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番組スタッフ
毎日新聞が、今月2日に一面で報じた『「パラサイト中年」300万人』というニュース。

総務省統計研修所が昨年まとめた推計によると、35〜44歳の6人に1人、約300万人が未婚のまま親と同居。
90年代に指摘された当時20〜30代の「パラサイト・シングル」の多くが、中年世代になっても依存を続けているとみられているのだといいます。


このニュースに対する識者の反応は、「パラサイト・シングル」という言葉を造った中央大学の山田昌弘教授が『自立できない未婚者が増えれば、少子化が進行し、生活保護を受ける人が増える可能性も高まる』と言っているように、「パラサイト中年」が増えている状況が今後、社会に何らかの悪影響を及ぼすという論調が多いように思います。

一方、ネット上の反応は「パラサイト中年」を否定する意見は少数。肯定する意見の方が多いような印象を受けました。
<否定派>
要するにスネかじりの穀潰しだろ。
<肯定派>
仕事もしないで中年になっても親のすねかじってるってんなら問題だと思うし、勤労や納税の義務を果たしてないから非難されても仕方ないと思うけど、仕事はした上で親と同居する分には好きにしたらいいと思うが。

また、「結婚してたら二世帯住宅とかいうのに結婚してなかったら寄生虫扱いかよ」など、報道の仕方を批判する意見も数多くみられました。

波紋を呼んでいる「パラサイト中年」報道ですが、そもそも「パラサイト中年」は問題視すべき存在なのでしょうか。

まずは前提となる「パラサイト・シングル」とはどのような存在なのか、その定義をおさらいしたいと思います。
毎日新聞(2012/5/2)によると、「パラサイト・シングル」とは・・・
社会人になっても自立せず、親に依存して同居を続ける未婚の若者を指す造語。
自分の収入を趣味などの消費に充てて優雅な生活を送る様子が「親に寄生(パラサイト)している」ように見えたことが語源となった。最近は、親と同居する未婚者の総称として使用される。


この定義の中で注目すべきは「自分の収入を趣味などの消費に充てて優雅な生活を送る様子」という部分。この部分によって、悪い印象を植え付けられている気もします。
また、「パラサイト・シングル」という言葉が造られた当時は、上記のような状況だったと思われますが、今はどうなのでしょう。

調べてみると、「パラサイト・シングル」の別の側面が見えてきました。
総務省によると、2002年までの5年間に家族の介護・看護を理由に離職した人は52万人。
そして次の5年間は56万人に増えています。
つまり、「パラサイト中年」の中には、親の介護のため、やむをえず結婚せずに親と同居している人も少なくないことが推測できます。

また、学習院大学経済学部の鈴木亘教授は、「パラサイト・シングル」の中年化について、自身のブログ(2011/10/26)に次のような見方を示しています。
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現在はむしろこのパラサイト・シングル化の動きを、家族内の「リスク・シェアリング」として積極的に見て良い面もあるように思われる。
しかも、そのリスク・シェアリングは、子どものリスクを親が支えるだけではなく、高齢化する親のリスクを子どもが支える側面も観察されており、決して一方的な関係ではない。また、親の経済的利用可能性が階層化を進めるというよりは、むしろ、経済的にまだ余裕のある親が生活の苦しいパラサイト・シングルを支えて、双方の経済力が平準化する(中和する)という所得再分配の機能も存在しているようである。
もっともこの共生家族は、その一代限りで完結して終わり、次世代には続かないという問題がある。

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「親のすねをかじり、優雅な生活を送る」という、パラサイト・シングル像は、今は昔。
非正規雇用の増加や高齢化した親の介護など厳しい社会状況により、かつてのパラサイト・シングル像は変質していったような気がしてなりません。
今、定義し直すのであれば、「生きていくためにやむをえず親と同居する若者」といったところでしょうか。

子どもが自立できないだけでなく、親も子どもが自立しては生きていけない時代。
「パラサイト中年」は、こうした生きづらい現代の象徴なのかもしれません。



<web担当:H>
(2012/5/8 UPDATE)

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