先祖が残したコーヒー農園、小笠原コーヒー
野瀬 もとみさん
東京都 小笠原村
小笠原は明治11年頃、日本で初めてコーヒーの栽培が試みられた地で、導入から4年後には45kgの収穫があったそうです。 しかしその後、戦争が始まってしまい、島民はみな、島から強制引き上げさせられてしまったため、農地は荒れコーヒーの木は絶滅してしまっても仕方のない状況となりました。 ところが、戦後父島に戻り農園の再興をされていた野瀬さんのお父様が、自宅の庭に先祖が残してくれたコーヒーの木が、その最悪の環境にも負けることなく、ひっそりとたくましく生き続けているのを発見しました。 そして、このコーヒーの木が、戦争で途絶えてしまったこの地に、私たちの先祖が根付いていたことを証明してくれる存在のように感じ、家族のように大事に育てたいと思い、栽培を始められたそうです。
もともと東京で会社員をされていたという野瀬もとみさんは、お父様が1人で農園の再興をしていて、島に帰るたびに農園が変化していく様を目の当たりにし、自分が東京でやっている仕事の価値と、お父様がこの地で自分にしか出来ないことをやっているのこととの価値を比較してショックを受け、自分もこの地でコーヒー栽培をしようと決意し、15年ほど前に島に戻って来たそうです。
現在は安定した供給が出来ないため、こちらの農園でしか購入することが出来ないという野瀬さんが愛情を込めて作られている小笠原コーヒー、時期によっては通販でも購入することも出来るそうなので、是非みなさんも日本人のやさしさと開拓者の苦労のほろ苦さが感じられる、コーヒーの味を味わってみて下さい。
================
「野瀬農園」
HP:http://www.ne.jp/asahi/bonin/island/