DAILY NEWS ★あなたの気になる特集内容は?ソーシャルボタンでシェアしよう!

番組スタッフ
「福島県産では売れないと思い、やってしまった」

福島県産の牛肉の産地を鹿児島県産と偽装して販売したなどとして、大阪市の精肉店元店長が、きのう逮捕されました。
放射性セシウムに汚染されたことが発覚し、売上げが3分の1にまで落ち込んだとされる福島県産の牛肉。風評被害で売れ行きが落ちたため、及んだ犯行とみられています。

ついに偽装する業者が出てきたかという印象がありますが、今回、取り上げるのは福島県産牛肉の産地偽装ではなく、福島県の警戒区域内で飼養されていた牛の処分について。
福島第一原発から半径20キロ以内の警戒区域内で飼養されていた牛は約3000頭。
そのうち約半数が餓死や安楽死させられ、現在は1000頭以上の肉牛が半野生化し、生存していると推計されています。

こうした事態を見兼ねて立ち上げられた、「希望の牧場〜ふくしま〜」というプロジェクトをご存知でしょうか。

これは、福島県浪江町の立ち入り禁止区域内にある「希望の牧場」の代表・吉沢正巳さん(58歳)が立ち上げたプロジェクトです。

吉沢さんは、警戒区域内の家畜を殺すよう求めた国の方針に同意せず、町から立ち入りの許可を得て、命がけで警戒域内に取り残された約300頭の被ばく牛に餌をやり続けている畜産農家の方。

餌をやり続けると同時に、このプロジェクトを立ち上げ、警戒区域内の被ばく牛の命をつなぎ、単に殺処分するのではなく、継続飼育することで、今後の放射能災害の予防に貢献できるような科学的データを集積し、学術研究などの目的に活用することを提案しているのだそうです。

このプロジェクトへの想いを、吉沢さんは「希望の牧場〜ふくしま〜」のブログ(2012/5/4)で以下のように綴っています。

******
私たち浪江町の農家が飼っていた家畜の商品価値はゼロ、
しかも、いつ自分の家に帰ることができるのかもわかりません。
みなさんはご存知でしょうか。
警戒区域に取り残された家畜の多くが餓死した上に放置されミイラ化していることを。
生き残った家畜についても政府が殺処分の決定を下したことを。
「殺せ」これに私は納得などできません。
警戒区域にある私の牧場にはいまも300頭の牛が元気に生きています。
原発事故からこれまで被ばく覚悟で家畜の世話を続けてきました。
こうした家畜たちを、経済価値もなく被ばくした家畜かもしれませんが、
必死に生きているその命を、活かす方法はないのでしょうか。

******

吉沢さんは被ばくした牛を活かす方法を模索し続けていますが、殺処分でも、餓死でもない、「第3の道」はあるのでしょうか。これは、ひじょうに難しい問題です。
「本当にやる意味があるのか」・・・
初見では、不謹慎ながらそんな疑問を抱きましたが、よくよく調べてみると、その疑問自体の稚拙さを思い知ることになりました。

「希望の牧場」というプロジェクトには、牛の命を守ること以外にも、重要な想いが込められていたのです。
それをあらわしているのが、「希望の牧場」という名前の由来。
「無人化した警戒区域(浪江町)に、命の灯をともし続けることは、いつかは故郷へ戻りたいと願う、警戒区域すべての住民の希望にもつながるはずだ」との願いを込めて付けられたといいます。

これを知ったとき、わたしは最終的に、被ばくした牛を活かす「第3の道」が見つからなかったとしても、このプロジェクトにはやる意味があるのでは、と思えるようになりました。

しかし、昨日、その希望を打ち砕くような痛ましい出来事が、警戒区域である福島県浪江町で起きてしまいました。
「福島第一原発事故で警戒区域の福島県浪江町に一時帰宅中、行方不明となっていた60代の自営業男性が、同町の倉庫内で首をつって死んでいるのを、捜索していた消防団員が発見。遺書などは見つかっていないが、県警は自殺とみられている。」

この痛ましい出来事、それに対する苦しい心情を、吉沢さんは昨日付のブログ「希望を失ってしまった浪江町」で次のように綴っています。
******
生きる意味さえ失った
被ばく避難民の町民アンケートのたくさんの声の中からとうとう自殺者(犠牲者)が出てしまった。
意味のない浪江町商店街、死のまち 絶望の浪江に展望はみえない。
警戒区域の再編の決断もできぬまま やがて夏を迎えようとしている。
まちの分断、意見の分裂、その先に浪江町は崩れるかもしれない。
棄民政策のなかで浪江町は再生、復活、希望の道は本当にあるのだろうか。
だが、、、残った農家の頑張りで希望の光を必ず灯したい。

******

たしかに痛ましい出来事ではありますが、これにくじけず、プロジェクトを続けてほしい。
浪江町の警戒区域の住民にとっての希望の灯をともし続けてほしい。
そう、切に願うばかりです・・・


<web担当:H>
(2012/5/29 UPDATE)

MESSAGE ★ 番組へのメッセージはこちらから ★ 皆さまからのご意見お待ちしております


ページの先頭へ