DAILY NEWS ★あなたの気になる特集内容は?ソーシャルボタンでシェアしよう!

番組スタッフ
先日、ランチにと、たまに行っていた店に足を運んで見たのですが、ランチ営業を辞めたとの張り紙がされていました。
どこも人材不足のようです。
その店にも、ランチ営業を辞めたという張り紙の隣には、人材募集のそれが貼られていました。

ピザ配達チェーン店が、最近、折込チラシで「割引」を条件に、積極的にピザの店頭受け取りを促すような気がしますが、それもやはり人手不足が原因に違いありません。

SNSを見ていると、働き手を募集する旨の投稿をシェアしている光景によく出くわしますが、先日もある飲食店の「スタッフ募集」の張り紙がシェアされていました。
その紙にあったのは「助けてください!」の一文。投稿主はカフェバーを経営しているようで、人手が足りないために満足な営業ができない様子。

興味本位で詳しく見てみましたが、その店のどうしようもない事情があるのでしょうが、時給が安すぎる。
募集要項には「経験不問」とあり、その下に「将来、独立を考えている方」とも書かれていました。
夜まで労働する飲食店としては安い時給ではあるものの、足りない分を将来、自分のお店を持つためという「夢」で埋めあわせるというように私には映りました。繰り返しになりますが、もちろんそのお店なりの退っ引きならない事情があるのでしょう。

ご存知の通り、人手不足は飲食店だけではありません。
私が通う歯科はグループ全体で衛生士が不足しています。担当医に聞いたところによると、歯科医が乱立状態にある首都圏では歯科衛生士不足が深刻化しており、人材の奪い合いが深刻化しているとか。

人材の奪い合いが激化すると、やはり勝ち取ることができるのは高い報酬を払うことができる歯科のようで、私のかかりつけの歯科から歯科衛生士が奪われてしまいました。

その歯科グループは首都圏の求人情報雑誌、サイト等で歯科衛生士を募集していたそうですが、「どうやっても集まらない」ということで、ついには近畿、中部にも人材募集の告知を出し、「引越し費用は負担します」という条件を載せたそうです。
すると、これが功を奏したようで、この春から大阪から引っ越してきたという歯科衛生士がその歯科で働くことになりました。

人(=被雇用者)を集めるには、夢とか希望、精神の高揚を煽るものだけではいけません。
集まったとしても、精神が摩耗し、その会社を去ることになります。
・・・ということは私がここに偉そうに書くまでもなく、この何年かでブラック企業の存在意義を否定する世の中の声を見れば明らかです。

中小、大企業問わず、”やりがい”や”夢”でブラック企業の本性にベールを被せても、速攻で見破られてしまう時代となりました。
しかし、です。
それでも”夢”や”やりがい”を餌にした、いわゆる”やりがい搾取”はなくなりません。

2020年東京オリンピック・パラリンピックのボランティア募集要項も批判を食らいました。
3月下旬に公開された募集要項案によれば、1日8時間で合計10日間の活動や、交通費や宿泊費の自己負担などの条件が提案。
まず、この募集要項案に批判が集まり、今月、有識者が集まった初会合で、「ボランティアのやりがいをわかりやすくPRしていくことが必要だ」との意見が出て、「やりがい搾取」だとさらに批判されました。
国策レベルの事業であるオリンピックですら、「やりがい搾取論」が飛び出してしまうので、一般企業や飲食店がいまだ「やりがい」を餌に人を集めることは致し方ないのでしょう。

私は個人的に、人材に金をかけることを渋る組織はアウト、だと思っています。
人材への投資を渋ったがために、失敗してしまったプロジェクト、倒産寸前に追い込まれている会社をいくつか見てきました。
美辞麗句で金の少なさへの不満や疑問を掻き消そうとする行為は、ブラック企業のそれです。

夢ややりがいなんかで腹は膨らまない。
そもそもお腹が膨れていないと、夢ややりがいをまともに感じる余裕すらなくなるからです。

スタッフ坂本
(2018/5/31 UPDATE)
番組スタッフ
「わざとぶつかる人」の被害報告が相次いでいます。

女性にわざとぶつかってくる人は実在した(「togetter」2018/5/26)

「わざとぶつかる人」というのは、その名の通り、街中ですれちがいざまにわざと肩などをぶつけてくる人のこと。
ツイッターユーザー「えんどう」さんの5月26日のツイートをきっかけに、主にツイッター上で被害報告が相次いでいるのです。

えんどうさんのツイート
新宿駅で女性狙い「タックル」する男の動画拡散 「私も同じことされた」と証言も(「J-CASTニュース」2018/5/26)

このツイートには動画が貼り付けられていて、動画は白いTシャツに黒いズボンという服装でリュックを背負った男の後ろ姿から始まります。
この男は手始めに、向かって歩いてきた女性2人のうち1人に、すれ違いざまに左肩をぶつけ、その後も肩をぶつけ続け、合計3人の女性に肩をぶつける様子が記録されています。

このツイートの後、「わざとぶつかる人」にぶつかられたという被害報告が相次いだわけですが、これをきっかけに周辺情報を調べてみたら、このツイートより前の5月上旬にすでに「わざとぶつかる人」の被害報告がされ始めていたことが分かりました。

5月7日には「透明なゆりかご」で知られる漫画家の沖田×華さんがツイッターに、「わざとぶつかる人」に遭遇した経験を投稿。
*****
本笑でも描きましたが、黒髪ロング時代は毎回新宿駅でやられました(しかも胸にタックルしてくる)池袋駅は何故か手を握られ、東中野では電波さんに絡まれるタイプでした
*****

5月8日には「わざとぶつかる人」に関するまとめができていて、その中で科学ライターの大貫剛さんは、周囲の女性が受けたという被害をツイッターに投稿。
******
最近、女性の家族や知人から「街で人にぶつかられる、接触される」という話をよく聞く。もしかしたら、今までは「前を見て歩けよ」と思うだけで、聞き流していたのかもしれない。
でもよく聞くと、明らかに違う。世の中には女性とすれ違う時に避けない、わざとぶつかる男性が少なくないらしい。
妻は、僕が住む池袋に引っ越してくるとき「人とぶつかるから嫌だ」と言ってた。
ちゃんと前を向いて歩けばぶつからないよ、と笑っていたのだが、たぶんそれは間違いだ。相手が女性だとわざとぶつかる男が、群衆に混ざってるんだ。
<「togetter」2018/5/8>
******

