今月の旅人
溝口肇(チェリスト、作曲家、プロデューサー)

チェロとライカをつれて、溝口肇さんが瀬戸内を旅しています。琴電こと高松琴平電気鉄道に乗って、琴平町へ。そこは、現存する中では日本最古と言われる芝居小屋、「旧金比羅大芝居」のある町。高松市の牟礼は、古来「石と石工の町」として知られてきました。そんな牟礼の丘の途中に、イサム・ノグチが愛し、晩年を過ごした家とアトリエがあります。「イサム・ノグチ庭園美術館」を、溝口肇さんは訪ねます。今ではうどん、でもその昔は「素麺の町」として知られていた仏生山。琴電の仏生山駅を出て少し歩くとそこに、「仏生山温泉」があります。あるとき、小さなこの町に湧き出した温泉、その誕生の秘密とは? 仏生山に生まれ育った若き建築家と、溝口肇さんは言葉を交わします。ライカのシャッターを切りながら、ときどきチェロを奏でながら、溝口肇さんのロード・ムービーのような瀬戸内旅です。