三協フロンテア presents The Starters(ザ スターターズ)

パーソナリティ ユージ・吉田明世20代~30代の若手起業家をゲストに迎え、
彼らがどんな発想や未来への展望を持ってブレイクスルーを起こそうとしているのかお話を伺います。
高い意識とモチベーションで社会に風穴を開けようと取り組む彼らの話が、
「あなたも、世の中を変えられる!」という、
朝、仕事へ向かうビジネスパーソンのやる気のカンフル剤になることを目指してゆきます。

Guest ゲスト

2020.02.18

社会問題に関わることはその人自身を豊かにする

株式会社Ridilover代表
安部敏樹
目的に向かって主体的に動いていく中で勘違いをするというのが大事


ゲストは、先週に引き続き社会問題の現場を訪れるスタディツアーなどを提供している
株式会社「リディラバ」代表の安部敏樹さんです。

前回は社会問題についてのお話で盛り上がりました。
社会と問題を切り離して考えるべきだという話をしていましたよね。

「社会問題って一見可哀想な、同情するような対象物というように思うことが
 多いんだけど、そうじゃなくて問題解決のプロセスなんだよ
 という話をしたんですよね。
 結局個人の中の理想状態をどう作るかという話と個人の理想状態を
 みんなの理想状態にしていかなきゃいけないという
 ある種の合計府を作っていって、現状は確かに大変かもしれないけれども
 こういう未来を社会全体で作っていけたらいいよねという 
 未来に対するある種の動き出しのプロセスだったりするんですよね。
 そういう認識を持たずに関わってしまうと同情しに現場に行くみたいになっちゃう。
 それって現場も求めてないし、誰も楽しくならない話だと思うんだけど
 別に現状が大変だったからと言って未来も大変であるということは
 必ずしも導き出される結論じゃないですよね。 

 そこに対して現状認識は丁寧に悲観的な物も含めて
 分析を入れていくべきだと思っているし
 我々も調査報道のリディラバジャーナルというものを持っているので
 厳密に調査するんですけど、一方で未来をどう作っていくかという話の分でいうと
 むしろどうやって当事者意識を持って、
 主体的に未来に対して楽観的になるかというのが大事で
 そういうスタンスが無いというところが
 海外で社会問題とか環境問題に関心が高いのにも関わらず
 国内だと無い、あるいは低いという現状を作っている気がしますね。」

例えば日本のガラパゴス化で具体的に気になっていること何かありますか。

「色々ありますが、ガラパゴス化について
 特段取り上げなくていいと思っているんですよ。
 特殊なんでしょうけど、私もフォーブスの何かに呼ばれてとか
 こないだは台湾に呼ばれて副大統領と、オードリー・タンという
 イケてる若手のイノベーション大臣がいるんですけども
 彼らと話したりしていても、別に社会問題って真面目なところもあるし
 グローバルに見たって関心持つ人持たない人、
 意識高い人低い人に分かれやすいテーマではあるんですよね。
 ただソーシャルインパクトみたいな話が世界的に注目されていて
 あらゆるスタートアップ、あらゆる業界の奴らが
 "今は〇〇やってるけどいずれソーシャルインパクトやりたいんだ”と
 みんな言ってるんで、そういう意味では日本はソーシャルインパクトに関する
 人気そのものもガラパゴスだし、問題は国によって違いますよね。

 例えばアメリカなら人種とかがすごいあるし、EUやヨーロッパ全体で言うと
 移民・難民ということがあったりするのに比べれば
 当然日本って出入国管理法っていう法律の下に難民法とかがくっ付いてくるんで
 移民難民基本法みたいなものが無いんですよ。
 つまり外から来る人に対してどういう方針を持って受け入れて
 どういう人を受け入れないか大きく方針で決めてる法律がないんで
 そこから含めても明らかに移民難民の話っておかしいですよねっていうのも
 あるだろうし、本当にヘイトスピーチみたいな話でもそうだし
 あるいはセクシャリティの話もそうだし、
 あらゆるところで日本は独特ということも多いですけどね。」

安部さん、さらに日本の”特殊さ”についてこうも語っていました。

「これは僕の思っていることですけど、 
 世界の中でも多くの国はいまだに
 たったひとつのThe Biggest Issueがあるんですよね。
 最も大きなみんな誰しも議論したい
 コントラバーシャルなイシューがあるということが多いんです。
 アメリカ行ったらまず人種というのが第一にあって
 次いで銃の話が来たりいくつかの話がくる。
 ヨーロッパだったら難民・移民の話になったりするけれども
 日本って成熟してきていて、かつ比較的均一性が高い社会ですよね。
 となってくると余りにも大きなギャップが開かないから
 このイシューに対してみんな議論しようみたいなことがあまり出てこないんですよ。
 そうなってくると合意形成を取るのがすごく難しくなっていて
 何が起こるかというと、社会問題を何と定義するかができなくなるんですよ。 
 そうなってくると、そこにどれだけ税金突っ込もうかとか
 それに対してみんながどうやって問題解決に取り組もうかとかが
 難しくなって意思決定が出来なくなって身動きが取れなくなっている
 という状況が日本がとても特殊だと思うんですね。
 でもこれは先進性があるからポテンシャルがあると思っています。」