5月11日には東京・墨田区で登校途中の小学生に不審な男がぶつかり、言いがかりをつける被害が相次いで発生しています。
*****
11日午前7時40分ごろ、墨田区本所2丁目の通学路で、小学生の女の子に、前から向かってきた男がわざとぶつかり、「おまえ、痛えよ」と言いがかりをつけた。
(略)
この10分後には現場から数十メートル離れた墨田区石原3丁目でも、登校途中の女子小学生にわざとぶつかってきた男が、「おまえがぶつかってきた」と逆ギレして言いがかりをつける事案があった。
<「ハザードラボ」2018/5/13>
*****

ここまでの被害報告に共通するのは、被害を受けているのは「女性(女の子)だけ」という点。
また、拡散している動画をよく見ると、隣に男性がいる場合はあえて避けるなど、肩をぶつける相手を選んでいるようにも見えます。

防災と災害情報のニュースメディア「ハザードラボ」は上記の記事の中で、「被害に遭うのはもっぱら気が弱そうに見える女性が多い」と伝えています。
*****
最近、都市部では人とすれ違う際や歩きスマホをしている女性、ベビーカーを押しているお母さんに向かって、わざと体をぶつけてくる、いわゆる「ぶつかり屋」の被害が相次いでいる。
被害に遭うのはもっぱら気が弱そうに見える女性が多いという(後略)
<「ハザードラボ」2018/5/13>
*****

さらに、被害に遭うのは地方ではなく、もっぱら東京。
「ロケットニュース24」の女性記者2人はこう証言しています。
*****
──えええ……そうなんだ……。女性かわいそう……。でもそれって昔からなの?

百村モモ「長野にいた頃は1度も無かったですね。東京に出て来てからです」
御花畑マリコ「私も長崎にいた頃はなかったですね。大学で東京に出てきた直後から、25歳くらいまでが多かったです」
<「ロケットニュース24」2018/5/9>
*****

そして、この女性記者2人は「わざとぶつかる人」の人物像にも触れています。
*****
──へぇぇぇええ。ちなみに当たってくるのはどんなヤツなの?

百村モモ「イケメンでないことは確かですね。一言でいえば “うだつの上がらなそうな男” しかいないです。あと不思議とフレッシュマン並みの若い人はいないですね。50代以上のおっさんか、イライラしてる男か」
御花畑マリコ「同じです。イライラした男は30代〜50代って感じですかね。マッチョマンはいなくて、男性の平均身長よりは小さい男性が多いと思います」
<「ロケットニュース24」2018/5/9>
*****

「うだつの上がらなそうな、イライラした男」という人物像。
これを裏付けるような投稿があり、それが、数年前、「わざとぶつかる人」をやっていたという人物の「はてな匿名ダイアリー」への投稿。
作り話の可能性もありますが、この人物は当時をこう振り返っています。
*****
今から数年前、35歳非正規雇用、職場では毎日のように上司に罵倒され深夜までのサービス残業で心身ともにすり減ってるある日、ぼーっと歩いてたら女性にぶつかった。
尻餅をついた彼女を見てビビりの俺は逃げた。通報とかされて急に警察に肩を叩かれたらどうしようとか思いながらも、ちょっとぶつかったたけで簡単に倒れる女性に大袈裟じゃね?という若干の不満と、なんというか征服感のようなものを感じてしまった。
気付いたら日々の鬱憤を晴らすかのように、わざと女性にぶつかるようになっていた。
老人はやらなかった、大怪我して最悪死亡とかになったら怖かったので。ベビーカー持ちはよくやった、邪魔だからいいじゃんという考えもあったと思う。
<「はてな匿名ダイアリー」2018/5/8>
*****

また、5月27日には同じく「はてな匿名ダイアリー」に、「わざとぶつかる人」ではないのに「わざとぶつかる人」の気持ちを代弁した記事が投稿されています
*****
イケてる奴にも、イケてないオタクにも、なりきれなかった奴ならぶつかる理由がわかるかもしれない。
イケてる奴みたいに、女に相手にされた事がなくて、女が憎くて、けど、イケてないオタクみたいに「俺非リア充w」だし、だなんて開きなおれる程じゃなくて
もうどうしたらいいかわからなくなって女にぶつかるんだよ。
(略)
あからか様に、ヤバい奴よりも
俺が言うように本当の狂気ってのは、名前がつかないし、人に説明しても理解できないんだ。
<「はてな匿名ダイアリー」2018/5/27>
*****

この投稿で興味深いのは後半、「本当の狂気は名前がつかず、人に説明しても理解できない」という部分です。
大袈裟かもしれませんが、「わざとぶつかる人」が持つ本当の狂気はやがて増幅し、惨事につながるような気がしてなりません。

(スタッフH)
(2018/5/29 UPDATE)
番組スタッフ
5月28日(月)佐々木俊尚 ●日本型組織がかかる集団催眠

悪質タックル問題を受けて指摘される、日本型組織がかかる集団催眠とは?

5月29日(火)速水健朗 ●テレビで重視される“ストレス回避”がもたらすこと

視聴者がストレスを感じる映像を回避する姿勢は何をもたらすのか、考えます。

5月30日(水)ちきりん ●「培養肉」は「食糧安全保障」の切り札となりうるか

食料安全保障を担う、培養肉の現実味とは?

5月31日(木)小田嶋隆 ●新たな女性蔑視主義者「インセル」の脅威

新たな女性蔑視主義者「インセル」がもたらす脅威とは?

