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番組スタッフ
先週、『週刊文春』が「ワタミ渡辺美樹会長は“Mr.ブラック企業” これだけの根拠」という記事を掲載するなど、社会問題になりつつある「ブラック企業」の問題。
おととい(9日)には、『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』の著者でNPO法人「POSSE」代表である今野晴貴さんの「ブラック企業」に関する“一連の衝撃的なツイート”が、それぞれ1000件近くリツイートされるなど注目を集めています。

多数のツイートがありますが、今回の騒動を象徴しているのが以下の2件のツイート。
現時点(6月11日15:20時点)で、前者は923件、後者は1055件リツイートされています。
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ユニクロから、「訴える」と脅しの通告書。『ブラック企業』(文春新書)で名誉棄損しているというが、私はこの本で、ユニクロには言及していない。「この書籍において貴殿が摘示されている「衣料品販売X社」なるものが通告人会社らを指すものであることは…明らかであるものと認められます」。
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柳井氏は、文春新書の『ブラック企業』によって名誉を棄損されたと主張しながら、大手出版社である文芸春秋者社には何もいわず、「社会的に力のない一著者」だけを狙い撃ちにして、脅しの文章を送りつけてきた。単なる大学院生の私に、億万長者の柳井氏の弁護団から「脅し」が届いたことは、極めて滑稽
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ユニクロがブラック企業か否かはひとまず置いておいて、この一連の騒動に対するネット上の反応をひととおり調べていて気になったのが、頻繁に登場する「スラップ」という言葉。
たとえば、「ユニクロからスラップを仕掛けられているらしい」「ユニクロが出版社を提訴したのは、いわゆるスラップですね」というような登場の仕方です。

調べてみると、「スラップ(SLAPP)」とは、”国や企業が自ら進める事業に反対する住民や個人を相手に、話し合いによらず高額の損害賠償請求など法的手段に訴える手法”のこと。
これまでも、上関原発の反対派住民を中国電力が提訴したり、沖縄のアメリカ軍ヘリ発着場建設への反対運動に対して国が訴訟を起こすなど、国や企業は裁判というかたちで個人の意見を封じてきたようです。
また、最近でも、『東京新聞』(2013 年 2 月 28 日)が「相次ぐスラップ訴訟 行政などの告訴乱用 許されるのか」という記事を掲載。
震災がれきの広域処理をめぐり住民の反対運動が続いている富山市で、最終処分場への焼却灰の搬入を阻止しようとした母親らが行政に刑事告訴された問題を報じています。

国や企業が個人の意見を封じる、スラップ。
数年前から問題になっているにもかかわらず、今も野放しになっているのはどうしてなのでしょう?
『京都新聞』(2011年1月29日)の記事「口封じ訴訟 被害者救済に法整備を」で、ジャーナリストの烏賀陽弘道さんは、スラップに対する法規制が進むアメリカに対し、法規制はおろかほとんど認知もされていない日本の現状を嘆いています。
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スラップは1980年代にアメリカで社会問題化し始めた。いったん提訴されると、被告は弁護士費用、法廷準備のための時間やエネルギーの消耗、収入減、精神の疲弊といった「裁判コスト」を強制される。それを恐れて、批判者は口をつぐむようになる。
90年代初めから、反スラップ州法の制定が広まった。2010年現在、アメリカでは過半数の27州に反スラップ法がある。
全米最大の人口を持つカリフォルニア州法の場合、提訴された段階で、被告は「この訴訟はスラップだ」と裁判所に申し立てることができる。実質審理はその段階で止まり、認められれば3〜6カ月で却下される。両方の弁護士費用は原告の負担になる。「提訴する権利」を守りつつ、被告側の裁判コストをできるだけ軽減する仕組みである。
日本でもここ数年、アメリカならスラップに該当すると思われる訴訟が相次いでいる。が、スラップの法理はまだ、裁判官や弁護士など実務家はもちろん、法律研究者の間でもほとんど知られていない。

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今回の騒動を見ればわかるとおり、仕掛けた側にとっても、その事実が広く知れ渡れば、イメージダウン必至の諸刃の剣。
仕掛ける側にとっては、デメリットの方が大きいのではないでしょうか。
『はてなブックマーク』の人気エントリー、「ブラック企業がブラック企業と指摘した相手を訴えなければならない理由 - novtanの日常」は、スラップをすること自体が社会悪だ、ということを世の中の常識にしないといけない、と指摘していますが、今回の騒動はその一歩になるような気がします。
日本でも法規制が進むことが理想ですが、現状をみる限り、それはまだまだ先の話なのでしょう。

(スタッフH)
(2013/6/11 UPDATE)

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