Sparkle Life

Sparkle Life

Article -Sparkle Life-

15 Aug.2026

Vol.393 小砂川チトさん

小砂川チトさん

柔らかな光に包まれる夕暮れから、夜の世界へと表情を変える特別な時間に素敵なお客様をお迎えするこの番組、今回は作家の小砂川チトさんをお迎えしました。

『ゾンビ回収婦』で第175回芥川賞を受賞された小砂川さん。受賞直後の心境から、物語誕生のきっかけ、そして日々の執筆スタイルまでお話を伺いました。

◆3度目の正直で芥川賞受賞——「人ごとみたいだった」直後の気持ち

デビュー作『家庭用安心坑夫』、第2作『猿の戴冠式』と、これまでも芥川賞にノミネートされてきた小砂川さん。3度目の正直で受賞となった今回、受賞後には、「初めて会う大人たちにたくさん話を聞かれて」という日々の中、当初は「嬉しいのか嬉しくないのか、よくわからない」「なんだか人ごとみたいだった」という日々を過ごされたそう。時間が経つにつれ、少しずつ喜びが実感として体に染み込んできているそうです。今作『ゾンビ回収婦』を読んだ本仮屋さんが「怖い話が苦手なんですが、全然違いました。読み始めたら止まらなくて、ご飯も水も飲まずに読みきってしまいました」と伝えると、最高の笑顔に。


家族のゲームから生まれた——『ゾンビ回収婦』の誕生秘話


AI〈やつら〉に侵食された世界で、殺されたゾンビの骸を拾い集めるホテルの掃除婦の物語。この着想は、お父様がゾンビゲームで遊んでいるのを見ていた時に生まれたのだそう。「昔のゲームって、視点を変えるとさっきまで倒れていたゾンビたちが一瞬でまっさらに消えるという奇妙な現象があるんですよね。その一瞬で、ものすごいスピードで片付けている人がいたら面白いなって思ったのが、最初の着想でした」と、目を輝かせて語ってくださいました。実は電子上のネタ帳に「ゾンビを回収している女の子」というメモが残っていて、3作目に何を書こうかという時にそれを引っ張ってきたのだとか。「主人公NPC」というアイデアも含め、日常のふとした違和感が独自の世界へと繋がっていく・・・そんな創作の原点を教えてくださいました。

執筆スタイルは、書きたいシーンから広げる物語


物語を作る時は「書きたいフレーズや書きたいシーンが先行するタイプ」という小砂川さん。「今回は最初のシーンが一番最初にあったんですが、これは珍しいこと。いつもは途中のシーンが先にあって、じゃあどうしようとその前後を考えていく書き方」なのだとか。執筆場所は自宅のデスク。窓に向かってドーンと構え、二面のディスプレイ(デュアルモニター)に原稿とプロットを広げて照らし合わせながら書き進めるスタイル。作品が佳境に差し掛かると、自分に「ちゃんとやれ」と厳しい声をかけがちになるそうで、そんな時は気分を変えてカフェへ。「ガヤガヤした場所で、ガチャガチャっとパソコンでやるスタイルが多いですね」と、ご自身のリズムを丁寧に教えてくださいました。


そんな小砂川さんの今週のリクエスト曲は、岡村靖幸さん。切羽詰まっている時にシャッフルでたまたまかかった岡村さんの曲のハイトーンの一節に、飲んでいたコーヒーを吹き出すほど笑ってしまい、それでふっと緊張がほぐれたのだそう。「頑張ってきた自分を最後の最後で伴走してくれた曲」と紹介くださいました。


執筆の時は音楽をかけるタイプで、プレイリストを組んで執筆するのではなく、シャッフルの偶然性に身を委ねる「その時々の波長によって合う曲は違うので、自分の気持ちが楽しくなればいい」という小砂川さん流。


来週も更に、小砂川さんの日常と執筆の世界に迫ります。



Sparkle Life

Message―メッセージ―

番組では皆様からの感想・メッセージをお待ちしております。

MORE

Listen―シェアラジオ―

聴き逃した放送を家族や友人でシェアしよう!ラジオ番組放送後、過去1週間に限り、いつでも、後から聴取できます。

LISTEN NOW

  • Facebook
  • twitter