(2018/5/28 UPDATE)
番組スタッフ
最近、スマホのニュースアプリを開くと記者会見ライブ配信中と表示されていることが多くなりました。
そのつもりはなかったのに、件の日大生が開いた記者会見を受けて日本大学側が開くということで、ついつい見てしまいました。

当初は「学生が不憫で…」という感情を持ってスマホの画面を眺めておりました。”勧善懲悪”もののドラマを視聴するときに抱くそれと似ているななどと思っているうちに、何だかグダグダというか、誰が何について、何を話しているのかわからなくなってきてしまい、見るのをやめました。

見ていた人なら誰もが思ったでしょうが、案の定、一夜明けた今日、ネットを見て見ると監督と大学への批判、さらには記者会見自体のグダグダ感への不満が散見されました。

繰り返しになりますが、ネットで記者会見はライブ配信されるようになり、もはやそれはテレビや新聞等の特権ではありません。注目される記者会見はヤフーニュースのトップに常に乗っていますし、どこかのニュースサイトを見れば必ずライブがあります。

ライブ配信されるということは、ログが残ってしまうということです。
一生、その記者会見がネット上に記録されてしまう、と言っても過言ではないでしょう。
そして、ログが残ってしまうということはツッコミをいれられる=粗探しをされるということです。

記者会見でヘマをやらかすと一生語り継がれ、幅広くネタにされるという前例がいくつもある通り、記者会見に臨む人はできるだけ波風立たぬように穏便に謝罪なり、釈明なりをしなければなりません。
記者会見を世間が納得するように処理する、対応するのは至難の技のようです。

粗探しされるとわかっていて臨む記者会見ですから、それなりに準備が必要です。質問する側もされる側も。
今回の日本大学の記者会見を見ていると、質問を受ける大学側、質問をする記者、さらには会見を仕切っていた大学関係者も自分が言いたいことだけを言う場になっていたように感じます。

ネットでライブ配信される記者会見は粗探しされると書きましたが、それは謝罪、釈明する側だけでなく、矛先は質問する側にも向けられています。
事実、連日の記者会見を受けて、的外れな質問をした記者は名指しで批判されてしまっています。

グダグダの記者会見を見ていると、「こんな会議あるな」と思わずには入られません。
ゴールを決めず、何らかのアウトプットを必ず出すと意思統一を図っていないまま始まってしまったが最後、時間を消耗するだけの不毛な会議。
ワイドショーの記者たちにとっては会見で真実が語られなくても別に構わないのでしょう。
謝罪に臨む「想定悪人」が記者たちの質問にたじろぎ、言い淀み、沈黙しても、それはそれで都合よく編集できるからです。

昨日の記者会見に限らず、記者が同じ質問をし、会見を仕切る人や見ている人を苛立たせることは珍しくありません。
私の知人が昨日の記者会見の場にいたそうですが、ワイドショーの記者(リポーター)たちが同じ質問をするのは、編集して番組で放送する際、記者の質問から使うと臨場感や独自感が出るためなのだとか。
同じであろうが、「番組が質問した結果の答え」という武勲が欲しいのだそうです。

記者会見に臨む人が感情的になれば、あるいは沈黙すれば記者は満足でしょう。番組スタッフ内のうけも良いかもしれません、しかし、見ている側、ログを取っている側はそうはいきません。
記者の的を射ていない質問もきちんと記録しています。

世間は法や規範ではなく、感情や空気に動かされます。
世間というものがすでに「空気」や「感情」で形成されているようなものなのでそれは仕方がないのでしょうが。

記者会見のライブ配信というもの自体が、見ている人の何らかの感情を刺激し、「シェア数」「いいね」を稼ぐためのシステムと化しているような気がします。

粗探し、間違い、嘘、不誠実さを見つけた人はそれなりに共感を得て、もしかしたら英雄視されるということもあり得ます。
ささやき女将、号泣市議・・・
悪い意味で語り継がれるような記者会見にならないためには、必要なのは謙虚さや誠実さ、機知といったところでしょうか。

スタッフ坂本
(2018/5/24 UPDATE)
番組スタッフ
登山家の栗城史多さんがきのう(21日)、エベレストの登山中に亡くなりました。
死の詳細は明らかになっていませんが、体調不良で下山中だったといいます。

登山家・栗城史多さん死去 8度目のエベレスト挑戦中(「朝日新聞デジタル」2018/5/21)

栗城さんは大学山岳部に入部してから登山を始め、6大陸の最高峰などに登頂し、2009年からは「冒険の共有」として登山のインターネット生中継を開始。
2009年からエベレストに7回挑戦していますが、登頂には至らず、今回が8回目の挑戦。
2012年には、指を露出した手袋を使ってまでスマートフォンの使用にこだわったことなどから重度の凍傷となり、両手9本の指を失ったことが話題となりました。

栗城さんが挑戦していたエベレスト登山は、難易度が高いという「単独無酸素」。
エベレストのような高所は、8000mを越えると人間が生存できないほど空気中の酸素濃度が低くなるのですが、そのような状況下で酸素ボンベを使わず、しかも単独で登頂を目指していたのだといいます。
しかも、登頂を目指していたルートも難易度が高いもの。

映画監督・映像ディレクターの藤岡利充さんによると、栗城さんは「"否定という壁への挑戦"と銘打ち、山頂に登る様子を中継して"冒険の共有"を行い、人々が諦めた"自分の山(夢・目標)"に挑戦することを真の頂としていた」ようです。

エベレスト8度目の挑戦 登山家・栗城史多の試練(「ヤフーニュース個人」2018/4/17)

こうした栗城さんの“挑戦”に対し、専門家からは「無謀な挑戦を繰り返しているだけ」などと批判の声もあがっていました。
その一人が、去年、自身のブログで2度にわたって栗城さんの挑戦に疑問を投げかけていた登山ライターの森山憲一さん。

栗城史多という不思議(「森山編集所」2017/6/2)
栗城史多という不思議2(「森山編集所」2017/6/9)

森山さんは栗城さんの訃報が伝えられた後、ノンフィクションライター・石戸諭さんの取材に対し、ブログでも言及していた「無謀な挑戦」である理由を語っています。
*****
まず西稜や北壁というルートもものすごく難しく、栗城さんのレベルで登頂できることはほぼ100%ないと断言できるものでした。
専門家ほど挑戦に対して無理と断言することは躊躇しますが、明らかに無理です。例えるなら大学野球の選手が、メジャーリーグの本塁打記録を更新するようなものでした。
南西壁に関していえば、エベレストでも一番難しいルートで、日本人で『単独・無酸素』で南西壁から登頂できる登山家はいません。世界を見渡しても1人、2人いるかどうかというルートです。
彼らですら、やってみないと成功するかどうかはわからない。栗城さんのレベルで、山頂に達することはありえないことです。
<「ハフポスト」2018/5/22>
*****

