DAILY NEWS ★あなたの気になる特集内容は?ソーシャルボタンでシェアしよう!

番組スタッフ
先週末から急に、ネット上で見慣れない言葉を目にするようになりました。
「アウティング」。
他人が同性愛者であることを勝手にバラすことを指す言葉で、先週金曜(5日)に報じられたこちらの訴訟をきっかけに頻繁に使われ始めています。

「同性愛、LINEで暴露され死亡」遺族、一橋大を提訴(「朝日新聞デジタル」2016/8/5)

この訴訟を起こしたのは、同性愛者であることを同級生にLINEでバラされた後、建物から転落死した一橋大学法科大学院の男子学生の遺族。
転落死したのは、同性愛者であることを同級生にバラされ、大学が適切な対応を取らなかったためだとして、大学と同級生に合計300万円の損害賠償を求めました。

同性愛を周囲にバラすに至った経緯は以下のようなもの。
他の記事にならい、転落死した男子学生をA、バラした同級生をZとします。

Aは昨年4月、Zに恋愛感情があることを告白。
Zは告白に対し、「恋愛感情に応えることはできないが、これからも友達でいよう」と返答。
ところが2か月後の6月、Zは同級生10人でつくるLINEのグループに「おまえがゲイであることを隠しておくのはムリだ。ごめん」と実名を挙げて投稿。
Aが同性愛者であることを周囲にバラしました。

これが「アウティング」です。

その後、AはZに会うと吐き気や動機がするようになり、大学のハラスメント窓口にも相談したものの、その2か月後の8月、授業中に発作を起こして校舎から転落し、死亡。

Zは裁判で「恋愛感情を打ち明けられて困惑した側として、アウティングするしか逃れる方法はなく、正当な行為だった」と主張しているのに対し、遺族側は「あの一言で息子の人生が変わったことが許せない。自分のとった行動を理解して、きちんと責任をとり謝罪してほしい」とZを非難。
Aの妹は「一瞬にして兄の人生を、家族の人生を変えられてしまいました。生前、兄が被告男性(=Z)を訴えたいと言っていたので、本人の無念を晴らすために提訴しました」とのコメントを出しています。

これが報道によって明らかになっているアウティングに至る経緯ですが、よく分からないのがZの「アウティングするしか逃れる方法はなかった」という言い分。
わたしは同性に告白された経験がないので、Zの困惑を理解することは不可能です。同性に告白された者だけが抱く、計り知れない困惑があった可能性もあります。
ただ、一旦は穏便に済ませておきながら、アウティングという最悪の行為に走った理由として腑に落ちるものではありません。

このように被害者ともいえるAの肩を持ち、ついついZを非難したくなるのがこの訴訟。
でも、よくよく考えると、同性愛者でもなく同性から告白されたこともないわたしが、同性愛者の気持ちも同性愛者に告白された者の気持ちも理解することなどできるはずもないのに、Aの肩を持ち、Zを非難するのはおかしな話です。

この訴訟について調べているうち、以前、親しい人にだけゲイであることをカミングアウトしている友人がこんな話をしていたのを思い出しました。
*****
ゲイをカミングアウトしたら、やたらと「分かる、分かる」と“同性愛に理解あるアピール”をされたことがある。これはかなりウザかった。
(その人は)普通に異性と付き合っているだけに、余計に「分かる」という言葉が薄っぺらく感じた。
*****

この友人からカミングアウトされてから10年以上経ちますが、わたしは未だに同性愛というものを理解できていません。
それでも付き合いがつづいているのは、「自分は理解できない」ということを前提に理解した気になって接したことが一度もないからだと自負しています。

理解できるはずもないのになんとなく理解した気になってしまうことは同性愛に限らず、多々あります。パラリンピック、24時間テレビがあるこの時期はとくに意識する障害者もそのひとつでしょう。
こうした人たち理解したいと考えるのは悪いことではありませんが、“理解あるアピール”がときに当事者をイラつかせることも忘れてはなりません。

(スタッフH)
(2016/8/9 UPDATE)

MESSAGE ★ 番組へのメッセージはこちらから ★ 皆さまからのご意見お待ちしております


ページの先頭へ