柔らかな光に包まれる夕暮れから、夜の世界へと表情を変える特別な時間に素敵なお客様をお迎えするこの番組、
今週は、作家の原田マハさんをお迎えしました。
元々アートのキュレーターとして活動されていた原田さん。
子供の頃からアート漬けの生活を送ってきたそうですが、40歳の時に小説家に転身。
「ちょうどね、40歳になる時だったので、自分の人生で本当に一番したいことってなんだろうってすごく突き詰めて考えるタイミングが訪れて」
と当時を振り返ります。
人生単位で見たときに、この十年をどうデザインするのか。真剣に考えた結果、
何もないところから自分で作り出すというクリエーションをしたいと思ったのだとか。
もともと文章を書くのが好きで、妄想がすごく激しかったことから、作家への道へ。
◆ルソーとの対話から気づいた日々
森美術館からMOMAに派遣されていた時期、ルソーの『夢』という作品を毎日観に行っていたという原田さん。
「その絵の前で、頭の中でルソーとか会話したり、何かがこの絵と一緒にできるんじゃないかっていうことを、ものすごく考えてたんですよ」
仕事が始まる前にルソーの絵の前に行き、ルソーと語り合う日々。
「それが妄想だって気がつくのに、ちょっとしばらくかかったかもしれない。なんかそれが普通のことでありすぎたので」
本物の名画の前で過ごす豊かな時間が、原田さんの創作の原点になったようです。
◆直感を信じる力・・・破天荒な父からの贈り物
最新作『晴れの日の木馬たち』は、岡山の紡績工場の工女から作家を目指すステラの物語。
ステラはご自身を投影しているというマハさん。直感を信じて人生を切り開いていく姿は、まさにマハさんの幼少期そのもの。
『キネマの神様』のモデルにもなった、破天荒な父親の影響で、数々の冒険を楽しんだと言います。
忘れられないのは、中学二年生のとき、父の仕事に同行して神戸へ。ムンク展を見たいと言うマハさんを兵庫県美術館まで連れて行ってくれた父は、入り口で一万円を渡してこう言いました。
「5時間後に来るから、その間好きなようにやってろ」
携帯電話もない時代でも原田さんは、ムンクと対話し、三ノ宮で洋服を買い、一人で喫茶店に入る・・・そんな冒険を楽しみました。
「知らないうちに、訓練になってたのかもしれないです」と笑います。
◆「書くことをやめない」
最新作『晴れの日の木馬たち』について、原田さんはこう語ります。
「書き続ける話じゃなくて、書くことをやめない話なんですよ。とても似てるけど全然違うんです」
「小説は書き始めるのは誰でもできる。一番大変なのは完結させること。」
これは小説に限らず、どんな仕事にも言えることだと原田さんは語ります。
「やっぱり完結しないと届けられない。誰でも始めることができるけど、最後までやり遂げることが大事。だからそれが、やめない力っていうのは本当に大事ですね」
決められた人生のレールを外れ、直感のままに「やめない力」を信じて歩む少女の姿。
最新作『晴れの日の木馬たち』、ぜひお手に取ってみてください。
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