批判がある一方で、栗城さんの“挑戦”を多くの人が支持していました。
たとえば、57歳の時に初めてエベレスト登頂に成功した登山家の大蔵喜福さん。大蔵さんは栗城さんを「人生の芸術家」と表現し、生きざまを称賛しています。
*****
8回目のエベレスト挑戦を揶揄する人もいますが、物事の本質は彼を批判することではなく、『どう理解するか』だと考えています。
私が理解する彼の面白さは、彼が『ただの登山家ではない』ところにあります。
(略)
やりたいことを突き詰めるという行為は、人間にしかできない。彼がそれを突き詰めた結果が「たまたま山だった」という理解です。
言うなれば、彼は『人生の芸術家』。山という壮大なキャンパスに、山登りを通じて、自分の思いを描こうとしているだけ。その結果が曲がりくねっていようが、下を向いていようが、そんなことはどうでもいい事なんです。
<「AbemaTIMES」2018/5/18>
*****

私は、栗城さんのことは名前と指を9本失ったことを把握している程度で、これまでに背景やネットでの評判を調べたことがありませんでした。また、登山にも詳しくありません。

訃報を受けて初めて調べ始めたぐらい無知だったわけですが、調べれば調べるほど、栗城さんのことが嫌いになっていきました。
私は、物事に何らかの意味を求めてしまう性質があり、栗木さんが繰り返していた「成功する可能性が限りなく低い挑戦」に意味を見い出せなかったのです。

また、栗城さんの死を「挑戦を貫いた末の死」と美談に仕立て上げることにも違和感があります。

一方で、亡くなった人を責める気にはなれず、「栗城さんの死」によって嫌悪と同情が同居する複雑な感情が湧き上がりました。

これは、そんなときたまたま目にした、ブログに書かれていた「栗城さんの死」に対する感想。
*****
もし、メディアと後援者、あるいは純粋なファンによってひくにひけないなくなっての事故だとしたら悲惨だ。一点の曇りもない登山家がアタックに失敗して死ぬよりも悲劇だろう。いや、それよりも自分自身に対してひけなくなって判断を失っていたとしたら? あるいは判断の上で死に場所を求めていたとしたら?
やはりそこには冒険家の悲哀がある。おれのなかには、「実際に死んだやつはえらいんだ」という妙な価値観があって、どうにも悲しいところがある。
<「関内関外日記」2018/5/22>
*****

「死んだやつはえらい」には同意しかねますが、「どうにも悲しいところがある」には思わず頷いてしまいました。

(スタッフH)
(2018/5/22 UPDATE)
番組スタッフ
5月21日(月)佐々木俊尚●なぜ彼女たちは「ゾゾる」のか
今、若い女性がスマホを手にしてやっているのが「ゾゾる」という行為。「ゾゾる」とは何なのか?彼女たちが「ゾゾる」理由とは?


5月22日(火)古谷経衡●目的は分断だった、ロシアによるFACEBOOK広告とその効果
5月10日、アメリカの下院情報委員会で、民主党は前回の大統領選期間にロシアが絡んだとされるFACEBOOKの広告の内容とその効果を発表。ロシアによるネット介入の目的は?


5月23日(水)飯田泰之●「カリフォルニアがアメリカから独立!? “キャレグジット”実現の可能性」
人口4000万人、GDPは世界5位の国に相当する生産力を持つカリフォルニア州。トランプ大統領誕生以降は、独立を画策する動きが強まっているといいます。その実態とは?


5月24日(木)小田嶋隆●機械が人間のように話す。Google Duplexがもたらす社会的インパクト
Google Duplexがもたらす社会的インパクトとは?
(2018/5/21 UPDATE)
番組スタッフ
百貨店に足を運ぶと、どうやらお中元商戦が始まった様子。
6月から本格化するようですが、我が家はお中元はスルーしています。
我が家だけでなく、同年代の友人・知人も個人間ではやっていないようですが、会社レベルのやりとり、あるいは年配者の間では当たり前の慣習なのでしょうか。

我が家に限ってですが、5月は誰かに何を贈るイベントが目白押しです。近しい親族3人の誕生日、そして母の日。
6月になると、また親族の誕生日があり、父の日がやってきます。
そんな我が家ですから、お中元のことに思考をさく体力がないのです。

思えば、毎月、一年中、誰かへのプレゼントについて考える時間があるような気がします。
贈り物は貰うと嬉しいですし、何を贈るか考えるのも楽しいもの。しかし、そのような感情に至るには贈る本人がある程度、能動的でなければなりません。
文化なのか。理なのか。日本には贈り物を半ば強制する、=消費を促す慣習が多すぎて、辟易してしまいます。

お中元やお歳暮には添えられる「慣習」「伝統」という言葉に同調圧力のようなものを感じますし、消費が絡む全ての慣習や伝統にきっと仕掛け人がおり、一番の目的は消費を促すことにあるのでしょう。

感謝と消費をセットにしたイベントは実に多く存在します、
感謝することを教える、心がけることは良いことだと思います。しかし、感謝をまとった「伝統」や「慣習」は強制や圧力となりかねません。
”相手への感謝を表す”と銘打たれてしまうと、それに背くとまるで悪人かのように捉えられるのではないか、と不安になったりもします。

例えば私が母の日、父の日には何も贈り物をせず、メールで「ありがとう」と伝えるだけだとすると、体裁としてはあまりよろしくないでしょう。きちんと、贈り物もし、手紙も添える。ここまでが「きちんと感謝できる人」と見られるためのワンセットなのでしょうか。
イベントなんかなくたって、私は両親、義両親に感謝していますし、その旨をきちんと伝えられていると思っています。


母の日といえば、こんなこともありました。

***************
母の日(2018年5月13日)の翌日14日、花屋さん数軒とスーパーの花売り場を見て廻ると、カーネーションがたくさん売れ残っていた。ある花屋では30%引きになっていたが、それでも売れている気配はなかった。
【食品ロスだけではない、母の日の「花ロス」 子ども食堂へ寄付する事例も(井出留美) - Yahoo!ニュース】
***************