先進性があるというと日本はこれからどうなっていくんでしょうか。
未来に対して楽観的になる方法はなんだと思われますか。

「自分が主体性を感じる、人間が主体的になるものの発明だと思うんですね。
 僕らはすごくそこに関心が高くて基本的に都会の大企業などで
 ”これやって” と言われているとめちゃくちゃ受け身じゃないですか。
 主体性がどんどん失われるような仕組みになっていて
 人の主体性を剥ぎ取る、ある種の勘違いを許さない
 みたいなところがあるじゃないですか。
 そういう仕組みってスタートアップするとかには難しいわけですよ。
 あるいは地方の課題解決というのも難しい。
 ”お前何調子乗ってんだ!” ”勘違いするんじゃない!”と
 ちょっと調子に乗る度に言われるとやる気失くすじゃないですか。
 そうやって受け身受け身になっている現状が結構あって
 そこに対して主体性を回復できるかというのが大事なところだと思う。
 うちはスタディツアーなどもやっていますが、うちが一番大事にしているのって
 個別のイシューに対しての意識もそうなんですけど
 そのイシューに対して自分がどう関わりたいか。
 それを通して自分の中の当事者性や主体性がどう回復するかというのを 
 大事にするように設計しているんですよね。
 そこが鍵になってくるような気がするんですよね。」

余談と言いつつ、”主体性”についてこんな分かりやすい例えでの解説も。

「最近合コンと料理合コンの違いに興味があって、
 合コンというのは最悪のマッチングだと思うんです。
 つまりあれはマッチングの極みなんですよ。
 お互いの条件を出していくと両サイドがベストな条件を求めたいから
 年収がとか、イケメンがよくてとかお互いが条件を並べていくわけです。
 これってハッピーになるのは最も優れたたった2人だけなんですよね。
 それ以外はもし上手くいっても不満が残る。これはダメ。
 料理合コンはすごいと思うんです。
 一緒に料理作ってときめくみたいな合コンで、
 私は行ってるわけじゃないですが(笑)、観察とかをさせてもらうとすごいんです。
 料理を作っていて”これもやって”みたいな感じで手が当たるみたいな。
 ”なんか全然わかんないけどときめいちゃった”みたいな。」

合コンで取り分けて”いいよ〜”と手が当たるのは違うんですか。

「それは違うね。つまり共通の目的が無いんですよ。
 同じ目的に向かって主体的に動いていく中で勘違いをするというのが大事で
 これは人類を幸せにするわけですよ。
 僕らのやっている仕事は何かと言うと、
 合コンではなくて料理合コンを作る仕事なんですね。
 マッチングではないの。例えば移住・定住の仕事とかもあるわけです。
 ”移住した人集まれ”というのはマッチング。
 そうじゃなくて勘違いする機会をどれだけ作るか。
 この国は人の勘違いを許さなすぎてる。
 これは本当よくなくてどうやったら勘違いしちゃうのかと。
 その勘違いが主体性を生むじゃないですか。
 恋愛もそうですよね。"ずっと俺のこと見てるな。俺のこと好きかな” と、
 これは完全に勘違いなんですけど、それで”番号教えてよ”と。
 このアクションは主体性ですよね。」

自分の気持ちに素直に動いているから。

「これをどうやって社会全体で再現させていくのかと。
 これは間違いなく大半は勘違いなので上手くいかないんですけど
 思考回数が多くないと社会が活性化しないの。」

これによってトライアンドエラーが生まれますからね。
今は失敗したくない人しかいないんです。
でも主体性で動いていくと失敗する
その失敗が”バカだったな自分は”と思う時間が作れるんですよね。 

「そうなんです。これで大事なのは社会問題はポテンシャルが高いんです。
 なぜかというと勘違いをして
 何かアクションを起こす時の場所としては非常にしやすい。    
 例えば今から皆さんが金融市場における大きな課題解決をしてくださいと言われて
 すごい難しい関数を解けと言われて、世界の天才たちが
 何十兆円、何百兆円使っている課題に取り組むのって極めて勘違いしづらいですよね。
 だけど、例えばどっか何かこうまだまだ課題設定もされていなくて
 解決に対しての伸びしろがあるところに関していうと            
 色んな人が関わる余地があるじゃないですか。    
 その意味で言うと社会課題ってすごく人の主体性を取り戻しやすいんですよ。
 これは地域の課題もそう。こういうところに関わると言うのは
 社会もよくするんだけど関わっている人のウェルネスを
 その人自身を豊かにするポテンシャルがあって、
 だからめちゃくちゃいいなと思ったんですよね。」

阿部さん、2週にわたってありがとうございました!      
  • Facebook
  • X
  • LINE

TOP