいあるし。
石丸:目に浮かんできますね。
寺脇:整然としてないです。雑多な感じでした。
石丸:そこで対談したんですか。
寺脇:そうです。感動しましたね。
石丸:そうですよね。ものが生まれる部屋ですもんね。
寺脇:そうです。“ここで書いてるんだ!”と思って。
石丸:それは貴重ですね。話は変わりますが、3月から舞台『怖い絵』の公演が始まりますよね。この『怖い絵』というのは、鈴木おさむさんが手がけている“絵画と舞台の新感覚エンターテイメント”ということなんですけども。これまで多くの舞台に立ってらっしゃる寺脇さんですが、絵画と舞台の組み合わせというのは、今までご経験は?
寺脇:ここまでがっつりいくって感じは無かったですね。昔、三谷幸喜さんの『コンフィダント』っていう作品でゴーギャンの役をいただいたことがあったんですけど、点描のスーラとかゴッホとかの話だったので、その頃はよく絵を観に行ったりしました。
石丸:今回はどういうような内容になりそうですか。
寺脇:あのね、台本が今、手元に全く無いので(笑)。
石丸:“あるある”ですね(笑)。新作書下ろしあるある。
寺脇:何とも言えないんですが。中野京子さん原作の『怖い絵』という本も売れたし、展覧会もあったらしいんです。グロテスクじゃないんだけど、よく観て、ストーリーを知らされると「怖いな」っていう怖い絵をいっぱい集めてる本だったんですね。
それにヒントを得て鈴木おさむさんが舞台にしたいということになり…。どのように絡むのかは一切今分かってないですが、チラシを見ると、おそらく主役の尾上松也君がこの怖い絵の収集家の方で。でも裏の顔がありまして、恨みに思っている人をなんとか裁いてくださいっていう依頼を受けて、それを執行していく…という、現代の必殺仕事人のような、ダークヒーローが活躍するミステリーとなっていますね。
石丸:“チャララーン(必殺仕事人のテーマ)”ですね。そこで寺脇さんはどういう役どころになるんですか。
寺脇:依頼をする側です。「あいつをやっつけてくれ」っていう。そこに怖い絵がかなり絡んでくるらしいんですよ。
石丸:ここに上がってくる絵というのは、世界でもよく観られる絵のうちの1枚、もしくは何枚か。
寺脇:そうですね。展覧会で出したものを多用するんでしょう。
石丸:この(手元にある)チラシの絵も、よくよく見ると少女が目に布を巻かれて、「ひょっとしたら、このまま殺されちゃうのかな」っていうような絵なんですよ。ご存知の方もたくさんいらっしゃると思いますけど「レディ・ジェーン・グレイの処刑」って書いてますね。なにかこの絵が絡んで事件が…。
寺脇:こういう絵がいっぱい出てくるという風に今は聞いていますね。
石丸:まだ台本が全く上がってないという話ですもんね。
寺脇:でも鈴木おさむさんですからね。“何か面白いことやってくれるだろう”と期待もあって、話が来た時に即決しましたけど。
石丸:そうなんですね。そろそろ稽古に入る頃でしょうか、どのような作品にしていきたいですか。
寺脇:やっぱり鈴木おさむさんでもありますし、今までの演劇にないような感覚のものにしたいですね。最近ずっと大人数の舞台をやっていたんで、今回は少人数の、5人という役者が濃厚にどう絡むかっていうことも楽しみだし。
石丸:どのような形でこの絵にまつわる話が進んで行くのか。
寺脇:楽しみです。
石丸:私も楽しみです。舞台『怖い絵』は、東京、そして大阪での公演が決定しています。東京公演は3月4日から3月21日まで、よみうり大手町ホールで上演いたします。出演は尾上松也さん、比嘉愛未さん、劇団EXILEの佐藤寛太さん、崎山つばささん、そして寺脇康文さんです。
寺脇:僕は皆さん「初めまして」なので、それも楽しみなんですけどね。
石丸:そうですね。チケットの一般発売は本日(1/22(土)10:00〜)からスタートします。
寺脇:お、なんか宣伝に来たみたい(笑)。
石丸:いやいや、是非皆さんチェックしてみてくださいね。
寺脇:お願いいたします。