廃棄されたであろうカーネンションのみならず、安易にイベントに乗っかって消費を促そうとしてしまったがために、生産者への感謝が無視されるという事例は枚挙にいとまがありません。

人間が積極的に表現できると良いとされる「感情」。この感謝ほど、巧みに利用される感情はないのではないでしょうか。
時として消費者心理を刺激し、時としてブラック企業の社訓に掲げられ、労働者を洗脳する…

最近では小学校で2分の1成人式として、10歳のときに自身の生い立ちや家族への感謝を述べるという行事があるそうですが、これも色々な側面で批判の的となりますが、「感謝」ということにおいてはもっとシンプルに教えられるのではないだろうかと思っています。
我が子にはできるだけ店員さんに聞こえるようにありがとうと言いなさい、と諭していますが、行き過ぎると感謝することの押し付けになりかねません。

絵文字やスタンプ1つで、感謝の気持ちが表せる時代です。
お金をかけた贈り物であろうが、気持ちだけであろうが、イベントに乗っからずに自分が思い立った時に感謝を伝え られるのが一番良いと思います。

スタッフ坂本
(2018/5/17 UPDATE)
番組スタッフ
昨日、ネット上で大きな話題となった、こちらのまとめ。

【国際信州学院大学】うどん屋で無断キャンセル発生!50人分の食事が…(Togetter)

発端となったのは、長野県安曇野市の穂高にあるという、うどんや「蛞蝓亭」の以下のツイート。
‏*****
無断キャンセルに合いました。
50人で貸切の予約で、料理を準備してお待ちしてましたが、予約時間過ぎても見えず、此方から電話するとキャンセルとの返事。
キャンセル料を請求したら、そんな説明は受けていないと逆ギレ。
国際信州学院大学の教職員の皆さん、二度と来ないでください。
#拡散希望
*****

まとめでは、無断キャンセルを憤るコメントが並んでいるのですが、そもそも、無断キャンセルをしたと名指しされている「国際信州学院大学」だけでなく、無断キャンセルをされたと訴えている「うどんや 蛞蝓亭」もこの世には存在しないのです。

無断キャンセルした大学職員にうどん店「二度と来ないで」と激怒→実は架空の大学でツイート自体も壮大な釣りだと話題に(「ねとらぼ」2018/5/4)

上記の記事によると、「国際信州学院大学」が生まれたきっかけは、今年1月、「受験シーズンだし安価で架空の大学を作って受験生釣ろうぜ」という5ちゃんねるのスレッドが立てられたこと。

その後、公式サイトや公式Twitterはもちろん、マスコットキャラクター「フラッパー君」、うどん店「蛞蝓亭」を含む周辺店舗といった世界観を詳細に作り込み、国際信州学院大学があたかも実在すると思い込ませる仕掛けが施されていったといいます。

国際信州学院大学のWebサイトも作り込みがすごくて、それがこちら

「受験生の方へ」「生活・就職」「本学の歴史」など、大学の公式サイトによくある文言が並び、それぞれをクリックした先の文章も作り込んであります。

さらに、大学からのお知らせと思われる「本学が架空であるというインターネット上の情報について」をクリックすると、こちらもいかにもありそうな注意喚起文が添えられています。
*****
最近、インターネット上に本学が架空の大学であるかのように言及する情報が増えています。これは本学の公式見解ではありませんので、お気をつけください。

また、Naverまとめといったキュレーションサイトや一部の匿名掲示板上で本学を架空の大学だという設定で、本学に関する情報を流布している巧妙な記事が散見されます。まとめサイトでも同様の記事が見受けられます。本学としてはしかるべき対応を検討しております。

これらの情報を鵜呑みにした善意のつもりの第三者やメディアがそのような情報に訂正・拡散するケースも確認されております。

インターネット上には虚構情報も多くあります。架空の情報に騙されないようご注意ください。

国際信州学院大学 広報課
*****

しかも、「大学生協のブログ」や「大学の公式Twitter」、「大学の図書館Twitter」、「大学の相撲部のTwitter」、「大学の教授と名乗る人物のTwitter」もあり、各Twitterの投稿は頻繁。

国際信州学院大学生協
【公式】国際信州学院大学 キャリアセンター
国際信州学院大図書館
国際信州学院大学 相撲部
国際信州学院大学教授 上杉吾朗

さらにTwitterから派生した情報まで作り込んでいて、それには感心すらします。

たとえば、大学公式Twitterの以下の投稿。
*****
【CLOSE UP KOKUSHIN】国信大卒業生のWork & Life を紹介します。
「色々な方と出会えるのが不思議で楽しい」法学部を卒業し、軽トラック1台から一代で立ち上げた株式会社ハッピーハッピー運輸の代表取締役、現在では地域に根付いた活動をされている元村優子さんからのメッセージです。
*****

この投稿に登場する元村優子さんは、個人のTwitterアカウントだけでなく、代表取締役を務めるという会社のWebサイトまで存在しているという手の凝りよう。

元村優子(@GdXEAuyxPwNupUK) ※一時的に制限され、現在は閲覧できない状態
ハッピーハッピー運輸Webサイト

このように基本的に世界観の作り込み方は異常で、あるTwitterユーザーによると、「去年国際信州学院大学を受けて落ちて、今は全く大学とは無関係なことだけをつぶやいてるTwitterアカウント」も存在するのだといいます。

今回、嘘だらけであることが広く知られることになった、国際信州学院大学とその周辺。
しかし、発端となった、うどんや「蛞蝓亭」のツイートの嘘を見抜けた人はどれだけいたでしょうか。

私も初見では、「また無断キャンセルか」という印象を抱いただけで、自力で嘘を見抜くことはできませんでした。
気付いたのは、その後のTwitterユーザーの指摘で、かなり遅いほうです。

今回の件で個人のネットリテラシーを指摘する声を多く目にします。ただ、私は個人のネットリテラシーには限界があると思うのです。

『知ってるつもり 無知の科学』(早川書房)には、こんな指摘があります。
*****
知能は特定の個人ではなく、コミュニティの中に存在する。
このためコミュニティの知恵を引き出す意思決定の手続きは、比較的無知な個人の力に頼るものより優れた結果をもたらす可能性が高い。
*****

今回のように嘘というかいたずらの手口が巧妙化する中、重要なのは、個人のネットリテラシーを高めることには限界があることを認め、集団で嘘を指摘し合う、集団のネットリテラシーにある程度、頼るという姿勢なのではないでしょうか。

(スタッフH)
(2018/5/15 UPDATE)
番組スタッフ
5月14日(月)佐々木俊尚 ●消費者の行動を変える?「マシンラーニング」の影響力

ネットフリックスの躍進を支える「マシンラーニング」は消費者の行動をどう変えるのでしょうか?

