脳疾患の治療に役立つX物質を発見した研究者をリサーチせよ
鈴木 幸一さん
岩手県 盛岡市
蚕といえば桑を食べ、サナギになる際の繭が絹の原料となる昆虫です。その蚕の成分が、アルツハイマーの治療に有効である可能性を突き止め、研究をしているのが、株式会社バイオコクーン研究所の鈴木さんです。
鈴木さんが今最も力を入れて研究をしているのが、アルツハイマーに対して効果がみられた「X物質」です。X物質とは、死んだ蚕のサナギに山から取ってきた菌(カビの一種)を菌床に育てたものに含まれている物質。この蚕の死んだサナギに寄生し育ったものを“カイコ冬虫夏草”といいます。“冬虫夏草”とは昆虫に寄生したキノコの総称。カイコ冬虫夏草に含まれるX物質は、自然界や合成したものを含めても全く新しいもので、現在国際特許を申請中です。
10年前から脳の研究をしていた鈴木さん。アルツハイマーになった場合1番ダメージを受けるのが脳の海馬。アルツハイマーになった脳の海馬に傷があるネズミに、X物質を与えることで海馬の傷が消え、記憶力が回復したことを2010年に発見しました。この研究成果を形にしたのが、今年の4月から販売をしている「カイコハナサナギダケ冬虫夏草」。こちらはカプセル状の健康補助食品として販売しています。この商品にはX物質が0.03%含まれていますが、この濃度を高めた機能性食品を3年後の販売を目指し、10年後はX物質をアルツハイマーに効く医薬品にすることを目標にしています。
岩手大学で研究をしていた鈴木さんがバイオコクーン研究所を設立したのが、今年の4月。鈴木さんがこの研究所を設立した目的が、カイコ冬虫夏草を使った機能性食品や薬を作ること。また桑でアンチエイジングや糖尿病の予防、食べるシルクなどを作り、養蚕のイノベーションを起こすために研究所を設立しました。これは蚕の研究を40年余りしてきた、鈴木さんの蚕への恩返しの気持ちの現れでもあります。
鈴木さんが研究材料として蚕に着目したのは、農学部の大学生の頃。蚕の遺伝子やホルモンの研究目の当たりにして、それは当時の最先端のものだったのでこれを学びたいと蚕の研究をはじめました。40年余り蚕の研究をしてきた鈴木さんが蚕からX物質以外に発見したのは、「眠り物質」。これはガンの進行を進ませないのに有効な物質です。1つの研究材料でも成果はなかなか表れないものですが、鈴木さんは1年のうちに1回やったという瞬間があれば研究の命を続けられる。それ以外の99.9%はひたすらに繰り返しだけとのこと。鈴木さんの気持を支えているのが、蚕たちから与えられる発見の喜びとそれを役立てたいという使命感とのこと。
地球上の昆虫は100万種。重さでも人間の11倍いるという昆虫。地球上で生物として成功をしているのは昆虫だという鈴木さん。この昆虫たちの知恵を人間たちが謙虚に学んで、健康や平和に役立てる。それが鈴木さんの喜びであり使命だと話してくれました。研究所の名前、バイオコクーンのコクーンは繭という意味。そこに生き方、哲学、人類が学ぶべき畏敬の念を込めて研究所の名前にしたそうです。バイオコクーン研究所でアルツハイマーに効果のある医薬品、食べる桑、食べるシルクなどの研究開発が進めば養蚕業のイノベーションになり、医療費削減や地方創生に繋がる。鈴木さんはそうなるようにしていきたいと力強く話してくれました。
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株式会社バイオコクーン研究所についての詳しいこと、問い合わせなどは、下記HPから、
http://www.bcc-lab.jp
株式会社バイオコクーン研究所へのアクセスは、東北自動車道 盛岡ICから約10分。
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