柔らかな光に包まれる夕暮れから、夜の世界へと表情を変える特別な時間に素敵なお客様をお迎えするこの番組、
今回は、いつものリビングを飛び出して、三菱地所レジデンスが手がけるリノベーション物件にお邪魔して、
建築設計事務所「Open A」の代表や不動産仲介サイト「東京R不動産」のディレクターを務める建築家の馬場正尊さんをお迎えしました。
現代のライフスタイルに合うようにリノベーションされたマンションは、新築と変わらない綺麗さとバリアフリーに対応していたり、省エネ性能にもこだわった設備になっていたりと充実ぶりに驚きの本仮屋さん。
そんな空間で、馬場さんの「家」に対する思いなどもたっぷり伺うことができました。
東京R不動産の取り組み
馬場さんがディレクターを務める「東京R不動産」は、従来の不動産屋さんとは違い、不動産物件を性能や数字ではなく、「その物件に宿る物語」を通じて紹介するようにしているのだとか。「性能ばかりではイメージが湧きづらい。写真やテキストで物件の特性や魅力を伝えることが重要」と話す馬場さん、「サウナ好きに届ける物件」といったユニークな視点を取り入れることで、新しい楽しみ方を提案するようにしているのだとか。
リノベーションの原点と意義
馬場さんがリノベーションに興味を持つようになったのは、1990年代後半、ニューヨークのソーホーやチェルシー地区を訪れたことがきっかけ。古い倉庫や建物がクリエイターたちの手によってロフトやカフェ、本屋に生まれ変わる様子に衝撃を受けたといいます。この経験を機に、古い建物にも新たな価値があると考え、ブログ形式でリノベーション物件を紹介する活動を始めました。
馬場さんは、「中古物件には、その場にしかない物語や記憶が宿っている。それを引き継ぎ、新しい魅力を加えることで、建築物の可能性が広がる」と語ります。
建物と記憶を継承するデザイン
リノベーションを行う際、馬場さんが大切にしているのは、その建物が持つ「記憶」や「たたずまい」を尊重すること。古いタイルやガラスブロック、ドアノブなど、一見時代遅れに見える素材にも魅力があり、それをデザインの起点として活かすことが多いのだとか。また、スケルトン状態にした建物のコンクリートや落書きなどからもインスピレーションを受けることがあるそうです。
地元商店街での活動
馬場さんの実家がある佐賀県伊万里市の商店街は、かつて賑わいを見せていましたが、近年はその活気が失われつつあるそう。この状況に心を痛めていた馬場さんは、地域を盛り上げるためのワークショップやイベントを開催、再生に向けた取り組みを行っています。
「自分の建築活動が地域に貢献できることを目指し、最終的には実家の書店を再生させたい」と語る馬場さん。その場所には、子どもの頃の記憶が刻まれていて、地域の歴史を大切にした再生計画を考えているそうです。
「地域に根ざした活動と、建物を次世代に引き継ぐデザインを両立させることで、日本の建築文化をより豊かなものにしたい」とお話しくださいました。
来週もより良い住まい、馬場さんの一生物のお話など、伺っていきます。
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