5月15日(火)速水健朗 ●独居房はプライベート確保!?受刑者とともに変わる刑務所の在り方

逃走した受刑者の発言をきっかけに、受刑者とともに変化している刑務所の実態を明らかにします。

5月16日(水)ちきりん ●世界を揺るがす対立構造「US vs THEM」

世界を揺るがす対立構造「US vs THEM」とは?その背景にあるものとは?

5月17日(木)小田嶋隆 ●依存症問題につきまとう過剰な感情移入とミスリード

依存症問題につきまとう誤解を解きます。
(2018/5/14 UPDATE)
番組スタッフ
世間に衝撃を与えた山口達也氏の事件。
広がった波紋が静まる気配は未だありません。

週刊文春5月17日号に、15年前に山口氏と酒席をともにしたある女性の証言として、次のような言葉が綴られていました。

************
「飲み始めた山口さんは饒舌になり、『DASH村とか、農業とか面倒くさい。正直だりぃよ』とか愚痴り始めました。
<週刊文春5月17日号>
************

DASH村というと、テレビ番組『鉄腕DASH』を代表する人気企画の一つ。この企画でTOKIO=農業というイメージが焼きついた人もいるかもしれません。
汗をかき、泥だらけになる姿がアイドルらしからぬためか、あるいは経験値を積み、農業の技術・知識レベルがアップしていくメンバーの姿が頼もしいためか、一時期、必ず観るテレビ番組の一つでした。

TOKIO=農業のイメージを植え付けた企画「DASH村」。それを山口氏が「だりぃ」と評していたことに、驚きを隠せない人もSNSを見るといるようです。

しかし、その驚きに対して、農業従事者なら当たり前の愚痴だという反応も寄せられています。

<togetter 文春の記事でいちばん衝撃的だったのは「農業とか面倒くさい。正直だりぃよ」と愚痴っていたエピソード←農家は飲んでる時全員それ言ってます>

山口氏が農業を「だりぃ」と言ったことに対して驚いた人の真意はわかりかねますが、ひたむきに農業に従事する人を、愚痴すら言わない我慢強い人とみなす風潮はあるのかもしれません。(宮沢賢治に由来するものでしょうか)
もしかしたら、神格化、聖人化の域に達していることもありえます。

私も子供のころ、今は亡き祖母に「お百姓さん」に対して感謝することを教えてこられました。
畜産業、漁業関係者に対しての感謝を促されたことはありません。
食糧事情が今ほど良くはなかった時代を生き抜いた人にとって、お百姓さんとは尊ぶべき存在だったことは容易に想像できます。

私の祖母がDASH村のファンで、山口氏が「農業とか面倒くさい。正直だりぃよ」と言っていたと知ると、もしかすると衝撃を受けるのかもしれません。

「だりぃ」と思ってしまうのは、農業従事者だけではないでしょう。
私は仕事は「だりぃ」ものだと思っています。誰に強制された訳でもなく、「好き」から派生した業界に身を置き、働いているのですがそれでも「だりぃ」。楽しい時もあるけど、生産活動中はどうしても「だりぃ」。
「だりぃ」からこそ、長々とやらずできるだけ時間をかけずに処理してしまいたいものです。

今回の週刊文春を受け、同年代、他業種の知人数人に聞いてみましたが、金融、IT、飲食業、みな「だりぃ」と愚痴りたくなる時があるとのこと。

私が知るある不動産ベンチャー企業では、仕事のことを「志事」と呼んでいます。仕事には常に「志」がなくてはならず、希望に満ちている必要があるという社長の理念が込められているそうです。

私は全ての仕事が楽しくなくてはならない必要はないと思っています。
あるいは、常に前向きな精神状態で仕事に臨まなくてはならないという訳でもありません。

生産活動に従事する動機など、人それぞれ。報酬を得て納税するというゴールが一致しているだけです。
「だりぃ」と思ってしまう労働の先にはもちろん、前向きな喜びがあって良いでしょう。
仕事関係者からの承認、報酬そのもの、それを使うことによって得られる満足感、物理的ではない悦び…、労働者の数だけ存在していることだと思います。

上記のtogetterで紹介されているのが、アニメ監督・宮崎駿氏の言葉。宮崎氏はあるテレビ番組に出演した際、次のように語っています。

「世の中の大事なことってたいてい面倒くさいんだよ」

「だりぃ」と思った後に、どうそれを処理するか。これが重要なようです。

スタッフ坂本
(2018/5/10 UPDATE)
番組スタッフ
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を見ていると、人のイメージというのは意外と簡単に変わるものだと感心してしまいます。

南北首脳会談が終わった3日後の4月30日、韓国の公共放送KBSが1077人を対象に行った世論調査で、金正恩氏の認識が変わったかという質問に対して、「多少そう思う」が57.7%、「とてもそう思う」が22.3%。
約8割が「イメージがよくなった」と答えていて、韓国国民が抱いていた金正恩氏に対する否定的なイメージが大幅に改善されたことが結果に現れています。

日本では、金正恩氏が「北朝鮮で起きた大型バスの事故で多数の中国人観光客の死者が出たことを受けて、中国大使館を訪問し、負傷者の見舞いに病院も訪れた」というニュースを受け、キャスターの安藤優子さんがテレビ番組で、金正恩氏を 「これを見ると本当、血の通った人間なんだっていう、すごく、ある意味、好印象」と評価。

