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アメリカ映画とキリスト教 120年の関係史
木谷 佳楠 (著)
税込価格:1,728円
出版社:キリスト新聞社
ISBN:978-4-87395-710-4

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マーシャル・マクルーハンの言うメディアとはメッセージを伝える透明な容れ物ではなく、メディアそのものがメッセージであるということをアメリカのカトリック教会は理解し、ハリウッド映画に対して当初から懸念を抱いていたらしい。とはいえ映画創成期にはこの新しいメディアが宣教のパワフルなツールになると考え、サイレント映画時代に製作されたキリスト受難劇を歓迎していた。しかしローリング20'sになるとユダヤ人プロデューサー達が次々と送りだすアモラルな、しかし映画史的にはハリウッド黄金期を形成していく作品群に邪悪なメッセージを見出す。
一方ハリウッド側は教会の批判を避ける為に神・性・罪に関わる表現に倫理的な自主規制を自らに課すこととなる。いわゆるヘイズ・コードであるが1934年から1968年までの施行期間には50年代の赤狩りも含めてアメリカの映画製作者のタフさがうかがえる。
しかし興味深いのはむしろコードが撤廃された70年代以降のカウンターカルチャーと台頭してきたキリスト教右派・福音派との文化戦争に映画が与えた影響である。象徴的なのが81年のレーガン大統領暗殺未遂事件とその因縁のマーティン・スコセッシ監督のキリスト・最後の誘惑(1988年)への上映反対運動(映画館が爆破された!)ではないだろうか。
さらには福音派ファンダメンタリストの終末思想に呼応するかの様に90年代にはディザスター映画が量産され、9.11と新たな戦争の時代にアメコミヒーローが乱立して復活をしだし、近年では過激なキリスト受難劇、新解釈のモーゼやノアの物語も生まれている。
現在アメリカ人の4割が2050年までにイエスが再臨すると信じているという。それまでにはできればメガチャーチの1つにでも行ってみたいとは思うのだが。


(評者:丸善丸の内本店 ビジネス書担当 鈴木浩基)


(2017/5/4 UPDATE)

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