NAGOMI Setouchi

2019
09/07

瀬戸内国際芸術祭 edition
Setouchi Triennale 2019
「夏の男木島編・前編」

もしあなたが鳥になり、瀬戸内の空を飛んでいけば、あまりに美しいその景色に涙を流すことでしょう。青い湖のような瀬戸内海に、ぽこぽこと浮かんでいる島々。陸地には森や田畑が広がり、穏やかな海には漁船が行き交います。瀬戸内を旅すると、あなたは、海と山とがかくも近くに存在し合っていることに気づくでしょう。山が雲を集め、雨を降らせ、森を育み、流れる川は海へと注ぎ込みます。いのちの繋がり、多様性・・・瀬戸内は、そんなことを教えてくれます。シルクロードの命名者として知られる、ドイツの探検家・地理学者、フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンは、明治維新直後、瀬戸内を旅し、日記にこう書きました、「これ以上のものは、世界のどこにもないであろう」

瀬戸内国際芸術祭2019の夏会期が始まりました。瀬戸芸スペシャル・ナビゲーターの前田エマさんは、瀬戸芸の舞台となる島や町、集落を訪れ、取材しました。今週は男木島を旅します。
「瀬戸内国際芸術祭2019」

高松港から、多田陽介船長が操縦する高松海上タクシーに乗って、男木島へ。芸術祭の、春の会期が始まる直前に渡って以来の、男木島です。瀬戸内の海と島々を知り尽くしている多田船長、いつも、いろんなおはなしを聞かせてくれて、短い船旅がさらにあっという間になってしまいます。「いま、男木島と女木島が面白いですね」と多田さん。「芸術祭の作品もたくさんあって見どころが多いし、特に男木島は移住者が増えて島に新しいエネルギーが満ちています。活気があって楽しいと思いますよ!」

男木島が近づいてきました。

何度見ても、この独特の島の景観に心が動かされます。島民170人ほど、猫は200匹以上(推定)。

人より先に猫が前田エマさんを迎えてくれました。「ようきたにゃ!」

白黒のハチワレ君は無理やり膝に乗ってこようとしました……。
猫好きにとってのワンダーランドでもある男木島です。

びっくりするくらい大きくて元気いっぱいの朝顔が満開! 「この朝顔にインスパイアされた作品もあるんですよ」と実行委員会の、お馴染み、林実紀さん。今回も、林さんの案内で島を歩きます。

車の入れない路地と坂道が、男木島の特徴です。日本の古民家が建ち並ぶ風景は、島の人たちには日常なのかもしれませんが、旅人にとっては最高の非日常の風景です。この坂道の小径の向こうには何が待っているのか……と心がわくわくしてくる島。

林さんが最初に連れていってくれたのは、川島猛とドリームフレンズによる作品「The Space Flower・Dance・Ring(宇宙華・舞・環)」。古民家の天井や壁、床と、360度ぐるっと、絵画や映像の作品が広がっています。

『川島猛とドリームフレンズ「The Space Flower・Dance・Ring(宇宙華・舞・環)」』

そしてまた小径を歩きます。

猫たちも、島のアート作品の一部のようです。

次にやって来たのは、「アキノリウム」。松本秋則さんの作品。古民家の中に展開する、木や紙によって作られたオブジェが動き、音楽を奏でています。そして、その動きとシャドウ、光は、影絵となって映し出されています。体験型の、楽しく、心地よく、どこか懐かしさを感じる世界がそこにはありました。

『松本秋則「アキノリウム」』

作品が展示されている場所は古民家で、その庭も素敵です。島の日常や時間の中に、アートがあります。

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