身内さえも粛清するなど残忍なイメージがある金正恩氏。
それがこの2週間ほどで劇的に好転しているのには、どのような理由が考えられるのでしょうか。

毎日新聞客員編集委員の西川恵さんが指摘するのは、イメージ操作のうまさ。
南北首脳会談後にもたれた夕食会での金正恩氏のシャンパングラスの持ち方に注目し…
****
高揚感いっぱいの文大統領が「自由に行き来できるその日のために!」と、シャンパングラスを上げた。グラスはフルートと呼ぶ細身のタイプ。文大統領はグラスの胴体をワシづかみにして杯を上げ、そのまま金委員長に近寄ってグラスを合わせた。
グラスをワシづかみにするのは作法として美しくない。(略)ただここで私が触れたいのは文大統領のやぼったさではなく、それと比べた時の金委員長のスマートさだ。
金委員長は3本指でグラスの脚を持ち、杯を上げた。3月に中国を訪問した時の夕食会でも、同様にグラスの脚を持った。
金委員長の父親の故金正日(キムジョンイル)氏が招宴でよくグラスをワシづかみにしていたことを思うと、息子は作法を分かっているし、ワインを飲み慣れていると想像できる。
<「毎日新聞」2018/5/4> 
*****

「金正恩委員長は大きな得点を挙げた」と評価しています。
*****
たかが乾杯の作法(略)だが、政治とはある種、イメージ操作の技術でもあり、技術の巧拙が政治的成果を左右する。
特に独裁国家ではイメージ操作を重要な政治ツールと考えており、金委員長は儀礼外交で大きな得点を挙げたといえる。
<「毎日新聞」2018/5/4> 
*****

金正恩委員長は、スイス留学時代、バスケットボールの試合で負けると、なぜ負けたのか、徹底して分析したというエピソードがあるのですが、イメージ操作に関しても、こうした徹底した分析力が発揮されたということなのかもしれません。

受け手側の心の動きを考えるうえで参考になるのが、地政学・戦略学研究者、奥山真司さんのブログ。
殺人犯に求婚してしまう女性の胸の内を「自分たちのことを『一般の女性たちよりも、より深い面を直視する思慮深い存在』であると見なしている」としたうえで、「このような態度は、少数の知識人たちが持つ、独裁者に対する態度にも見てとることができる」と分析する記事を紹介しています。
*****
連続殺人で有罪となり収監された殺人犯は、実は自分の犯罪歴しか知らない女性たちから求婚されることが多い。この奇妙な現象が示しているのは、自己欺瞞が人間の行動の決定にどこまで深く染み込んでいるかという事実だ。
このような求婚をしてしまう女性というのは、「この殺人犯の心の奥底には人知れぬ善い面があり、自分だけがそれを表に引き出すことができる」と考えているとみられる。
よって彼女たちは、「自分は他の女性とは異なる<違いのわかる女>であり、連続殺人犯に対する一般女性の態度は退屈で、何も考えずに批判的になっている」と考えるのだ。
したがって彼女らは、自分たちのことを「一般の女性たちよりも、より深い面を直視する思慮深い存在」であると見なしているのである。そして興味深いことに、彼女たちは軽犯罪者などには目もくれないのだ。
このような態度は、少数の知識人たちが持つ、独裁者に対する態度にも見てとることができる。これはとりわけ、その独裁者がユートピアな世界を追求していると主張している場合によく見られるものだ。
<「地政学を英国で学んだ」2018/1/4>
*****

とはいえ、ここまで深く考えて金正恩氏に対するイメージを好転させた人はおそらくは少数。
そこで思い出したのが、元NO.1ホスト、城咲仁さんの「加点法は強い」発言。
*****
AbemaTVで放送された『エゴサーチTV』(4月27日放送)に、元NO.1ホスト・城咲仁が登場。
自分が付き合いたいと思った女性はほぼ口説き落とせていた経緯について、マイナスのイメージからスタートしたので「加点法は強い」と振り返った。
<「Abema TIMES」2018/5/4> 
*****

悪人の善行は好感につながりやすいという俗説がありますが、結局はこの俗説が証明されたかたちなのでしょう。
身内さえも粛清したという残忍な事実は帳消しにはならないのに。おかしな話です。

(スタッフH)
(2018/5/8 UPDATE)
番組スタッフ
5月7日(月)佐々木俊尚●「自己愛過剰社会」が生み出す、過剰反応する若者たち
「自己愛過剰社会」という言葉で若者の心理を読み解きます。

5月8日(火)古谷経衡●JR各社ダイヤ改正が暗示する公共交通の未来
今年の春、全国のJR各社がダイヤを改正。浮き彫りになる公共交通の未来とは?

5月9日(水)飯田泰之●国費バラマキ?言いがかり? 学問の自由をめぐる、科研費バトルの本質
文部科学省と独立行政法人「日本学術振興会」が交付する科学研究費助成事業(科研費)をめぐり、議論が高まっています。
そもそも科研費とはなんなのか。学問・研究をするための費用はどうあるべきか。
バトルから見えてくる本質とは。

5月10日(木)小田嶋隆●ITへのリテラシー不足が露呈した、国政モニターサイト問題
省庁のウェブサイトという省庁の顔で頻発するトラブル、その認識の甘さの実状は?
(2018/5/7 UPDATE)
番組スタッフ
何やら「エアポート投稿おじさん」で、私のSNS上のタイムラインで賑わっています。
中年男性は空港にいる写真をFacebookに投稿しがちで、それが20代女性に煙たがられているのだとか。
話題となっている記事では、搭乗券を投稿している写真が紹介されていますが、確かに空港にいると何でも良いから写真を撮影して、空港にチェックインしている自分を誰かに伝えたいのかもしれません。

「空港を使う」という非日常アピールが、記事に登場する若い女性たちの神経を逆撫でているようです。

手に入れたチケットを使うというのは大体の場合が非日常的な行為。飛行機に乗るため、ライブを観るため、映画を鑑賞するため…、どれもが多少なり日常のしがらみから抜け出す手伝いをしてくれます。

チケットを晒すという行為は、その場にいることの証明、自身がやろうとしていること(やったこと)の非日常性のアピールに他なりませんが、ログを取っておくことで、領収書等をまとめる時にも記憶と記録がちながって役に立ったりもしますし、何らかのアリバイにも使えたりするわけです。

