折形を伝えるデザイナーをリサーチせよ
乾 陽亮さん
大阪府 大阪市
和物を中心にデザインを手掛ける乾陽亮さんは、現代ではほとんど見掛けなくなった折形が持つ造形・機能美を今風にアレンジして、日本文化の奥深さを伝えています。子どもの昔ながらの遊びとして日本ではポピュラーな折り紙のかつての呼称が「折形」です。折形とは、江戸中後期の紙の折り方や折った紙の別称で、当時は、祝儀袋やのしといった儀礼、折り鶴などの遊戯、懐紙の入れ物の主に三つの用途で用いられていたものです。
折形を知ったきっかけについて聞くと、和物をデザインすることが多い乾さんが、和物は右と左で意味合いが違ったりと決まり事が多く、そういったものを勉強する中のひとつにあったのが折形。そして面白いと思い自分で折形を作っていたそうです。広めるつもりはなかったそうですが、その作ったものを見て友達がおもしろいと言ってくれたそうで、ちゃんとやってみたらおもしろいことになるのかなと思い、はじまったのがA4折形。A4折形のウェブサイト、現在このサイト上では、小さな梅の文様などの色や柄の画像データと、独自開発したぽち袋や祝ひ袋、CD入れ、文庫カバーなど4種類、計63個の設計図となる折り方データをアップしています。2010年9月の開設以来、すでに20万件以上ダウンロードされているそうです。乾さんは普段から日本の伝統文化を現代にアップデートさせたらどうなるのかを考えているそうで、それをウェブサイトでケーススタディのひとつではじめたので、こんなにダウンロードされるとは思いもしなかったそうです。
乾さんに重要な出会いについて伺うと、A4折形をおもしろいと言ってくれて、確立してブランド化するきっかけを作ってくれた友達とのお答え。その人が無造作におかれた折形をおもしろいと言ってくれなければ、A4折形は生まれなかったとのこと。その人は他の仕事も一緒にしているが、視点が非常におもしろい人なんだそうです。A4折形は仕事と平行してやっているプロジェクトなので、無理のない範囲でずっと続けていきたいとも話してくれました。折形を通して伝えたいことについて聞くと、昔からあるものの文化はおもしろいものがあるので、それを現代にアップデートさせると現代の人にもそれなりに使ってもらえるものになると考えているそうです。なので今後もよりよいアップデートをさせていきたいと話してくれました。乾さんいわく、伝承はそのままの形で伝えようとする形。それはいつか廃れることを考えると、伝承は滅亡の先延ばし。しかし伝統は、その時代、人がいろいろ工夫して塗り重ねていく文化。その積み重ねが発展した状態を作る。すると塗り重ねたものは残っていくので、常に伝統にしていかないといけないと思っているそうです。変わらないと残っていかない。今やっているA4折形も伝統だと信じてやっていると語ってくれました。
家にあるプリンターでプリントアウトするだけで、気軽に折ることが出来るので、みなさんもプリントアウトして折形を楽しんでみてはいかがでしょう!
「折形」のダウンロードなどは、下記「A4折形」のウェブサイトから。
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「A4折形」
HP:http://www.a4orikata.jp