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このコーナーでは、暮らし、仕事、社会、私たちの身近な
ところにあるデジタル化の動きを紹介していきます。
2021 11.22
AIによる犯罪予測を用いたパトロール最適化支援サービス

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このコーナーでは「暮らし、仕事、社会」、私達の身近なところにあるデジタル化の動きをご紹介しています。

今朝は、AIを活用して犯罪の発生を予測、地域での防犯パトロールに活用する名古屋市の取り組みをご紹介しました。

実は、名古屋市は、市民の身近で発生する主要な10種類の犯罪、例えば、強盗やひったくり、自転車の窃盗など、こちらの認知件数が去年、
政令指定都市の中でワースト2位でした。住民の方々の防犯意識は高いものの、なかなかパトロール活動へ参加する人が集まらないという事情もあるようです。

そんななか、名古屋市で防犯パトロールに活用されているのが、AIによる犯罪予測を用いたパトロール最適化支援サービス「Patrol Community(パトロールコミュニティ)」なんです。

今回は、このサービスを名古屋市に提供している株式会社Singular Perturbations(シンギュラー パータベーションズ)の代表取締役CEO梶田真実さんにお話を伺いました。

まずは、パトロールコミュニティとは、どんなサービスなのか伺いました。
「パトロールコミュニティは現在の環境、過去の犯罪データ、昼間・夜間にどのくらいの人口なのか人口密度なのか、さらに、天気や建物の構造、その土地の利用の仕方のデータなどを集めてきて、未来の犯罪がいつどこで起きるのかを予測することができる、
その上で、その予測結果に基づいて最適なパトロールの経路を作ることができるアプリになっています。モバイルアプリで使うことできて、iPhoneとAndroidどちらでも使うことができます。このアプリで犯罪予測に基づく最適なパトロール経路を作り、その経路に基づいて経路をパトロールします。
また、その結果をモバイルアプリ上で電子日報を自動的に生成することができ、それを業務で様々な人に報告、確認、検索、集計、業務の管理をすることができるツールになっています。
このサービスの特徴は、まずパトロールの経路を最適化すること。そのために犯罪予測を使っているのが大きな特徴。もともと犯罪予測の技術というのは、警察だけが使うことができた技術。過去の犯罪データが犯罪予測には必要になるからというところなんですけれども、実は近年犯罪データのオープン化が非常に進み、日本では2019年9月から警察が認知している全ての財産犯が公開になったんです。このデータを使い、犯罪予測を警察以外の人たちもできるようになりました」

画面上でパトロールする距離を指定し、必ず通過する必要がある地点を選ぶだけで、最適なパトロール経路が自動で作成されます。
また、作成したルートを参考にパトロールを開始することで、GPSによる位置情報をもとに実際にパトロールした経路が自動で記録され、表示されます。
さらに、パトロール中に発見した「落書き」や「不法投棄」といった情報はスマホで撮影して簡単に記録ができるそうです。

さらに、こんなメリットや効果もあるそうです。
「自分たちの警備の経路が、よくあるケースとして、全く同じ時間帯、全く同じ場所をずっとぐるぐる回っていることが多かったりするんですが、
そうすると、犯罪者にどこでいつも警備しているのか覚えられてしまうこともあったりしますので、そういったところで私たちのシステムは、リアルタイムに犯罪が起きそうな状況を予測して、違う経路を提示したり普段警備をするなかでも気づかなかった危ない場所というのを提示したりすることができますので、地域の防犯、安全性を高めるために最適な経路作ることができます。
これによって警備の効果を上げることができるというのが一番大きなメリット。このメリットによって、警備をする方々が例えばベテランあれば非常に来たくさんの知識があったりするんですけれども、初めてそういった業務に関わるような方とか、どんな方でも最適な警備の経路を作ることができるよというのが大きくメリットに感じて頂いているところになります」

また、このシステムを使って警備をすることで、従来手法よりも1.5倍以上の警備の効果を上げることができるそうです。
さらに、1.5倍以上の警備の効果を上げることで、警備の費用を2/3に抑えることにも繋がるので、経済効果も大きいそうです。

利用者の反応についても伺いました。
「このアプリを使うことで、新しく危ない場所を発見することができたという声を非常に多く頂いております。見晴らしが悪かったり、あまり人が近寄らないような場所を発見するので、その土地の警備に関する知識や経験が、どんどんついていくといったご意見を頂いております。
業務上の話ですが、この最適化された警備の経路を実際に回って警備を行い、それを日報として報告したり蓄積管理したり、グループ内で共有したりできる機能があるので、それによって業務の効率化になりますという意見もあります。
実は、自治体などでは警備業務をまだ紙の形で管理していることが多いんです。その紙の日報管理も、例えば3分毎ごとだとか、ある日の警備の記録で言うと15時0分から15時3分まではみずほ銀行の何々支店の前にいましたとか、そうした形で非常に細かく紙にペンで警備の日報をつけて行かれるんですね。
これを1ヶ月とかまとめて、紙の束を作って、それを報告書として提出するような警備報告をされているんですが、それを見る側も書く側も、両方とも非常にタフな仕事になってきます。それをこういうアプリを使うことで、一目でリアルタイムに今いる場所がわかる、警備の報告が来る、業務支援に繋がっているとの声を頂いております」

便利な一方で、悪用されることも懸念されますが、これについても梶田さんに伺いました。
「犯罪者に悪用される懸念についてなんですが、こういった犯罪予測の結果というのが広く一般にそのまま細かい粒度で出てしまい、
さらにそれの認知度が高くなり誰にでも見ることができるような状態になると、そうした懸念が出てくる可能性はあるんですが、現在のところ私たちは犯罪予測の結果をそのままダイレクトに世の中に出すことはやっておりません。
その代わりに、その結果に基づいた最適なパトロールの経路だったり、安全な経路だったり、そこの部分だけを切り出して(可視化して)、皆様に提供させて頂いております。
ですので、ルートを見るだけでは悪用するのは難しいかなと思います」

今後の展開についても伺ったところ、治安に関する課題意識のある自治体や警備会社にも今後はどんどん展開していきたいとのことでした。

今回は名古屋市の防犯パトロールのお話でしたが、デジタルを活用することで、パトロールの効率をあげるだけでなく行政全体の効率化にも繋がってくるのではないかと感じました。
     
梶田さん、貴重なお話、ありがとうございました。

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