ネットを見ていると、おっさんへの風当たりの強さを感じざるを得ませんが、非日常的な行為をSNSに投稿するのはおっさんだけではないでしょう。

私も年齢的にも、肉体的にも、そして精神的にも中年となってしまいましたが、中年=おっさんであることへの風当たりの強さは我が身をもって経験済みです。
おっさんであるという理由から、誰もポジティブな意味での特別扱いをしてくれることはありません。あるのかもしれませんが、私はまだ体験していません。

おっさんであることの唯一とも言える強みは、仕事への経験則が蓄積されていることでしょうか。
しかしこの蓄積がまた厄介で、経験則でもってしてうまく若人を成功に導く指南役になれば良いのですが、保守的な思考にとらわれ、傲慢さと虚栄が邪魔をして、若人の意見を否定しようとしたりもします。

ある人生の先輩(70代男性)が、「男は欲しいものがゴルフクラブになったら終わりだ」と言っていました。
私は冗談だと思っていましたが、その先輩は本気らしく、精神的にも肉体的にも若さを保ち続けるためにはある程度の幅広い物欲が必要で、それがなくなってしまうと一気に老けていく、というのです。

精神的にも肉体的にも若さを保ち続けることが必ずしも良いことだとは思いませんが、自身が30を超えて見て、物欲がどんどんなくなっていくことを実感しています。
服にも興味がありましたが、気に入った同じものを何着も欲しいと思うようになりましたし、
少年漫画好きで新しい作品を読んではみるものの、ハマることもなく。
電子書籍として、10代の頃に読んだ漫画作品を購入し、あらためて読むのが私の漫画との接し方です。

自身の趣味嗜好が保守化しつつあるのを確実に感じます。
スマホのアプリを見ても、以前は積極的に新しいアプリをダウンロードしていたのに、その機会もめっきり減ってしまいました。

還暦を超えている上述の先輩は積極的に新しいものに触れています。スマートウォッチにポケモンGOを思い切り楽しんでいる彼はおそらく、スマートスピーカーも手にしていることでしょう。
「古いもの」や「固定化された習慣」が「良いもの」であるとは簡単に認めようとはしない精神は見習わなけらばならないと思っています。

しかし、新しいものを積極的に取り入れるバランスも難しいところでしょう。
若者の間で流行っている新しいSNSに飛びついたおっさんは、得てしてうざがられたりするわけです。
保守化するおっさんも嫌われるでしょうが、新しいものに安易に飛びついて、若いアピールをしてもいけないのです。

SNSに何を投稿するのは自由だとは思います。しかし、基本的には「自慢しない」「教えたがらない」「若者の空気を乱さない」というのがSNSでおっさんが嫌われないための注意点なのではないかと思っています。これはSNS以外にも当てはまることではありますが。

スタッフ坂本
(2018/5/3 UPDATE)
番組スタッフ
昨年10月に発表され、大きな話題となった「ZOZOSUIT」。
伸縮センサーで身体の寸法を採寸する仕組みが近未来を予感させ、しかも無料であることから予約が殺到していたのですが、生産が追い付かず、配送の遅れが問題となっていました。

そんな中、4月27日に改良版の「ZOZOSUIT」が発表され、そのデザインのダサさに不満の声があがっています。

ZOZOSUIT

改良版のZOZOSUITは、採寸の方法を伸縮センサーからスーツ表面の丸いマーカーを読み取る形に変更。
全身に施されたドット状のマーカーを、スマホのカメラで360度撮影すると、体型サイズを読み取れるといいます。

不評なのが、そのデザイン。
旧ZOZOSUITと比較し、そのデザインのダサさにネットでは不満の声があがっているのです。

「レモンスカッシュかよ」「近未来感が…」 水玉模様の改良「ZOZOSUIT」、デザインがダサすぎると不満噴出(「BIGLOBEニュース」2018/4/27)

たしかにダサいのですが、「ZOZOSUIT」はあくまでも採寸するためのツール。
外に着ていくことはまずないので、ダサくても問題はないのです。

外資戦略コンサルパートナーの河合拓さんは、こう指摘します。
*****
実は、SNSなどで大騒ぎしている人は、ZOZOで買うのはスーツで無く服だということを忘れているのではと思います。
服を見たこともない、着たこともないのに、未来的なボディースーツのデザインだけをみて、ユニクロもこれで打撃を受ける。ZOZOは世界制覇をする、など、テクノロジーに騒いでいるのです。
(略)
PBを売るためにこのスーツを開発したのに、騒いでいる人はスーツについて騒いでいる。全く理解できない話しです。
(略)
くどいようですが、我々は「服」を買うのであって、その手助けをするテクノロジーが退化した、進化したということは目的からは何の関係もない話しなのです。
<「COMEMO」2018/4/29>
*****

ダサさは許容するとして、私が問題視しているのは昂揚感の喪失です。

旧ZOZOSUITの「着るだけで採寸ができる」という機能にわくわくしたのですが、新型の採寸方法はやや面倒。
ZOZOSUITを着用した後、音声案内に従って、様々な角度から12回程度、撮影を行って計測。その計測に約3分かかるといいます。

ほんの少しの手間なのですが、この少しの手間が昂揚感を失わせ、ひいては、計測したデータを使ってオーダーメイドのTシャツやデニムを注文できるプライベートブランド「ZOZO」の魅力も半減させているのです。

そもそも洋服を買うという行動には、昂揚感がつきものだと私は思っています。
試着をして「しっくりきた」ときに湧き上がる、あの感覚です。

旧ZOZOSUITならまだしも、そうした昂揚感が失われたZOZOSUITを利用して、ZOZOで買い物をしたいかと言うと、不思議とそうは思えないのです。

一方で、ほんの少し期待しているのが、旧ZOZOSUITを利用した人の返品率の低さ。
旧ZOZOSUITを受け取った人の中で実際に計測した人は6割で、そのうち5割がプライベートブランド「ZOZO」の商品を約2.5点購入。返品交換は0件でした。

洋服の通販で長いこと課題となっている返品率の改善。
新型ZOZOSUITで改善が進むのか、注目していきたいと思います。

(スタッフH)
(2018/5/1 UPDATE)

MESSAGE ★ 番組へのメッセージはこちらから ★ 皆さまからのご意見お待ちしております


ページの先頭へ