
柔らかな光に包まれる夕暮れから、夜の世界へと表情を変える特別な時間に素敵なお客様をお迎えするこの番組、今回は先週に引き続き、フーディーの浜田剛史さんをお迎えしました。
◆一皿一皿に集中する——食との向き合い方、そして味覚のリセット
日々大切にしていることを伺うと、「食事1回1回に、どれだけしっかり向き合えるかが僕にとって大切」と話す浜田さん。金融時代、外国人が参加する会議で通訳しながらメモを取っていた時のこと、「もう何食べたか、一皿も覚えていなくて。これぐらい集中しないと、料理に対する集中力って失われるんだなって思いました」と振り返ります。もともとハマりやすい性質で「携帯を見ちゃったり仕事のことを考えたりすると、もう他が一切見えなくなる」からこそ、料理の前ではその集中力をフルに使うのだそう。健康管理としては、3日から5日のファスティングをたまに行うとのこと。「3日目が一番辛いんですが、そこを過ぎると味覚がリセットされて、胃袋も元気になる」と、痩せるためではなく、食べるためのファスティングを実践されているそうです。
◆食の師匠・寺門ジモンさん——包丁の甘さを見抜く、まるで海原雄山
浜田さんの食の師匠は、寺門ジモンさん。およそ20年前、「友達の友達の友達」という出会いで意気投合し、以来ずっと可愛がっていただいているそう。ジモンさんは日本料理とお寿司に圧倒的に造詣が深く、こんな逸話も・・・ある地方の料亭で刺身が出てきた瞬間、ジモンさんが「包丁が甘い」とぼそっと呟いたそう。それを聞いた女将さんが「わかりますか」と驚きの反応。実は、そのお造りは、担当になったばかりの若い料理人が切ったものだったのだとか。「まるで海原雄山かと思いました。切り口や厚みのバランスから見抜くんですね」と、振り返ります。二人で食事をすると、「食にお金を使っちゃったから、何も残ってないよな。でも経験が残ってるから」と、いつも慰め合っているそう。
◆そんな浜田さんの一生モノは——グレーの腹巻き
浜田さんにとっての「一生もの」は、意外にもグレーのメリノ素材の腹巻き。海外旅行でも機内持ち込みされるそうで、冬でも半袖Tシャツにダウンジャケットという欧米人スタイルなのだとか。「大学時代からの習慣で、中と外の温度差が激しいところで着込むより脱ぎ着できる方が合っていて」とのこと。ただ、Tシャツだけだと寒い瞬間もあるので、腹巻きがあれば長袖がいらなくなるのだとか。冷房の効いたシンガポールや香港などでも大活躍。「胃袋を守るという意味でも、食べることがより良くなるように、洗濯し続けています」と、笑顔で語ってくれました。
ちなみに、これから食べに行きたい場所は・・・「ノルウェーのスヴァールバル諸島にある『Huset(フーセット)』というレストラン」との答え。極北の地で、トナカイや海鳥など、その土地の食材を使った料理を提供するお店で、「そういう極限の地で、他にないオリジナリティを求めて行きたいですね」と語ります。そして人生最後の一食に選びたいのは、炊きたての白ご飯。「土鍋の蓋を開けるときの、あの湯気の香り。もう食べる元気がほぼなくなっても、あの香りを嗅ぐだけである程度は満足できると思うんです」という浜田さん。世界128の国と地域を巡ってきて最後に辿り着くのが、炊きたての白いご飯というのは、まさに美食家としてのこだわりが感じられる瞬間でした。
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